「屁っぴり猿のぴいぴい」本体と鞴笛部分を合体させ、鞴の上板を彩色して完成です。合体前に笛の鳴り具合も確認してあるので、それぞれ鳴声は微妙に違いますが、どれも鳴きます。
この「屁っぴり猿のぴいぴい」100パーセント原作通りではありませんが、前に記したとおり、「江都二色」(安永2年刊)に描かれているものへのオマージュとして作ったものなので配色もこれなら古典的な色の範疇ではないかと思う色、尚且つ本体と鞴上板の色との映え具合を考えて、古い書物に記されている「くさのしる」という色を作って塗りました。
「草の汁」という名前なのではじめは植物からの煮出し汁の緑なのかと思っていたのですが、江戸の頃から「石黄」(硫黄由来の黄色で毒性があることがわかり明治の大政官令で人形玩具への使用を禁止された色のひとつ)と藍色(おそらくベロ藍)とを混ぜ合わて出した色らしく、石黄は入手困難なので現在入手できるチント(tint)泥絵の具の黄色とベロ藍を混ぜて色を出しました。藍が強いほうが深みのある色なんですが、ベロ藍は粒子が細かすぎて膠をつなぎに黄色と混ぜても軽いせいか分離しやすいような感じで、いくら重ねてもムラになってしまうので、乾いてみたら藍だけ浮き出たようになってしまうことが多かったため、今回はなるべく藍は少なめにしました。本体に使っているベンガラ(酸化鉄)も癖があって面倒な色ですが藍も面倒です。
一見ただの黄緑じゃないかと思われるかもしれませんが、今でこそ「きみどり」とか「はだいろ」とかできた色をチューブから出して使うことが多いですが昔は色同士を混ぜて他の色をつくることが多かったのではないでしょうか。昔の人たちの苦労の片鱗?を追体験することができたような気がします、
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