火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

明るく輝くエリュシウム山!

2011-08-25 22:05:30 | 火星地形
8月24日、火星通信の#388がアップされました。
下記に目次を示します。
・巻頭エッセイ:暗斑状のエリュシウム山は地球上から検出できるか (クリストフ・ペリエ、近内 令一)

・09/10 CMOノート(16):ビル・フラナガン氏によるヘスペリアの朝雲の検出(南 政次)

・09/10 CMOノート(17):デウテロニルスとマレ・アキダリウムの間の明帯について(南 政次)

・09/10 CMOノート(18):森田氏によるタルシス地方からアルカディアに掛けてのワイン色の検出(南 政 次)

・Ten Years Ago (195): CMO#249 (2001年八月10日号) (村上 昌己)

・Ten Years Ago (196): CMO#250 (2001年八月25日号) (村上 昌己)

・火星観測のための物理暦表:2011年九月用 (村上 昌己)

・LtE(和文)

・ 編集後記 (火星課長:村上 昌己)

今回の巻頭エッセイは、エリシウム山(Elysium Mons)とヘカテス丘陵(Hecates Tholus)について、火星通信の方々が地球上からの観測で観測できたかを検証しています。
同じ火山でもオリンポス山やタルシス三山と比べると規模が小さいので地球上からの観測はかなり大変な様子です。


上記の画像は、Mars Global SurveyorのMOLA(The Mars Orbiter Laser Altimeter)による火星の立体地形の高さが色分け表示されている(白色が最も高い)画像です。
画像の北半球の左端にある山がオリンポス山で右端にあるのがエリシウム山です。エリシウム山の少し右上にあるのがヘカテス丘陵です。
オリンポス山とエリシウム山は、高さが9kmほど違います。比率で言うと約64%となります。

「地球からのプロ機材による成果」ということで、ハッブル宇宙望遠鏡の1995年の画像とピク・デュ・ミディ天文台で2007年11月に撮られたエリシウム山の画像が紹介されています。
かなり、鮮明なもののオリンポス山などと比べると小さな点ですね。
火星通信のメンバーの観測では、2007年の接近時に良い画像が得られています。
それ以前は、惑星撮像システムがまだ未発達で良い画像が得られていないとのことです。
2003年は、大接近だったのですが、残念ですね。
2012年は、小接近なので期待薄ですが、2014年は2007年より少し遠いくらいですので期待できませんかね・・・
村上さんは、かなりの年数を待たないと良い画像が得られそうもないと仰ってます。
良い画像を得る為の条件は、下記3条件です。
①より近づくこと(視直径が大きい)
②山岳雲の活動の影響がないこと
③火星の地球に対する傾き具合が良いこと

今回のお話も、かなり専門用語が多く事務局には、難解でしたが、結論から言うと「それらしい画像は得られているが、立体陰影像効果が分かるハッキリした画像は、得られていない。」ということです。
でも、火星通信の方々は、かなり健闘していると思いました。
因みに、エッセイの中にDamian PEACHさんが2007年11月16日の00:22UTから03:04UTの長時間、R画像シリーズを撮ったものが図6で紹介されています。
図6について村上さんが、「エリシウム山の立体陰影の変化が見えますかね?それとも見えないですかね?」と質問されていますので、是非見て投稿してください。
事務局は、立体的に見えましたが、立体陰影の変化とまで言えるかどうか自信がありません。

データです。

①エリシウム山(北緯25°、東経147°
標高16km

②オリンポス山(北緯18°、西経134°)
標高25km

図6の時刻は、UTが使われています。UTとは、「辞書:科学用語の基礎知識 科学編 (NSCI)」によりますと下記の通りです。

「天体位置の観測に基づき計算された、天文学的な時刻。かつてのGMT(グリニッジ標準時)の現代的定義として1928(昭和3)年に登場したもので、世界各地における観測値を元に決定される。
現在標準時として用いられているUTC(協定世界標準時)と厳密には一致しないが、それを補正する基準として用いられている。」
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火星の洞窟探検

