16日の佐賀新聞に驚くニュースが。なんと脊振山地に風力発電計画があるという。記事によると、事業者は大阪府の「大和エネルギー」で、脊振山地に発電機8~10基を設置(最大出力3万2千KW)、2026年の運転開始を目指しているという。昨日(15日)、佐賀県庁で環境影響評価審査会(会長は穴井謙福岡大工学部教授など15人)があり、事業内容が明らかになった。委員からは「自然が豊かで普通なら避ける場所」という指摘も。真っ当な意見だろう。
脊振山に風力発電計画があったとは、まさに寝耳に水、今日まで知る由もなかった。佐賀県のホームページを確認してみたが、該当するような資料はない。おそらく今回はじめて報道されたのではないだろうか。設置場所は明らかにされていないが、佐賀新聞の地図から推測すると、荒川峠(佐賀県唐津市)から荒谷峠(福岡県糸島市)間のようだ。どちらの峠にも林道があり、機材を運ぶには好都合だ。しかし、そこには美しい山容の女岳(めだけ)がある。そのため脊振山系でも人気の登山ルートになっている。そこに160メートルもある巨大なタワーを建てようというのだから、信じられない。
脊振山地では7年前、国際リニアコライダー計画の候補地になったが、ILC立地評価会議は脊振山地は適材地ではないと判断し、もう一つの候補地だった北上山地に決定した。この時、佐賀や福岡市民からは反対の声が多く上がっていた(私も反対した)が、今回の風力発電計画はまだ知らない人も多いのではないだろうか。反対運動の噂も聞かない。何はともあれ、佐賀県はじめ審査会委員の方々には適正な判断をお願いしたい。美しい脊振山地を壊さないでほしい。(一難去ってまた一難だ)
脊振山地がこういうことに、、 (写真は愛媛県西宇和島郡・佐多岬半島 大和エネルギーHPより)
脊振山系 風力発電機の設置想定区域(佐賀新聞より)
おそらくこの範囲内では(紫色部分) (国土地理院地図使用)
九州は線状降水帯が発生しやすい場所だと言われている。そのため今、福岡県の東峰村や熊本県では、線状降水帯の発生を早期に予測するための実証実験が進められている。今回の九州豪雨では事前に危険を察知し、自治体へ情報が送られていた。あとは精度の問題だという。3年前の九州北部豪雨では、脊振山地付近で線状降水帯が発生し、朝倉などで甚大な被害が出たが、脊振山地でも多くのところで土砂災害が発生した。西日本豪雨も同様。いわば線状降水帯の多発地帯。そういうところに風力発電機を設置するとどうなるか、想像に難くない。問題は環境や景観だけではない。防災上の観点からも大いに問題があると思うのだが。
《追記》
佐賀県ホームページに審査会の案内が掲載されていた。委員名簿は掲載されているが、資料はない。今後、議事録は出てくるはずだが。
・「(仮称)DREAM Wind佐賀唐津風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」に関する環境影響評価審査会
《風力発電計画についての意見書受付は8月11日まで 2020.8.8更新》
コロナ禍ですっぽり頭から抜けていたが、「(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業に係る計画段階環境配慮書」の縦覧がはじまっていた。ブログにコメントをいただいて知ったのだが、意見書の受付期限は来週11日まで、もう時間はない。そもそも情報が公になったのが7月16日で受付が7月7日から、しかも期間は正味1ヵ月しかないとは。出来レースか。(とにかく急いで書くしかない)
・大和エネルギー㈱HP「(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業に係る計画段階環境配慮書の縦覧について」
《関連記事》
・脊振山系で風力発電計画 唐津市と糸島市(福岡県)の市境、最大で3.2万キロワット(佐賀新聞 2020.7.16)
・線状降水帯の発生予測、精度が課題 熊本の豪雨前日に察知できたが…(西日本新聞 2020.7.16)
《参考資料》
・線状降水帯の停滞が豪雨災害を引き起こす(JAMSTEC 国立研究開発法人 海洋開発研究機構 2020.7.06)
※どうして九州で線状降水帯が発生しやすいのかなどの説明あり
https://www.daiwa-energy.com/news/20200707/saga/index.html
今後どうなるのか興味があります。
お知らせ下さり、有難うございました。
(すっかり頭から抜けていました)
お陰様で意見書の締め切りには間に合いそうです。