福岡市議会の議会改革は始まったばかりだが、それを後押しする動きがあちらこちらで見られる。今年、6月に発足した福岡市の市民団体「選挙制度と議員のあり方を考える市民の会」もそのひとつ。先日、その会報が届いた。活動内容は、市民に開かれた選挙制度を実現することで投票率アップを目指す、福岡市議会議員の政治姿勢や政策について調査・研究を行い、評価・提案していくなど。とりわけ、高額な福岡市議会議員の報酬(H24年度年収1451万5600円)や議員定数(62人)の適正化を重点課題としている。
会報の中に、福岡市議会の現状と問題点がよくわかる「市民からの投稿」があったので、ここで紹介したい。(以下、転載)
市民自治に逆行する「発言時間制限」
政令市でもっとも議会改革が遅れていると言われている福岡市議会が、ようやく議会改革調査特別委員会を設置した。10月23日に行われた第1回目の会議では、請願の採決も含めて委員会が全面公開されることになり、「市民のための議会」に向けて一歩前進した。その一方でいま、自民党など一部の会派から「委員会での発言時間を制限しよう」という動きが出てきている。
議会は「言論の府」であり、議員は議会の中で発言することこそが仕事であるはずだ。年間1500万円近い議員報酬をもらっている議員たちにしっかり仕事をしてもらうことは、私たち有権者の責務であろう。主権者は私たちであり、私たちは「仕事放棄」のこの動きを止めなければならない。
福岡市議会の現状
議会には「本会議」と「委員会」とがある。本会議とは、議員全員が本会議場に集まって議案を審議し、最終的に採決をする場である。しかし議案すべてを議員全員で細かく審議することが難しいということで委員会制度が設けられ、福岡市議会の場合、その内容によって第1委員会から第5委員会の5つの委員会に分かれて、それぞれ深く審議することになっている。
本会議では会派ごとに発言時間が決められており、一般質問の各会派の持ち時間は、自民党が124分(20人)、公明党が81分(11人)、市民クラブ・みらい福岡・共産党が62分(いずれも7人)、維新の会が47分(4人)、社民・緑とネットが24分(2人)、無所属議員の2人が各8分ずつとなっている。委員会ではこのような発言時間の制限は一切ない。
議会は「言論の府」であり、議員は議会で発言することこそが仕事だ
この時間を議員数で割ると、実は大会派よりも少数会派のほうが議員1人あたりの発言時間は長くなっている。少数意見への配慮とも言えるが、だとしたら無所属議員にもしっかり配慮して、もう少し長い発言時間を確保すべきだろう。
しかし、そもそも発言時間の制限することが本当に必要なのだろうか?議会の役割とは、賛成・反対両方の立場からさまざまな視点から論議をし、市民に納得してもらえるような結論(議決)を導き出すことではないのか?
議会は年中365日開いているわけではない。2~3月、6月、9~10月、12月の時期に集中して開かれ、1回の定例会の日数は基本的には「7日(土日除く)」である。そもそもこの会期自体が短いという問題がある。
一般質問は、今でこそすべての会派がほぼ制限時間いっぱい使って発言するようになったが(ネット中継の開始も影響している)、ちょっと前まではそうではなかった。一方、議案質疑のほうは与党系の会派が発言することはほとんどなく、ほぼ野党系の会派からのみの発言となっている。議事録として残る本会議での場では発言せず、議会の外で(裏で)やっているのが与党系の会派だ。時間制限のない委員会では、野党系の会派のほうがよく発言している。本来発言すべき場で発言しない議員たちが、しっかり仕事をしている議員たちの足を引っ張ろうとして発言時間を制限しようとしているこの動きは、決して認められるものではない。
高い議員報酬をもらっている議員たちは、それに見合った仕事(議会での発言)をしていただくか、もしくは議員報酬を大幅に削減していただくしかないだろう。
(以上、転載終わり)
まったく仰せのとおりで、議員の方々(特に自民党議員)にはきっちり仕事をしていただきたい。議員報酬はわれわれ市民の血税なのだから。まもなく12月定例会がはじまるが、今後の「選挙制度と議員のあり方を考える市民の会」の活動に注目してゆきたい。
《会報表紙》
《関連記事》 ※発言時間についての報道あり
福岡市議会 : 常任委採決公開へ 全会派が合意 /福岡 - 毎日新聞