2011-08-20 17:31:09 | 火星地形

8月19日のMarsTodayにMROのCTXカメラチームが火山のPavonis Monsのスロープにあるクレーターの暗い点を今年の前半に見つけ、HiRISEでその特徴を調査した結果が報告されています。
Pavonis Monsは、Tharsis三山の真ん中の火山です。
写真の場所は、北緯3.7°、東経111.5°です。
地下に繋がる穴は下記の通り、大きな画像はここにて。



ダークスポットは、溶岩洞窟に開いた天窓であることが分かりました。
天窓は、直径約35メートルで深さ約20メートルと推定されます。
今のところ、それ以上の情報はなさそうですが、HiRISEで今年の後半に2回目の撮影を予定しています。
その画像によって立体的な画像が得られ、より詳しい情報が報告されるようです。
期待しましょう。

ちなみに火山洞窟学会によりますと、火山に見られる火山洞窟(溶岩洞窟)には、下記の5種類があるとのことです。
1.溶岩流の中に出来る玄武岩溶岩洞窟
2.溶岩流の中に出来る安山岩洞窟
3.火砕流の凝灰岩の中に出来る凝灰岩洞窟
4.噴火口の底に出来る噴火口洞窟(Pit Cave)
5.割目噴火口に出来る割目噴火口洞窟(Rift Cave)の5種類があります。

本日の、NHKのワンダー×ワンダーに火山洞窟学会の方が出ていました。
富士山は、火山洞窟の宝庫でもあるんですね。
火星の火山洞窟と富士山の火山洞窟を比較してみたいものですね。

火山洞窟については、伊藤雅紀さんの(済みません!引用させて頂きます。)火山洞窟探検報告に下記の通り、説明されています。

「火山洞窟とは、火山が噴火した際に流れ出る溶岩によって作られたものです。火山から流れ出た溶岩は、空気に触れる表面と溶岩内部では冷え方が異なり、表面から先に冷えて固まります。その結果、溶岩の表面が固まり、内部が流れ出て空洞が生じます。」

色々な世界があるものですね~

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乞うご期待!しっかりフォーカスします。

2011-08-12 10:12:01 | 火星地形
ESAのMarsExpressのサイトで8月5日に火星の夏至(2010年5月17日)の時期の北極の様子が発表されました。
この8月、9月に掛けてMarsExpressがこの場所をレーダーで調査するので、その前宣伝ですね。

下記の場所をHRSC(High-Resolution Stereo Camera)で観測した結果です。大きい画像は、ここにて。



ドライアイスの部分が完全に昇華して、水の氷の表面が現れています。
北半球の夏の始まりの季節ですね。
水の氷だけが残り、時折水蒸気の噴出が発生するようです。
冬には、数メートルの厚さの北極の雪や氷の層が北緯45°辺りまで広がります。
また、Rupes Tenuis(81.91°N、90.00°w)のような湾曲した急斜面を形成します。

春の間、ドライアイスの層は、薄い水の氷に覆われています。
そしてある時期から数ミリの水の氷の層が風によって剥がされてドライアイスの層がむき出しになります。

これらの過程から火星でのダイナミックな水循環が伺え、北極を覆う水の氷の蓄積の変化を解明することが期待されます。

この他で注目すべき特徴は、Chasma Boreale谷と色の付いている堆積物そして大砂丘地帯です。
大きい画像は、ここにて。



「1」は、Chasma Borealeです。
「2」は、堆積層です。季節の変動による変化が読み取れるそうです。Rupes Tenuisだと思います。
「3」は、北極冠を取り巻く大砂丘地帯の一部です。

Chasma Borealeの画像は、下記にカラー、白黒、3Dと紹介されています。
場所は、85°N、24°Wの辺り。
残念ながら、事務局は3Dメガネを持ってませんが・・・







