6月末の大雨で山口の実家の屋根がやられてしまったので、地元の業者さんに屋根修理をお願いしていたが、先日、その工事が完了した。屋根屋さんに話を聞いてみたところ、6月末の大雨による被害は多く、屋根工事は40件に上っているとのことだった。うちは大した工事ではなかったので、合間に入れていただいたが、修復工事が終わっていない家屋も多い。
ところで、19日、大雨による美祢線被害の全容をJR西日本が発表した。同社の調査によると、美祢線全区間46キロのうち37キロにわたり、80ヵ所で被災していることが判明。その多くが厚狭川の氾濫や水位上昇に起因するものとしており、県による河川改修の防災強度(向上)の必要性を強調している。その上で、河川改修と美祢線のあり方の議論を並行していきたい考えを示し、復旧工事を行うかどうかについては明言を避けている。(したくないのだろうな)
美祢線には、たくさんの思い出がある。亡父がブルートレインの車掌だったこともあって、小さい頃から電車が好きだった。小学生時代、夏休みや春休みになると美祢線で生まれ故郷の長門三隅に遊びに行っていた。車窓から見る風景が今も目に焼き付いている。厚狭川の源流は大ヶ峠付近(美祢市と長門市の境)にあり、美祢線はほぼ厚狭川と並行して走っている。子供の頃は、それを見るのが楽しかった。当時は冷房車はなかったので、夏は川から吹く冷たい風が心地よかった。春は新緑の香りが車内に漂っていた。その厚狭川が、よもや美祢線の脅威になるとは夢にも思わなかった。
厚狭川の氾濫はこれまで幾度か起きている。特に、2010年(平成22年7月)豪雨では、厚狭のまちで多くの家屋が浸水するなど甚大な被害が出た。そのため河川改修を緊急に実施できる「河川激甚災害対策特別緊急事業」に指定され、平成22年度から激特事業区間(下図参照)で工事が行われた。すべての工事が完了したのは、今から4年前の平成31年。実に9年もの歳月がかかっている。
さて、今回の大雨で氾濫が発生した区域はどうなっているのか。県の資料を確認してみると「厚狭川河川改修事業」の対象になっていた。河川浚渫や砂防堰堤の整備が行われる予定にはなっているが、工事が完了するのは18年後の2041年。これでは幾度も災害が起きてしまう。(急がないと、美祢線が廃線になってしまう)
撮影日:2023.7.2
こちらの写真は、大雨の翌日に撮ったものです。
厚狭川と美祢線(線路は写真右の土手の上です)
※ここは湯ノ峠駅と厚狭駅の中間付近ですが、土手中程まで水位が上がっていた形跡がありました。
美祢方面
※写真左が美祢線、厚狭川を挟んで右に316号線、道路には土砂が流れ込んだ跡がありました。
厚狭川河川改修事業
激特事業区間は施工済み、そのほかは未施工(施工済みの桜川は今年も氾濫、ポンプが機能していないのでは?)
※6月末の大雨で最も被害が大きかったのは四郎ケ原駅周辺です。
厚狭川水系流域治水プロジェクト(山口県HPより)
今回被害が大きかったところも河川改修工事区間に含まれている
今回のJR西日本の会見を受けて、変更される可能性もあるのでは
《美祢線復旧へ期待 2023.9.28更新》
村岡知事は25日、県議会代表質問で「厚狭川は再度災害を防止するため抜本的な河川改修をする」と、美祢線の復旧に向けて前向きな答弁をしている。さらに水害軽減に向けて複数の対策を組み合わせる「流域治水」も実施していく考えを示している。期待したい。
・美祢線復旧へ「流域治水」 「厚狭川、抜本的河川改修を」 知事表明(毎日新聞 2023.9.27)
《関連記事》
・JR美祢線の復旧 県による河川改修「防災強度」向上の必要性を強調-JR西日本(KRY山口放送 2023.9.19)
《参考資料》
・山口県。厚狭川 広域河川改修事業(山口県公共事業の再評価・令和4年度再評価一覧表より)
・JR西日本。大雨に伴う美祢線・山陰線の被災状況と今後の見通しについて(2023.9.19)