自民党が提出した空港出資条例案の再議決が13日未明に行われ、わずか1票の差で否決、条例案は廃案となった。これで福岡市の福岡空港への出資はなくなった。高島市長が発動した「再議」によって、一度議会が可決した条例案が葬り去られた。異常としか思えない福岡市だが、それを証明するような出来事が裏で起きていた。条例案を可決させたくない高島市長は、副市長を使って議員へ圧力をかけていた。これは独裁というより、もはや常軌を逸しているとしか言いようがない。
福岡市議会は会期を延長し、11日から高島市長が申し立てた再議に関する審議が本会議で行われていた。質疑に立った自民党の森議員は「市長は議員の切り崩し工作をしてまで拒むのか」と詰め寄った。さらに「中園副市長は企業の方とも親しい」といい、中園副市長が財界との繋がりを利用し、議員へ圧力をかけていたことを仄めかした。維新の会の富永議員の質疑では、維新所属の議員に市幹部が圧力をかけていたことが明らかとなった。本会議後の常任委員会では、高島市長本人から直接圧力をかけられたという議員の爆弾発言が飛び出した。そこで、委員会は高島市長の出席を求めた。しかし、高島市長は出席を拒み、その証拠を出せとの文章を委員会に送りつけた。議員の怒りはピークに達し、委員会は紛糾した。ここから高島市長の”逃走劇”がはじまった。その時の異常な様子を複数の市議がツイッターでリアルタイムで伝えていた。それらをまとめているので、まずはこちらをご覧頂きたい。
高島市長は、11日の本会議で議員と接触していないと答弁していた。しかし、実際には議員へ圧力をかけていた。だから委員会に出席できなかったのだろう。虚偽答弁となれば進退に及びかねないからだが、圧力をかけられた維新の会とみなが議員ははっきり証拠があると言っている。この問題はまだ終わっていない。一方、中園副市長は、賛成派の鬼塚市議に「君の将来を案じています」と恫喝メールを送り、荒瀬副市長は、3月2日の採決で退席棄権した2人の市議(緑と市民ネットワークの会荒木市議と森市議)に、出席をした上で棄権するよう強制していた。もちろん指示したのは他でもない高島市長である。市民の賛同を得ようと、こどものために出資はしないと言いながら、裏ではトンデモないことを副市長に命令していたのだ。それにしても、この首長を制するものがいない福岡市、本当に大丈夫だろか。
空港出資条例案は廃案となった。民営委託後の福岡空港へ出資しないことで、今後どのような形でリスクが市民に降りかかるのかわからない。不安に思う市民も少なくないだろう。「民にできないことを県と協力し、市民の意見を吸い上げ新会社の運営に反映させることが地方自治体の役目」という森議員の意見は納得できる。なぜならそれが子供のためになるからだ。高島市長は、貴重な市民の税金を子供や教育のために使うべきだとしつこく言っているが、アイランドシティやウォーターフロント開発には数百億という莫大な税金を投入する反面、子供や教育に関する事業は尽く削減してきた。後付けの理由など信用に値しない。懸念されるのは、自分の意を押し通すために、今後も「再議」を出しかねないということだが、議会はこの”独裁者”とどう向き合ってゆくのか。ますます目が離せなくなった。
条例案否決後、記者団から質問を受ける高島市長(写真は高島市長ブログより)
《関連記事》
・福岡市の空港出資再議で廃案 1票が明暗分ける(西日本新聞 2017.4.14)
・福岡市空港出資問題、出資を求める条例案が再議で否決(データ・マックス 2017.4.13)
・【動画】空港出資条例案「再議」高島市長出席拒む(RKBニュース 2017.4.12)
・【動画】空港出資条例案 議会の舞台裏で何が…(RKBニュース 2017.4.13)
《参考》
・福岡市議会HP(市議会動画あり)