Chasma Borealeは、幅が約100km、長さが約580kmで深さが約2kmの大きな谷です。

壁は、地層が完璧な形で露出していて、谷底には、インパクトクレーターがあり、一部は砂に覆われているが一部はむき出しのままとのこと。

暗いものと明るい地層がみれられます。より暗い層は、春の砂嵐で削られた層です。

MarsExpressは、北極冠を3次元で調査する為、レーダーを使用する予定です。
2003年12月25日に火星に到着して後、そのレーダーのアンテナは、2005年に展開されてからず~っと、観測に適した時期を待ち続けています。

レーダーは、大気からの電気的干渉が少なくなる夜の観測が最適であるとのことです。
いよいよ今年の8月から9月に掛けて観測のチャンスが訪れます。
因みに、9月15日、16日が火星の北半球の春分に当たります。
乞うご期待!!
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2倍の炭酸ガスでも・・・

2011-04-24 21:57:04 | 火星地形
NASAのJet Propulsion Laboratoryが4月21日に火星の南極に多量の二酸化炭素の氷(ドライアイス)の埋蔵を確認したと発表しました。
MRO(Mars Reconnaissance Orbiter)搭載のSHARAD(the Shallow Subsurface Radar)による地表下の探査によるものです。
コロラド州の研究者Roger Phillipsさん(the Mars Reconnaissance Orbiter's Shallow Radar instrumentのリーダー代理)たちが今週(と言うと4月18日週でしょうか)にthe journal Scienceで発表するそうです。

下の画像では、ドライアイスの厚さを色で示しており、赤が約600m、黄色が約400m、濃い青が100m以下を表示しています。



Phillipsさん達によりますと南極の水の氷をドライアイスが覆っていることは、以前から知られていましたが、今回確認したところでは、以前考えていたよりも30倍も多い量があることが分かりました。
その量は、12,000立方キロメートルでスペリオル湖と同じ量と言うことです。
そういわれてもピンと来ませんが、アメリカの人はこういう例えを良くしますね。
因みにスペリオル湖は、アメリカの5大湖で最大の湖です。

下記は、SHARADでのデーターです。
横に約330kmで南緯86-87°、東経280-10°。縦方向は、約1.7km。
SHARADは、イタリアの宇宙局(Space Agency)が提供したもので、ローマのSapienza大学がオペレーションをリードしているそうです。
そして、JPLと共同研究しています。




現在、火星大気の95%が二酸化炭素(CO2)ですが、南極のドライアイスの量は大気中のCO2の80%程度の量とのことです。
全部昇華した場合、火星全体で年間平均の気圧が75%増加することになるようです。
火星大気は、二酸化炭素が95.32%、窒素が2.7%、アルゴン 1.6%、酸素 0.13%、一酸化炭素 0.07%、水蒸気 0.03%、ネオン 微量となってます。
南極のドライアイスが全部溶ける可能性は、火星では結構頻繁にあります。
今までの研究結果から火星は、10万年かそれよりも短い周期で地軸が変動していることが分かっています。
南極が赤道になる可能性は、高いのです。
そうなった場合は、南極のドライアイスが全て気体となって今の大気と合体したら・・・
温室効果によって火星が暖かくなる~
どうもそうは簡単に行かないようです。残念です。
地球を悩ませている二酸化炭素の温室効果も火星のように薄い大気と低い湿度では、例え二酸化炭素が2倍に増加しても温室効果を発揮できないとのことです。
火星の南極には、ドライアイスの下に分厚い水の氷が有って、南極が赤道になった場合の真夏でも氷は、火星を冷やし続けるようですね。

下記に、HiRISEの画像
2009年8月18日の画像です。ESP_014342_0930
左は、南緯87°、東経268°辺りの520kmの範囲の画像です。
右は、左の四角い枠を拡大したものです。




