福岡市民の水道用水を確保するために、試験湛水中の五ヶ山ダムが放流されることになった。福岡市関連8つのダム貯水率は減り続けており、30%を切るのも時間の問題だと思っていた矢先、福岡市が動いた。30日、高島市長は、昨年秋以降の少雨の影響で、ダム貯水量は過去30年間で2番目に低い状況であることから、五ヶ山ダムの水を使うことにしたと述べた。来週、福岡市は福岡県に五ケ山ダムの放流を要請するという。これで福岡市民の水は確保されることになる。(これはこれで問題はあるが)
一方で、頭を抱えているのは那珂川市だろう。というのも、那珂川市はダム湖を活用した水上スポーツ(カヌーなど)のために整備を進めており(試験湛水中はダム湖は使用できないので)、試験湛水が終わるのを待ちわびている。しかし、放流によって試験湛水の遅れは必至となる。先日、那珂川市は、五ヶ山ダム周辺のアウトドア拠点「五ヶ山クロス」のグランドオープンを3月29日に決定したばかりだが、ダム湖での計画はずれ込むことになるだろう。那珂川市にとっては、さぞかし頭の痛い話に違いない。
五ヶ山ダムは、平成28年10月から試験湛水がはじまったが、なかなか水は貯まらず、昨年7月の西日本豪雨でようやく満水になった。その後、昨年秋からの少雨が影響し、常時満水位を保った状態だった。試験湛水を終わらせるには、サーチャージ水位まで水を貯める必要があるが、あと6m足りない(容量にして約800万㎥)。この状態で放流すれば、どれだけ試験湛水が遅れることになるかわからない。そんなことを考えているのかいないのか、福岡市は五ヶ山ダムから1日当たり18万㎥前後を取水する予定だという。現在、五ヶ山ダムには3200万㎥の水が貯まっているので(このまま雨が降らない場合)、約180日分の水が担保されていることになる。
「五ヶ山ダムをつくってよかった」という声が聞こえてきそうだが、喜んでばかりもいられない。というのも、五ヶ山ダムの水源地近く、脊振山中には枯葉剤の原料となる245T剤が埋設されたままだからである。続きは、次稿で詳しく。
《2019.2.2更新》福岡県河川管理課へ問合せ
試験湛水中の五ヶ山ダムが放流されると言うので、ダム情報が公開されるのか(今は試験湛水中のため非公開)、昨日、福岡県河川管理課へ問い合わせをしてみた。すると、福岡市への取水がはじまったとしても公開の予定はないとの返事だった。反論はしなかったが、安全性の問題もあるので情報は公開されるべきだと思っている。
放流について尋ねてみると、何とも言えないと言葉を濁した。おそらく福岡市との協議が行われていないので、はっきりしたことが言えないのだろうと思い、重ねて問い直すと、今後の雨の降り方次第、1週間後になるか2週間後になるかわからないとの返事だった。もしかして放流しないこともあるのか。気象庁の1ヵ月予報を見てみると、2月は雨や雪が多いとなっているが。果たして、福岡市と県との協議はどうなるのか。まさか宿泊税のような対立はないだろうが、気になる。
試験湛水中の五ヶ山ダムに出番が、、(写真:1月12日撮影)
あと6mのところで放流、、(写真:1月12日撮影)
水は南畑ダムへ、そして福岡市へ ※南畑ダム31日現在の貯水率は16.09% (写真:1月12日撮影)
31日9時現在の貯水率は31.98%(15日間で6%、1日平均0.4%ずつ減少)30%を切る前に放流を決断したとみられる
《関連記事》
・福岡市が県営五ケ山ダムの水を水道用水に 他ダム貯水量低下、来週にも(西日本新聞 20019.1.31)
《関連資料》
・福岡市HP。五ケ山ダムに貯水中の水を活用します!(2019.1.30)