yamanba's blog

報道されない情報を発信します
気分転換に山の話題など

【朗報】脊振山系の風力発電撤退

2022-09-12 17:30:40 | 脊振風力・ILC

今月2日、脊振山系で計画されていた風力発電事業について、事業者の大和エネルギー(本社・大阪府)が事業から撤退する方針を固めたと佐賀新聞が伝えていた。先日、山口でこの報道を目にして、思わず、やった~と叫んだ。これで脊振の自然が守られた。

撤退の要因は、保安林の指定解除に見通しが立たないからで、事業者は5~6月、撤退の方針を唐津市側に伝え、6月下旬に七山3地区の関係者に説明をしたという。大和エネルギーは、今年1月、七山3地区の区長から環境影響評価(アセスメント)の実施に関する同意書を得ていたので、一時はどうなるかと心配していたが、それから間もなく断念していたことになる。

建設予定地は唐津市所有の保安林が含まれており、開発には保安林の指定解除が必要になる。しかし、佐賀県と唐津市は開発要件に満たしておらず、指定解除は困難との見解を示していた。事業者としては諦めざるを得なかったのだろう。が、そもそも保安林に指定されているところに風力発電を計画すること自体、どうかしている。撤退報道から10日程経つが、未だに事業者から正式に撤退表明はされていない。当然のことながら、きちんと説明する責任はあると思うが、こういうところからして、この企業の体質が見て取れる。

何より、唐津市民や糸島市民をはじめ、多くの人が計画に反対したことは大きい。「自然と人々の生活を守りたい」との思いが(撤退を)後押ししたと言ってよいだろう。(私も必死に意見書を書いた甲斐があった)今回の風力発電計画は白紙になって良かったが、これからもずっと脊振の自然が変わらないよう願いたい。

 

 

脊振山頂より脊振山系を望む (2021年11月13日撮影)

 

 

 

《関連記事》

唐津市七山の風力発電撤退へ 大阪の事業者 保安林の指定解除困難で(佐賀新聞 2022.9.3)

佐賀唐津風力発電事業から撤退 住民の反対運動で(NetIB-News 2022.9.8)

 

《参考》

唐津∧糸島の山の未来を考える会(公開グループ) | ついにダイワエネルギー社が本事業からの撤退を表明しました | Facebook

 


【脊振風力発電計画】地元がアセス実施に同意、事業者は計画変更か?

2022-06-22 20:16:16 | 脊振風力・ILC

大和エネルギー(大阪市)が脊振山系に計画している風力発電事業について、なんと、七山3地区の区長が環境影響評価(アセスメント)の実施に同意していた。今月14日の唐津市議会で中村議員の一般質問で明らかになった。これについて、唐津市は「重く受け止めている」とコメントしている。事業者が七山に入っていたので嫌な予感はしていたが、地元がアセス実施に同意とは。

七山3地区の区長は、地質や騒音、景観などの現地調査を実施することに同意したもので、計画自体に同意したわけではないと思う。というより、そう思いたい。一方、佐賀県や唐津市から開発要件に満たさないと三下り半を突きつけられた事業者にとっては、まさに渡りに船。建設予定地の地元からアセス実施の同意が得られたことは大きい。一体、何があったのか?

建設予定地には唐津市所有の保安林が含まれており、開発には佐賀県による保安林の指定解除が必要になる。唐津市の峰市長も「保安林が果たす役割を考えると、解除については慎重に検討すべきと考えている」と述べている。それゆえ安々と事が進むとは思えない。しかし、事業者が保安林を外すなど、計画を大幅に変えてくれば話は違ってくる。今回の同意はどこまでのものなのか。もしかすると、計画変更を伝えた上での同意ではないのか。気になる。

 

 

七山地区、背後に女岳 (写真:九州森林管理局HPより)

ここ唐津市七山荒川は、山地災害危険地区(崩壊土砂流出地区)に指定されています。(参照:山地災害危険地区情報

 

 

 

