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日本学術会議・国際リニアコライダー計画に関する検討委員会への要請書

2013-07-30 10:04:54 | 脊振風力・ILC

昨日、福岡市の市民団体から日本学術会議・国際リニアコライダー計画に関する検討委員会へ送られた要請書。

 

  (転載始め)                        

                                                                                                   2013年7月29日 


      日本学術会議・国際リニアコライダー計画に関する検討委員会御中 

                                   

                                                                                                  博多湾会議

                                                                                                  がれき問題を考える会・福岡 

             

             

                        要請書

【趣旨】 


日本学術会議が、文部科学省からの依頼を受け、国際リニアコライダー計画につき審議されるとき、「北上山地も背振山系も立地に選定せず、ILCを日本に招致・建設しないでください。」という市民の意見も斟酌してください。

同趣旨の申し入れ書を7月23日、ILC戦略会議・立地評価会議に郵送しております。


【説明】


はじめに


6月12日、リニアコライダー・コラボレーション(LCC)は、国際リニアコライダー(ILC)の設計報告書を発表しました。地下100メートルの深さに、全長31キロの直線トンネルを掘って加速器を設置し、電子と陽電子を光速99%以上に加速してビームをつくり、ビーム同士を正面衝突させ、「ヒッグス粒子」などが飛び出すのを捉え、性質を調べる計画だといわれています。そして、今7月末には「立地評価会議」が東北の北上山地か、福岡県と佐賀県にまたがる背振山系のいずれかに、国内候補地を選定しようしています。欧米は財政難を理由に誘致に消極的なので、国内候補地がそのまま建設予定地にされる危険性があります。このILC計画を背振山系・北上山地のどちらも選定せず、日本に招致・建設しないよう求めます。その理由として次の問題点を記します。


問題点


1.住民に対して、情報が伝えられていません。


一体、このILCが、何を目的にして、また、どのような科学的必要性があって計画されたのかは広く説明されていません。このままでは、住民はILC計画が有する危険性、環境への影響、健康被害、財政負担も含めた関連情報に接することなく、その地域が国内候補地に選定されてしまうことになります。

 

2.実験の過程と生成物の安全性が保障されていません。


実験は宇宙の熱核爆発ビッグバン当時の状況を作り出し、重質量の新粒子の発生を捕捉することを目指しています。しかし、実験の過程と生成物自体の環境への「安全性」が保障されていません。福岡市が主催したILC計画説明会で、質問に「安全」だとの回答が成された5月22日直後に、茨城県東海村にある同様の加速器実験施設「J-PARC」で放射性物質漏洩事故が起こりました。ヨーロッパでは同種の施設セルンでも同様の漏洩事故が起きています。衝突の度に蓄積される高いエネルギーが、地下100メートルを突き抜けて電磁波などによる障害が大地と大気におこる危険や生成される放射性素粒子の環境と放射能被曝など人体への影響の安全性は保障されていません。

今、求められているのは、福島原発事故の原因究明と原状回復のために必要な科学・技術と予算です。新粒子の生成を、一過性の現象として確率論的にしか捉えられない、つまり科学の本質である再現性が保障されないILC実験施設に巨額の予算を使って建設・運用する必要がどこにあるのか、また、何を成果物にするのか説明はされていません。

 

3.ILCを日本に招致しなければならないのか、その理由が明らかにされていません。


ヨーロッパでは長い間、セルンの最先端加速器LHCを使って、新粒子を生み出す実験が繰り返されてきました。実験の主導は欧米の科学者によっており、日本も研究者を派遣して協力しているのですから、ヨーロッパでILCを建設して、実験を深化させ、今のように成果を共有する選択肢もあるはずです。今回その選択肢を採らず、なぜ日本に招致・建設しなければならないのか、理由は明らかにされていません。ヨーロッパがILCの建設に積極的でない理由が、その装置と生成物が危険だからではないでしょうか。一体、セルンの物質漏洩事故の原因と環境影響評価は、ILC計画にどのように継承されているのでしょうか。また、ILCで日本の科学者と研究者は主導性を発揮するとは思えず、日本は自然と予算を提供するだけに終始するのではないでしょうか。