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火山もいろいろ

2011-04-06 23:16:01 | 火星地形


4月1日に発表されたESAのMarsExpressからの画像です。
画像は、2004年11月25日から2006年6月22日の期間に3回に分けて撮影されたものです。
上記は、Tharsis3山の北東にあるCerauniusドーム地形とUraniusドーム地形の詳しい画像で、Cerauniusドーム地形に氷の雲が掛かっている様子が分かります。
雲が掛かっているとより親しみを感じますね。
ドーム地形と言っても火山です。
Cerauniusドーム地形は、直径130km、高さ5.5km。Uraniusドーム地形は、直径62km、高さ4.5km。
(Tholusをドーム地形としましたが、私の持っている火星の地図からの引用です。ラテン語で円形ドームのことらしいです。ちなみにTharsis3山は、Monsと言います。)

大きい画像は、こちら

下の画像は、contextual画像で 画面左下にTharsis火山のひとつAscraeus山が見えています。
これで位置関係が分かりますね。



大きい画像は、こちら

下記の画像は、the High Resolution Stereo Cameraで得られたDigital Terrain Model(DTM)です。
DTMを見ると地形の高低が分かりやすいです。



下の画像は、Cerauniusドーム地形の画像でカルデラから8°という急勾配の山腹に切れ込んだ谷が下まで続いて扇状地形まで繋がっている様子が分かります。
麓では、その流れを断ち切るように35km×18kmのRaheクレーターが横たわっています。
Raheクレーターは、斜めに隕石が衝突したことによって出来たと考えられています。



下の画像は、Uraniusドーム地形でカルデラが浅いですね。

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北極高原を穿つ

2011-03-22 23:18:24 | 火星地形


NASAが発表した北極高原を穿つ谷のChasma Boreale(北極峡谷)の画像です。
壁の高さは、約1,400メートルあります。
この画像は、Mars Odyssey が2002年12月から2005年2月までの間でMars Odyssey搭載の the Thermal Emission Imaging System instrumentを使用した長期の観測によって作られたものです。
どんどん素晴らしい画像が得られて、火星のことがより詳しく分かって来ました。
やはり、行くしかないようです。
最近、マーズノウト(火星探査者)を目指している日本の若者を何人か見つけましたよ。
頼もしいですね。
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火山の皺

2010-11-18 22:36:57 | 火星地形
11月12日に発表されたMars Express のPhoenicis Lacus地域の画像です。
Phoenicis Lacusは、19世紀の天文学者に知られていたとのことです。
彼らは、暗い点として見て海であろうと想像していたそうです。
残念ながら海ではなく、Tharsis台地の隆起によって形成され、更に火山活動の影響を受けて地形が変形されています。
そして、Noctis Labyrinthusと繋がって独特の‘地塁と地溝'(がけと谷)の風景をもたらしています。
場所は、Tharsis三山のArsia山から東にPhoenicis Lacus、Noctis Labyrinthusと並んでいます。

Arsia山:南緯8.31°、西経121.10°、標高16,308m(アルシア山)
Phoenicis Lacus:南緯11.50°、西経109.60°、標高6,488m(Lacusの意味が不明です。)
Noctis Labyrinthus:南緯6.55°、西経102.13°標高6,491m(ノクチス複合峡)



下記は、かなり際立った地形で周囲から3km沈んでいて、壁は玄武岩層が見られ、谷底を砂が埋めている様子が分かります。


大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/482-20101310-8417-6-3D-1-01-PhoenicisLacus_H1.jpg

下記は、Tharsis台地の隆起によって地形的変形を受けた様子が刻まれています。

大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/482-20101310-8417-6-3D-2-01-PhoenicisLacus_H1.jpg

撮影された範囲は、下記のとおりで、面積は、8100平方km(59.5x136km)です。


大きな画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/480-20101310-8417-6-ctxt-01-PhoenicisLacus_H1.jpg

下記は、Digital Terrain Model (DTM) での画像で、地形の高度を色分けしています。
紫色が最も低く、グレイが最も高くなっています。

大きな画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/480-20101310-8417-6-ht-01-PhoenicisLacus_H1.jpg



大きな画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/480-20101310-8417-6-ft-01-PhoenicisLacus_H1.jpg

