「風間陽水の依頼簿（カルテ）・532」

カルテ番号　ほ・19（3）

ある日、急に、だった。
離婚して、自分も一人で自立しよう、と思った。
特別な引き金はない。
夫が嫌いになった、とかではない。
強いて理由をつけるなら・・・
本庄瞳は、元々がそういう性格だったのだ。

夫は驚いた。
理由がないのだ。
だが、結局は折れた。
彼女の性格を知っているのだ。
そういう決心をしたなら、覆すことは出来ない。
それに、今まで妻として引き留めていたような気持ちは常にあった。
彼女は、もっと活動的に生きたかったのだと思っていた。

とても理解ある夫であった。
息子に話をした時には、それは驚いていたが、すぐ納得したようだ。
親子関係が消えるわけではないのだ。
社会的な夫婦関係が消えるだけだった。
夫とは無縁になるわけでもなかった。
何かと、良い協力は続けていくつもりだった。

（登場する人物・組織・その他はフィックションです）

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