 

4.震災復興の時期に、2兆円もかけてILC計画を実行に移す財政的余力はありません。


福島原発事故は終息していません。東北大震災から2年半が過ぎようとしています。しかし、復興は思うように進んでいないのが現状です。今、日本が全力で取り組むべき課題は、原状回復に向けた震災地復興、原発事故の原因究明と被害対策、そして健康被害救済です。建設に約1兆円、運営に毎年320億円、30年で約1兆円、合計2兆円を超す予算が必要なILC計画を進める財政的余力はありません。被災地復興に優先する事業でもありません。

 

5.膨大な電力需要は、九州電力の原発再稼動の口実にされようとしています。


ILCの運転には約20万キロワットの電力が必要だとされています。九州の財界では電力会社の元幹部が、膨大な電力供給源として、原発再稼動を示唆しています。ILC計画が原発再稼動の理由にされ、原発事故の危険が高まることは許されません。

 

6.自然環境破壊と実験終了後の空洞利用形態が不明です。


ILCの建設中と実験中にも農地、水系などの生態系の破壊と健康被害を発生させる危険があり、実験が終った後に残される延長31kmの空洞は、使用済み核燃料の最終処分場になり、環境と人の健康を永続的に害する事態となる危険があります。


結論


ILC計画は、2兆円の予算を講ずるに値する学術的意義のある研究なのでしょうか。

生成して新粒子が一過性のものであり、再現性が保障されないといわれています。この不確かさは科学なのでしょうか。

「国際的に開かれた共同研究」(大西隆会長の「国際リニアコライダー計画に関する検討委員会設置提案書」に記載、以下「提案書」)にあると謳いながら、市民が理解できる説明がなされないまま、推移しています。思いますに、今、日本の科学的営為は、福島原発事故の解明と、放射性物質など有害物質の拡散防止と国土回復、健康被害救済の分野に傾注すべきです。市民・国民はこれらの課題研究に成果があがることを期待しています。

今、日本にはILC計画のような不要・不急の事業に費やす予算的・人材的余裕はないのではないでしょうか。

自然環境と人の健康を害することが心配され、実験終了後に残される空洞が使用済み核燃料の保管庫にされないとも限らないILC計画には、日本に誘致・建設しなければならない積極的理由が見受けらません。同計画を審議されるにあたって、市民の「北上山地も背振山系も立地に選定せず、ILCを日本に招致・建設しないでください。」という意見も斟酌してください。


(転載終わり)



写真は脊振山系東部、稜線上にある登山道。遠くに金山(967.2m) 

 




【動画】リニアコライダーは必要ですか?~せふり山系 森と水のねっこわーく~

 

 

 


五ヶ山・脊振山地

2013-07-24 15:22:10 | 五ケ山ダム

先日の参議院選挙は自民党が圧勝。これも忘れやすい日本国民がなせる技なのだろうか。何はともあれ、自民党独裁政権の再来に、気になる五ヶ山ダム、そして国際リニアコライダー・ILC候補地のひとつ脊振山地へ向かった。

 

前回、五ヶ山ダム現場を訪れてから5ヵ月半。現在、ダムサイトの建設予定地には、鹿島JVの現場事務所が建ち並び、すぐそばにはコンクリート打設用のクレーンがそびえ立っていた。ダム工事では大量のコンクリートを使う為、コンクリートプラントを設置しなければならない。現場では、その準備が始まっているようだった。とはいえ、標高1000m足らずの小さな脊振山麓に、黒部ダムの5分の1の貯水容量を保つ巨大なダムを造ろうとしているのだから、そう簡単に工事が進むはずもない。小河内あたりでは、木々が剥ぎ取とられ、地肌が露わになっているところに重機が張りつき、コンクリートの骨材を採取していた。脊振山頂からも、その痛々しい姿は確認できた。福岡市の水は足りているというのに、何故これほど巨大なダムを造らなければならないのか。これはもう、愚かとしか言いようがない。

 

