ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

南無そのまんま 十色の生き方

2023年08月11日 | 研究・書籍
14歳から28歳まで引きこもりだった青年に「きみね、苦しくなったら、南無そのまんま、そのまんま。南無そのまんま、そのまんま、南無そのまんま、そのまんまと三度お唱えをしなさい」とひろさちやさん。

“南無”という言葉は、インドのサンスクリット語で「おまかせします」の意味。欠点は個性、仲良く付き合おう・・。

ひろさちや『「がんばらない」人生相談』(河出書房新社 2014年)を読みました。
ひろさちや(本名:増原 良彦)1936年(昭和11年)7月27日 - 2022年(令和4年)4月7日)は、日本の宗教評論家。

ゼミ恩師が薦めた「ひろさちや」

私に、ひろさちやの書を読むように薦められたのは、学生時代のゼミの先生からでした。
ひろさちやと聞いても氏について当時、何の情報も持ち合わせていなかったので何冊か著書を読んではみました。が、難解でチンプンカンプン。退屈な宗教書の印象しかありませんでした。
あれから何年経つだろう。ひろさちやも、薦めてくださった恩師も亡くなりました。

今回、図書館の少年少女コーナーで、河出書房の「14歳の世渡り術」シリーズで本書を手に取りました。

「おとなの言うことは信用できない」の節では、「1945年8月15日、日本は戦争に負けました。そうすると学校の先生は、われわれに向かって、天皇のために死ね、から平和国家の建設に役立つ人間になりなさい、に変わった。でも少年は純情でした。教わったままを信じていました。「人間は何のために生きているのだろうか?」と考えるようになったのは、著者が高校2年生、17歳の時だったという。どことなく戦後の劇変のありさまの語りは、恩師の声と重なってきました。

著者は、「人生の目的も意味もありません。天皇のため、国家のため、世の中に役立つため、働くため、といったような答えはすべてまちがい。本当の答えを知ったのは大学生になってニーチェやヤスパース、サルトルの本を読んでから、さらに仏教の思想も本当の答えを導いてくれた」と。

「目的にあわせて造られたもの」と「何の目的もなく、ただ造られたもの」がある。だれからも命令されない自分の生き方、きみ自身の目的を設定してください、がひろ哲。
みんなちがって、みんないい(金子みすゞ)
草いろいろおのおの花の手柄かな(松尾芭蕉)

そういえば、はぐれ学生の私たちにも、どこまでも優しかった亡き恩師。授業中でも「『十人十色』So many men, so many minds 」を、しばしば発せられていた。

分かりやすい中学生向きの本書を通して、ひろさちやさんの魅力をなんとか理解することができたように思います。ゼミの恩師に「ひろさちや哲学」の感想報告がやっとできそう。南無そのまんま(合掌)



【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔



 
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