大和エネルギーが昨年1月に公表していた計画図

土砂流出防備保安林を外してくるのか、、

 

 

 

《関連記事》

七山の風力発電、地元3区長がアセス実施に同意(佐賀新聞 2022.6.15)

 

 


【脊振風力発電計画】市民団体反対署名提出 事業者の動きは

2022-06-03 20:43:43 | 脊振風力・ILC

大和エネルギー(大阪府)が計画している脊振山系風力発電事業について、市民団体「七山・脊振山系の暮らしを守る 保安林を守る会」は、先月27日、唐津市の保安林を守ることを求める署名を唐津市の峰市長と事業者である大和エネルギーへ提出した。これは唐津市七山の自然と糸島市二丈に暮らす住民の命と暮らしを守りたいとの思いではじめられたもので、オンライン署名(436名)を含め、904名が賛同。前回の署名提出分を合わせると4000筆以上に上る。(私も署名させていただいた)

署名提出後、唐津市と質疑応答の場が設けられていた。「守る会」によれば、唐津市は再生可能エネルギーの推進や導入は進めていくが、保安林を保全するという佐賀県の意向をふまえ、今の計画のまま進めていくのは困難とした。その上で、業者が計画を極端に変更することがあれば、また一から検討することになるとしている。唐津市は佐賀県の方針に従うという見解である。

気になるのは大和エネルギーの動きだ。佐賀県は昨年10月、環境影響評価(アセスメント)方法書に対する県知事の意見書を経済産業相に提出し、開発の要件を満たしていない旨を伝えている。しかし、事業者からコメントはなく、情報は途絶えていた。そうした中、この度、新たな情報を目にした。(同会の報告によるものだが)今年3月、事業者による建設予定地の希少猛禽類の調査が行なわれていた。唐津市によれば、事業者は今も七山に話に行っているようで、それが住民に対するものか調査のためかは分からないという。唐津市は、事業者とは密に連絡を取り合っているとしながら、状況は掴めていないようだ。

もしかすると、事業者は今、地元住民の説得に奔走しているのかもしれない。いずれにせよ、市民・県民の多くが反対しているのだから、ここは潔く撤回の判断を下す最善の時だと思うのだが。

 

 

「七山・脊振山系の暮らしを守る 保安林を守る会」ホームページより

脊振山系を壊さないで

 

 

 

《関連記事》

七山の風力発電、反対署名追加提出 市民団体が唐津市長に(佐賀新聞 2022.5.28)

 

《関連資料》

オンライン署名提出完了のご報告(2022.5.28)

 

 


脊振山系風力発電計画、白紙になるか(10月22更新)

2021-09-29 09:40:00 | 脊振風力・ILC

大和エネルギー(大阪市)が脊振山系に計画している風力発電について、建設予定地となる佐賀県と唐津市は開発困難との見解を示した。開発する場合に必要となる保安林の指定解除について、県は今月16日、県議会の一般質問に対する答弁で「開発にかかる土地利用が公的な土地利用計画に位置づけられていない。解除要件に合致していない」として、現状では開発は困難との見解を示した。これを受け、唐津市の峰市長も27日、定例記者会見で「唐津市が土地利用計画に設定することは難しい」と明言している。

発電所の建設には、佐賀県による保安林の指定解除が必要となる。(そもそも土砂流出防備保安林に159mもの発電機を建てようと考えるほうがどうかしていると思うが)県は解除条件として、発電所の建設が公的な市の土地利用計画に位置づけられることとしている。唐津市はそれができないと言っている。これはもう白紙になったようなものではないか。今のところ、大和エネルギーの公式コメントはないが。(もしかして次の手を考えている?)

