7月21日、アイランドシティのコンテナターミナルでアスファルトのくぼみに40匹のアリがいるのが見つかり、強い毒を持つ南米原産のヒアリと確認された。福岡市がその後、付近を詳しく調べたところ、翌日22日から24日までの3日間で130匹のアリが見つかり、このうち50匹がヒアリと確認された。さらに、27日午前、福岡市博多区にある会社敷地内で、中国から博多港に到着したコンテナから荷物を運び出す作業をしていた作業員1人がヒアリに刺された。このコンテナでは、30匹(サナギを含む)のヒアリが確認されている。これまで兵庫県尼崎市、神戸市、愛知県弥富市、大阪府大阪市、東京都品川区、愛知県飛島村春日井市、神奈川県横浜市、大分県中津市(北九州市経由)でヒアリが確認されているが、人的被害が出たのは福岡市が初めて。
今回、ヒアリが発見されたのは、アイランドシティの国際コンテナターミナルだが、目と鼻の先には「こども病院」がある。(下図参照)ご家族の不安は想像に難くないが、そもそもどうしてこのようなリスクが予測される港湾地区に重篤なこども受け入れる病院があるのか。それは売れない人工島の土地を埋めるために、福岡市が移転を強行したからで、今もなお多くの市民から疑問や反対の声が上がっている。高島市長は安全性は確保されていると豪語しているが、平成17年の福岡県西方沖地震では、こども病院横の道路が隆起し、液状化が発生している。アイランドシティは警固断層南東部の東側に位置しており、現在も頻繁に地震が起きている。その上、セアカゴケグモやヒアリなどの脅威に晒されているのだから、どうしてこれで安全だと言い切れるのか。こどもの命を軽視しているとしか思えないが。
ところで、昨日の報道によると、21日、広州の港から博多湾に運ばれたコンテナ22本のうち12本のコンテナについては、安全確認(消毒)がなされないまま県内外に運び出され、それらの行き先も把握できていないことが、NHKの福岡市への取材でわかったという。福岡市はコンテナを強制的に開けて調べる権限がないと弁明しているようだが、人命に関わることなのだから、確認して然るべきだろう。相変わらず危機管理能力の無さには呆れるが、九大村上貴弘准教授(アリ専門家)は、「港湾内でヒアリを封じ込めないと、全国に拡散して定着するのは時間の問題だ。少なくとも周辺からヒアリが確認されたコンテナに関しては強制力を持って中身を確認し、消毒するルール作りを早急に進めるべきだ」と忠告している。
アイランドシティは、破綻した人工島を象徴するかのように、港湾エリアと居住エリアが混在している。だからこそ管理は徹底されなければならないが、福岡市の対応を見る限り不安は拭えない。被害が出てからでは遅いのだが。
今回、ヒアリが見つかったのは赤丸のところ。こども病院は青丸。(福岡市資料より)
こども病院の背後、コンテナが積まれているところが国際コンテナターミナル
ヒアリが見つかったコンテナ(7月21日のNHK福岡ニュースより)
《関連記事》
・博多港でもヒアリ 九州初 数十匹確認、駆除(西日本新聞 2017.7.22)
・ヒアリ発見の博多港 安全確認せぬままコンテナ12本搬出(NHKニュース 2017.7.28)
《関連資料》
《参考》