前回の晴れやかな記事とは打って変って、今回は視界不良な福岡市議会の現状を、10月23日に行われた「議会改革調査特別委員会」の初審議の様子とともに報告する。
福岡市議会の議会改革を進めるために、先月18日、新たに設置された「議会改革調査特別委員会」。その初審議が先週末、第1委員会室で行われた。早めに出かけたつもりだったが、棚上げされていた市民からの請願内容が審議されるとあって、開会30分前には、傍聴席(15席)は満席となっていた。そのため委員会室での傍聴はできず、別に用意された部屋(音声傍聴室)で傍聴することとなった。その名のとおり、そこでは音声を聞くのみ。モニターもなく委員の姿も見えない。時計もない。それでも委員会室でのルールと同様、携帯の電源は切らなくてはならない。(マナーモードも認めていない)時間すらわからない中、議会事務局の職員がじっと監視している状況では、交通費を払って傍聴にきている市民が不愉快になるのは当然である。議会事務局の対応にも問題があり、これまで何度か市民とトラブルも起きている。この日、傍聴に参加した市民は49名、委員会室で傍聴できなかった人は34名にのぼった。
そもそもこの傍聴席数。これが問題なのだが、以前は10席しかなかったところを、市民からの請願でようやく一昨年、15席になったもの。この15席という数に根拠があるわけではない。そこには、なるべく市民に見せたくないという思惑がある。何故なら、第1委員会室ほどの広さがあれば、家具の配置次第で30席は確保できるからである。政令市において、公開度ナンバーワンの神戸市など、委員会の傍聴席は最大140席、お隣の北九州市でさえ最大20席はある。建物の違いはあるにせよ、いかに福岡市が閉鎖的かがわかる。
審議の中身について言えば、事前にすり合わせがあったのか、報道されていたとおり、第一項目「常任委員会採決時の公開」は、すんなり全会一致で決定した。そのほかの項目「委員会記録への発言者名等の記載」「常任委員会のインターネット中継」については、各会派の委員が順に意見をのべただけで、あっさり次回へ先送りとなった。踏み込んだ議論を期待していただけに、拍子抜けもよいところ。本気でやる気があるのか疑いたくなる。
常任委員会採決時の公開については、自民党が随分長い間反対していたもので、市民の計り知れない労力、非公開に対する根強い反対の声があったからこそ成し得たもので、自民党の基本姿勢が変わったわけではない。全国でも福岡市だけという、悪しき慣例が取り払われるのに数十年の歳月を要したことが、それを証明している。(私自身、昨年、父が倒れるまでは「市民に開かれた議会を実現する会」事務局長として奔走していたので、公開決定には特別な思いがある)
議会改革調査特別委員会を(音声)傍聴して、最大会派自民党の市民に対する目線が変わらない限り、そう簡単に改革は進まないのだろうと感じた。これを変えることができるのは、やはりこれからも市民の力ということになるのだろう。願わくば、ここに若い人たちが加わってくれればと思うのだが。
《関連記事》
福岡市議会、常任委採決公開を決定 12月定例会から(西日本新聞10.24)
福岡市議会:常任委採決公開へ 全会派が合意 /福岡(毎日新聞10.24)