そして、脊振山地。ここにも危機が迫っている。今月末、ILC戦略会議・立地評議会が開かれ、北上山地と脊振山地のどちらかにその候補地を選定するというのだ。欧米では財政難を理由に、誘致に消極的という報道がなされている。が、果たして理由はそれだけだろうか。地下100mのところに30kmもの巨大なトンネルを造るのだから、環境に影響がないわけはない。ところが、日本のメディアはILC計画を絶賛するばかりで、環境へのリスクや危険性については殆ど報じない。こうした中、今月6日、福岡市内で行われた物理学者藤田祐幸講演会『原発とエネルギー、九州の私たちにできること』で、藤田氏はILCの危険性について言及。「夢の何とかというものに、ろくなものはない」「科学者が夢を語ったときは、殆ど悪魔の科学」と一蹴。成程、頷けた。


自然を破壊してまで、宇宙創成の謎や時間と空間の謎を解明することに、どれだけの意味があるというのだろうか。科学者達は未知なる夢を語るが、自然にこそ夢が満ち溢れている。これ以上の夢はない、と思うのだが。

 

 

ダムサイト現場

 

 

 

 

巨大なコンクリートクレーン

 

 

 

 

坂本峠側から見た現場

 

 

 

  

那珂川源流近く

 

 

 

 

脊振山山頂から見た、五ヶ山ダム現場(写真右)

 

 

 

 

脊振山山頂から見る福岡市(中央に博多湾、背後に志賀島、左に福岡タワー)

 

 

 

 

 

脊振山山頂直下にある航空自衛隊基地

 

 

 

 

 基地内

 

 

 

 

脊振山系、夏模様  

 

 

 

 

《参考》

 ・せふり山系 森と水のねっこわーく

 ・ILC PROJECT[国際リニアコライダー計画]

 


ILC戦略会議・立地評議会に7月選定しないよう求める申入賛同依頼

2013-07-23 09:49:07 | 脊振風力・ILC

(以下、がれき問題を考える会・福岡と博多湾会議から転載)


ILC戦略会議・立地評議会に7月選定しないよう求める申入賛同依頼


がれき問題を考える会・福岡と博多湾会議は、添付の申し入れをILC戦略会議・立地評議会に表記申し入れ文を郵送します。ご賛同団体を募集しています。7月23日午前12時までに、ご返信か下記メールアドレスに賛同の旨をお送りください。個人賛同は当座の団体名でお願いします。公開は団体名のみですが、連絡e-mailアドレス、住所、連絡者名をお書きください。また、日本学術会議、文部科学省、内閣宛てに、順次、申し入れ・質問などを行っていくます。その都度、皆様にご協力をお願いします。諸運動と協力して、この危険で無責任極まるILCの日本招致を蹴っ飛ばしたい、と決意しています。


博多湾会議/がれき問題を考える会・福岡 
脇 義重                   



(以下、申し入れ書転載)                

ILC戦略会議・立地評価会議御中                      2013年7月23日

                                      博多湾会議/がれき問題を考える会・福岡  

申し入れ書

北上山地も背振山系も立地に選定せず、ILCを日本に招致・建設しないでください。


はじめに

6月12日、リニアコライダー・コラボレーション(LCC)は、国際リニアコライダー(ILC)の設計報告書を発表しました。地下100メートルの深さに、全長31キロの直線トンネルを掘って加速器を設置し、電子と陽電子を光速99%以上に加速してビームをつくり、ビーム同士を正面衝突させ、「ヒッグス粒子」などが飛び出すのを捉え、性質を調べる計画だといわれています。そして、今7月末には「立地評価会議」が東北の北上山地か、福岡県と佐賀県にまたがる背振山系のいずれかに、国内候補地を選定しようしています。欧米は財政難を理由に誘致に消極的なので、国内候補地がそのまま建設予定地にされる危険性があります。このILC計画を背振山系・北上山地のどちらも選定せず、日本に招致・建設しないよう求めます。その理由として次の問題点を記します。