昨年7月、突然、報道された脊振風力発電計画に驚いて、必死に反対の意見書を書いて送った。その思いが届いたかどうかはわからないが、大和エネルギーには、これまでに多くの人が建設に反対していることを真摯に受け止め、計画撤回を決断してほしい。(朗報を待ちたい)

 

 

風力発電機の設置計画図(大和エネルギー方法書より)

発電機の設置場所は土砂流出防備保安林に指定されている。土砂流出防備保安林は、下流に重要な保全対象がある地域で土砂流出の著しい地域や崩壊、流出のおそれがある区域において、林木及び地表植生などの作用によって、林地の表面侵食や崩壊による土砂の流出を防止する目的がある。ここに開発などあり得ない。(人災が起きてしまってからでは遅い)

 

 

《佐賀県知事、意見書提出 2021.10.22更新》

佐賀県は先月30日、環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を経済産業相に提出し、開発の要件を満たしていない点を指摘した。開発するには国による指定解除が必要で、解除に関する審査は県が担う。これでほぼ決まりか。

唐津・七山風力発電計画「開発要件満たさず」 知事意見、経産相に提出(佐賀新聞 2021.10.1)

 

 

《関連記事》

唐津市長「土地利用計画への設定困難」 風力発電建設めぐり初見解(朝日新聞 2021.9.27)

脊振山系の風力発電 現状で開発厳しい見通し 県示す(朝日新聞 2021.9.18)

 

《関連ブログ》

七山・脊振山系の暮らしを守る 保安林を守る会

 

 


【脊振風力発電計画】地元住民の反対根強く、方法書縦覧など延長

2021-02-16 17:07:03 | 脊振風力・ILC

ドタバタしている間に動きがあった。今月3日、佐賀県の環境影響評価審査会が唐津市の七山市民センターで開かれ、方法書に記されている現地調査の手法などが審議されていた。審査会の議事録が公開されていないので、どういう意見が出たのかわからないが、報道によれば、委員から「風車設置予定地付近に登山道があり、利用者に騒音や超低周波の影響があるのではないか」「渡り鳥の飛行ルートに当たり、バードストライクの危険性がある」など指摘があったという。今後、審査会で出された意見をもとに、大和エネルギーは現地調査を行う。

また、報道によれば、地元住民の反対が根強いことや新型コロナウイルスの感染拡大で住民への説明が進んでいないことから、当初、2月15日までとされていた方法書の縦覧は2ヵ月延長し、4月15日まで。あわせて意見書の受付も4月30日まで延長されることとなった。昨日、同社のホームページを見ると、延長のお知らせが掲載されていた。もちろん、住民が反対していることは書かれていない。

ところで、先月、唐津市七山公民館で行われた住民説明会に参加された方のnoteを見かけた。地元の内情が詳しく書かれており、大変興味深く拝読させていただいた。記事によると、やはり反対運動の主流となっているのは、糸島市の人達で、そこに脊振山の保護活動をされている方々(おそらく「脊振の自然を愛する会」ではないだろうか)が加わり、昨年から活動されていたらしい。それで、大和エネルギーは糸島市を対象地域から除外したのだろう。

先月22日、七山公民館で実施された住民説明会にもそうした方々が参加されており、事業者の説明のあとに行われた質疑応答では、かなり専門的なやりとりもあったようで、反対の声が相次いでいたという。このことが報道されていたわけだが、建設地である七山の住民からの質問は少なかったという。note筆者は、こうした住民間の乖離を懸念されている。何となく予感はしていたが、やはりという思いである。ともかく建設地の住民の方々が、最善の答えを出していただくほかない。七山の未来のために。

 

 

2月3日、佐賀県環境影響評価審査会の様子 写真左が委員と県関係者、右が事業者(写真:佐賀新聞より)

 

 

 

 

美しい脊振山系がこういうことに、、 (写真:大和エネルギーHPより)

 

 

 

《関連記事》

脊振山系の風力発電計画、現地調査の手法を審議  地元住民からは反対根強く 佐賀県環境影響評価審査会(佐賀新聞  2021.2.3)

 

《参考資料》

大和エネルギー。(仮称)DREAM Wind 佐賀唐津風力発電事業 環境影響評価方法書の縦覧並びに意見書受付期間の延長について(2.15)

脊振の自然を愛する会ブログ