背振山中に埋設されている245T剤に関し、福岡市が行っている水質調査について、13日、全ての資料を公開するよう、市に情報公開請求をした。その結果、昨日(21日)、水道局から水質試験結果などの資料が公開され、担当者から説明を受けた。
当日は、実際に現場で水質調査を行っている2名の職員(水道局浄水部水道水質センター)の方から説明を受けた。それによると、福岡市は、五ケ山ダム事業が採択された(昭和63年)後、平成4年から毎年1回、定期的に245T剤に対応した水質調査を行っているという。また、臨時調査も何度か実施されているようで、最近では、平成29年7月九州北部豪雨後(29年8月)、昨年7月西日本豪雨後(30年9月)、さらに五ケ山ダム放流前の今月7日にも実施されている。
調査場所は、埋設地に近いところから順番に、五ケ山ダム入り口(五ヶ山流込)、南畑ダム入り口(南畑流込)、南畑取水口の計3ヵ所。これらの場所で採水され、水質センターで水質試験が行われている。当初は、佐賀橋(今ではダムの底)で行われていたが、五ケ山ダムの試験湛水開始に伴い、調査場所は移動。現在は、大野大橋で行っているという。聞くと、坂本峠下の385号線沿いを流れる大野川の支流、埋設地からおよそ1キロところ。唯一、昔の面影を残す場所である。(下地図参照)
調査結果は、これまでいずれの場所も245T剤は不検出となっている。昨日は、特別に最新の水質試験結果書が公開された。五ケ山ダム放流前の2月7日、減勢工(副ダム)で採水されたものだが、こちらも不検出だった。ちなみに、水質検査試験結果は、毎年「水質試験年報」としてまとめられ、福岡市水道局のホームページで公開されている。昨日、29年度分が公開されたが、30年度は作成の最中ということだったので、その公開を求めていた。
さて、ここで不検出だから問題はないのでは、と言われるかもしれないが、北九州大学の原田和明氏は、245T剤は水に溶けにくい性質がある上、大量の水で希釈されているので、ダムの水の水質分析で245T剤やダイオキシンが検出されることはまずないと仰っている。つまり、汚染されていてもわからないということになる。そこで、この話を水質センターの職員の方にしてみたところ、緻密な検査を実施しているとの説明はあったが、否定はされなかった。それどころか水源地近くに245T剤が埋設されていること自体がおかしいとまで。少なくとも、現場は245T剤の危険性を認識している。災害が起きれば、一溜りもないことを。
※福岡市は毎年、国(林野庁)に245T剤の撤去または無害化処理の要望書を提出している。
《情報公開請求によって公開された資料3部》
①2-4-5-T埋設地点及び採水地点地図
福岡市水道局が公開した資料「2-4-5-T埋設地点及び採水地点」は、グーグルマップを使用しており、著作権の問題があるため、そのまま掲載することができません。そこで、資料をもとに(五ケ山ダムが運用開始前のため地図にダムが掲載されていないので)、国土地理院地図に五ケ山ダムを描いた上で作成しました。
245T埋設地点と採水地点(3ヵ所) 埋設地と水源地の距離はおよそ1キロ
②五ヶ山ダム放流前に行われた水質試験結果書
通常より緻密な検査が行われていると、少数点以下の桁数の多さを説明された
③西日本豪雨後に行われた水質試験結果書
この日、245T剤埋設地の調査も実施したとのことだった
245T剤調査に関するページ(福岡市水質試験年報より)
《参考資料》