yamanba's blog

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気分転換に山の話題など

五ケ山ダム事業

2013-02-18 07:53:22 | 五ケ山ダム

昭和53年、福岡市の大渇水を機に計画された五ヶ山ダム事業。あれから35年、その工事が今急ピッチに進んでいる。今月1日、付替道路が開通。それと同時に、ダムの全容が見えてきた。そもそもこの五ヶ山ダムとは、那珂川の上流に位置し、筑紫郡那珂川町大字五ヶ山(標高約600m)の南畑ダムと脊振ダムの間に建設されているもので、総貯水容量は4,020万立方メートル。想像しにくいが、これは実に黒部ダムの約5分の1の水量になる。1000m足らずの脊振山(標高1055m)の麓に、これだけ巨大なダムができることを、どれだけの福岡市民が知っているのだろうか。

福岡県は、五ヶ山ダム建設の第一の理由を、福岡市民の水を確保する為だと言い続けてきた。しかし、福岡市では、平成17年から海水淡水化事業を開始、また配水技術の向上や節水の徹底などにより、現在約70万㎥/日の供給能力を持つ程になった。需要は約40万㎥/日とされているから、水は十分足りているのである。治水面においても、那珂川床上浸水対策には土木事務所も自信をもっていると聞く。福岡市では、地下に巨大な水槽を作る計画もあり、その対策は着々と進められている。更に、近年のゲリラ豪雨は局地的であり、ダムで洪水を防ぐことはできないとも言われている。何より、脊振山麓に根付いた木々こそが、治水の役割を果たしてくれる。自然の脅威は自然で守る、これに尽きる。にも拘らず、それらを根こそぎ剥ぎ取り、掘りおこした結果、自然豊かだった山麓は、見るも無残な姿に変わり果ててしまった。これが後に、災いとなって我々に帰ってくることは、最近の自然災害を見れば容易に想像できる。1000億円にも上る税金を投入して、わざわざ自然を破壊してゆく。何と愚かなことだろうか。

 

《追記》2016.3.10

下のコラム。福岡市の水が足りていることを証明しているようなものだが、さすがに福岡市が100%出資する財団法人福岡アジア都市研究所だけあって、そこは触れずに五ヶ山ダムの出現を心強いといい、これからも節水への取り組みは必要だとまとめている。ここは、節水型都市としてダムに頼らないまちづくりをめざす、と書くべきところだと思うが。

福岡アジア都市研究所 リレーコラム 14. 節水型都市への発展

 






付替道路開通 様変わりした五ヶ山周辺





橋脚と橋脚の間に”夫婦杉”のてっぺんが見える





上の写真 ダムが完成するとこうなる そこに”夫婦杉”の姿はない





巨大なダムサイト 施工は鹿島・飛島・松本組JV





五ヶ山ダム全容 オレンジと黄緑は付替道路 水色の部分が水没するところ





坂本峠側(南側)から五ヶ山方面を見たところ ここも全て水没する





佐賀県が昭和31年に天然記念物指定した、樹齢700~800年の小川内の”夫婦杉”





夫婦杉の根元 幹は3本くっついており”親子杉”とも言われている(写真左端)
これが水の底に沈んでしまう

 

 

《追記》

「小川内の杉」の移植保存が決まりました。詳しくはこちら。  

「小川内の杉」の移植がはじまりました。詳しくはこちら

 

《関連資料》

福岡県五ヵ山ダム建設事務所



九電公聴会

2013-02-02 17:48:54 | 九電

先月31日に行われた九電電気料金値上げ公聴会に出席、その原発依存体質を嫌と言うほど感じさせられた。瓜生社長、開口一番「福島原発のあの事象(爆発の映像)が頭に残っておられて…インパクトも強いので…原発に対する不安もおありでしょうが…」と、まるで原発事故がどこか遠い国で起きたような話しぶりに、まず驚いた。うちはあのような事故はしませんよ、と言わんばかりに「世界最高水準の原子力をつくる」とまで発言。原発に洗脳された電力会社の姿を目の当たりにした。と同時に、福島の原発事故によって起こった環境の変化に、九電はついていけていない、という郷原氏の言葉を思い出した。


公聴会では、瓜生社長が「今回の値上げは33年ぶりであり、この間30%の値下げを行ってきた。2年間(1兆円ともいわれる)内部留保を取り崩ししのいできた」としきりに繰り返し、値上げに理解を求めていた。それに対し、多くの陳述人が、九電の地域独占体制や総括原価方式、高額な役員報酬、再稼働を前提とした値上げ申請を批判。中でも、原発に依存してきた九電にこそ問題があるのであって、経営が悪化したからとそのツケを国民が支払うのはおかしい、という意見が数多く出た。ごもっともな意見陳述に幾度も拍手が起きた。(静止命令はでなかった)原発は稼働していなくとも多額のコストがかかる。しかし、今まで原発は安価だと、多くの国民が騙されてきた。安易に電気料値上げを許すということは、原発依存そのものを許すことになる。このまますんなり認可させることがあってはならないのである。


電気料値上げは、中小零細企業や社会的弱者に大きな負担を強いる。公聴会で心に残る意見陳述があった。中小企業で代表の方、苦しい経営状況の中で必死に頑張っている同志の思いを代弁。途中、言葉に詰まり涙声になりながらも切々と訴えておられた。また車椅子に乗ってこられた障害者の方、今の生活が一杯一杯、電気料金が上がれば命にかかわる、とすがるような眼差しで訴えておられた。あの方々の思い、瓜生社長に一体どれだけ届いただろうか。




公聴会のようす、質問に答える瓜生社長(写真右)
議事進行人は、安念潤司(中央大学法科大学院教授)電気料金審査専門委員会委員長 
あまりの調子の良さに違和感を感じた(写真左) 




報道陣も勢ぞろい、大半は午前中に引き上げた(写真は午後)
NHKニュースに私が、、とても厳しい顔で映っていた