問題点

1.住民に対して、情報が伝えられていません。

一体、このILCが、何を目的にして、また、どのような科学的必要性があって計画されたのかは広く説明されていません。このままでは、住民はILC計画が有する危険性、環境への影響、健康被害、財政負担も含めた関連情報に接することなく、その地域が国内候補地に選定されてしまうことになります。

2.実験の過程と生成物の安全性が保障されていません。

実験は宇宙の熱核爆発ビッグバン当時の状況を作り出し、重質量の新粒子の発生を捕捉することを目指しています。しかし、実験の過程と生成物自体の環境への「安全性」が保障されていません。福岡市が主催したILC計画説明会で、質問に「安全」だとの回答が成された5月22日直後に、茨城県東海村にある同様の加速器実験施設「J-PARC」で放射性物質漏洩事故が起こりました。ヨーロッパでは同種の施設セルンでも同様の漏洩事故が起きています。衝突の度に蓄積される高いエネルギーが、地下100メートルを突き抜けて電磁波などによる障害が大地と大気におこる危険や生成される放射性素粒子の環境と放射能被曝など人体への影響の安全性は保障されていません。

今、求められているのは、福島原発事故の原因究明と原状回復のために必要な科学・技術と予算です。新粒子の生成を、一過性の現象として確率論的にしか捉えられない、つまり科学の本質である再現性が保障されないILC実験施設に巨額の予算を使って建設・運用する必要がどこにあるのか、また、何を成果物にするのか説明はされていません。

3.ILCを日本に招致しなければならないのか、その理由が明らかにされていません。

ヨーロッパでは長い間、セルンの最先端加速器LHCを使って、新粒子を生み出す実験が繰り返されてきました。実験の主導は欧米の科学者によっており、日本も研究者を派遣して協力しているのですから、ヨーロッパでILCを建設して、実験を深化させ、今のように成果を共有する選択肢もあるはずです。今回その選択肢を採らず、なぜ日本に招致・建設しなければならないのか、理由は明らかにされていません。ヨーロッパがILCの建設に積極的でない理由が、その装置と生成物が危険だからではないでしょうか。一体、セルンの物質漏洩事故の原因と環境影響評価は、ILC計画にどのように継承されているのでしょうか。また、ILCで日本の科学者と研究者は主導性を発揮するとは思えず、日本は自然と予算を提供するだけに終始するのではないでしょうか。

4.震災復興の時期に、2兆円もかけてILC計画を実行に移す財政的余力はありません。

福島原発事故は終息していません。東北大震災から2年半が過ぎようとしています。しかし、復興は思うように進んでいないのが現状です。今、日本が全力で取り組むべき課題は、原状回復に向けた震災地復興、原発事故の原因究明と被害対策、そして健康被害救済です。建設に約1兆円、運営に毎年320億円、30年で約1兆円、合計2兆円を超す予算が必要なILC計画を進める財政的余力はありません。被災地復興に優先する事業でもありません。

5.膨大な電力需要は、九州電力の原発再稼動の口実にされようとしています。

ILCの運転には約20万キロワットの電力が必要だとされています。九州の財界では電力会社の元幹部が、膨大な電力供給源として、原発再稼動を示唆しています。ILC計画が原発再稼動の理由にされ、原発事故の危険が高まることは許されません。

6.自然環境破壊と実験終了後の空洞利用形態が不明です。

ILCの建設中と実験中にも農地、水系などの生態系の破壊と健康被害を発生させる危険があり、実験が終った後に残される延長31kmの空洞は、使用積み核燃料の最終処分場になり、環境と人の健康を永続的に害する事態となる危険があります。

結論

自然環境と人の健康を害することが心配され、実験終了後に残される空洞が使用済み核燃料の保管庫にされないとも限らないILC計画は、日本に誘致・建設しては、ならないのです。したがって、7月末開催とされる「立地評価会議」で、背振山系に北上山地のどちらの候補地も建設予定地に選定しないでください。

(以上、転載終わり)





ILC候補地、脊振山系の東部尾根(7月21日撮影)


手前ピークから、金山(967.2m)、井原山(983m)、遠くに雷山(955.3m)