先週27日、寒波の合間を縫って福岡へ戻ってきた。それにしても、山口の田舎は寒かった。2016年1月以来の最強寒波がもたらしたのは、雪ではなく低温だった。
24日正午頃、福岡市は吹雪に見舞われていた。その頃、山口の田舎は晴れていた。台風並みの風が吹いていたが、雪は降っていなかった。24日夜から25日朝にかけて雪は降ったが2㎝程度。昨年12月17日からの寒波の方が雪は多かった。ところが、気温は半端なかった。25日朝の気温はマイナス4℃、室内の気温は0℃。まるで冷凍庫の中にいるようだった。(冬山装備で寝ていた)26日には落ち着くかと思いきや、また雪が降り出した。気温は少し上がったが、それでもマイナス2℃(室内2℃)。実家は昔の木造家屋なので寒さが違う。
福岡管区気象台の資料を見ると、1月24日から25日にかけて強い冬型気圧配置となり、九州北部地方の上空約1500メートルには、マイナス15℃以下の強い寒気が流れ込んでいた。(下図参照)25日朝には、山口県山口市で13㎝、大分県国東市で18㎝の大雪となっていたが、殆どが数センチ程度の積雪にとどまり、大雪は限定的なものだった。なぜなのか。
気象庁の説明によると、大陸から日本に南下してくる寒気は、日本海で海水表面の熱と水蒸気の供給を受け、雪雲を発達させていく。海上で生まれた雪雲が風の流れに沿って次々と同じ地点に集中した場合は局地的な大雪となるが、今回は福岡や長崎、佐賀ではそうした条件にならなかった。大分県国東市で大雪になったのは、玄界灘で発達した雪雲が北西の風に乗り、断続的に流れ込んだ結果だという。
一方、気温は各地で過去最低となった。原因は強い寒気と放射冷却現象の影響によるものだった。九州・山口で最低気温の観測史上1位を更新したのは、熊本県上益城郡甲佐町でマイナス9℃。1月の最低気温を更新したのは、山口県山口市徳佐でマイナス12.9℃、宮崎県西都市でマイナス7℃など、いずれも1月25日に記録されている。まさに、この日、10年に1度の低温となった。
1月24日午後1時前頃の気象衛星ひまわり画像(スマホでスクリーンショットしておいたもの)
この頃、福岡市は吹雪に。ツイッターを見ると、堀内議員(福岡市議)がその様子を投稿していた⇒動画
雪は大して積もっていない (写真:tenki.jpより)
1月24日21時頃と1月25日9時頃の天気図(福岡管区気象台資料より)
マイナス15℃線内にいた、、(この頃、山口の田舎はマイナス3℃くらい)
1月24日午後9時頃の気温(スマホスクショ)
九州まるごと氷点下
最強寒波でも大雪は限定的(西日本新聞1月26日付より)
大分県国東市と熊本県天草市牛深では大雪に
※牛深は長崎・五島列島の南海上で発生した雪雲が北西の風に乗り断続的に流れ込んだ(国東市は前述したとおり)
今回の寒波により、九州山口では、大分県で人的被害(1人死亡、負傷者2人)が出ているが、住家などの被害は出ていない。また、水道管の凍結による断水は、大分県で922戸となっている。ちなみに、2016年の寒波では、福岡県で転倒などによる負傷者が211人、水道管の凍結や破裂などによる断水は22万戸(全国最多)に上った。これは空き家の水道管の破損によるものだった。今回の寒波では、事前に空き家の元栓を締めていたため、漏水を防ぐことができ、断水は大幅に減少した。教訓が生かされた。今回の寒波は、2016年1月寒波を上回るとも言われていたが、大きな被害がなかったのは何よりだった。
《関連記事》
・最強寒波でも大雪は限定的 福岡、佐賀、長崎の気件を分析(西日本新聞 2023.1.26)
・福岡県内、水道管の凍結・破裂が激減 寒波対策、自治体の“秘策”(西日本新聞 2023.1.26)
・九州 平地も雪積もり始める 25日にかけて記録的低温、大雪、暴風雪の恐れ(tenki.jp 2023.1.24)
《参考資料》
・令和5年1月24日から25日にかけての九州地方の大雪、暴風雪と低温について(2023.1.27)