玄武岩ということは、火山岩となります。
生命探査という点では、少し期待薄な感じですが、地形という意味では面白い場所ですね。
マグマとして火星の内部から出て来たと考えられるので、内部構造を推定する絶好の資料となるのではないでしょうか?
地球の玄武岩と全く同じなんですかね。

Yahoo百科事典によると下記のとおりです。
「塩基性(苦鉄質)火山岩の総称。カルシウムに富む斜長石(灰長石ないし亜灰長石)と輝石(普通輝石、ピジョン輝石、ときにチタン普通輝石、まれに斜方輝石)、橄欖(かんらん)石、磁鉄鉱などを主要鉱物とする。」

http://100.yahoo.co.jp/detail/%E7%8E%84%E6%AD%A6%E5%B2%A9/
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かなり低い

2010-11-10 22:30:33 | 火星地形
旧聞ですが、10月8日にESAがMars Express でのMelas Chasma(メラス地溝)の観測結果を発表していましたので紹介いたします。
場所は、マリネリス峡谷(Valles Marineris rift valley)の一部で南緯12°、西経70°辺りとなります。
火星で最も低い場所のひとつです。

詳しくは、下記にて
http://www.esa.int/SPECIALS/Mars_Express/SEM8PWSOREG_0.html

下記の画像は、200km×100kmの範囲で、左側の低地と右側の高地とでは、9kmの高さの違いがあります。
過去に水が流れていた証拠が豊富にあるとのことです。
明るい色の硫酸塩成分の堆積物も見られるようです。
しげしげ見ましたが、知識不足のためとPCの性能のせいもあり十分理解できませんです。
居住するのには、低地と高地どちらが快適でしょうか?
低地には、最後まで水が残っていたと考えられます。生命探査では、調査してみるべきところかと。
熱源も期待できそうですが、もっと火山に近いほうが良いかも・・・


大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/477-20101509-3195-6-co-01-MelasChasma_H1.jpg

下記の画像は、かなり迫力ありますね。
地すべりの荒々しい様子とそこにある岩石等は、水や氷や泥で流され堆積したような肌理をしているとのことです。


大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/478-20101509-3195-6-3D-1-01-MelasChasma_H1.jpg


下記の画像は、2006年7月1日にMars Express搭載のHRSC(High-Resolution Stereo Camera)で撮ったものです。およそ南緯10°、西経70°


大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/476-20101509-3195-6-ctxt-01-MelasChasma_H1.jpg

下記の画像は、HRSC(High-Resolution Stereo Camera)のデーターからDTM(a Digital Terrain Model)で作成したもので一番低地を紫色、一番高地をベージュ色で示しています。
地球では、海水面をゼロとして海抜で高さを表していますが、火星では、探査機の観測により平均の形状と大きさを導き出して「areoid」と定義しています。
「areoid」で言うとMelas Chasmaの一番低いところは、-5kmで、周囲の台地は、4kmの高さとなります。


大きい画像は、下記にて
https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/13/a194effd2d0c079c0e8c9a69a001c3b5.jpg

下記の画像のbox①は大規模な地すべりの様子を示しています。
box②は、水や氷や泥による堆積物の様子が見られます。
box③では、高地の様子が見れます。古い谷が保存されているようです。
box④では、拡大画像で見ると明るい色の堆積物が確認されます。

大きい画像は、下記にて
http://download.esa.int/images/marsexpress/476-20101509-3195-6-ft-01-MelasChasma_H1.jpg

地溝については、下記にて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%BA%9D
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密着取材も可能

2010-10-14 00:59:12 | 火星地形


10月11日のMarsDailyで見つけましたが、大気科学者のJoel LevineさんがNASAのスカウトミッションに応募するために250人を組織して準備しているとのことです。
それは、火星の空に飛行機を飛ばして今まで出来なかった探査をしようというものです。
元ネタは、Astrobiology Magazineの10月7日のPrachi Patelさんの記事です。

詳しくは、下記にて
http://www.astrobio.net/exclusive/3638/airplanes-could-unlock-mars-mysteries

過去30年間いろいろな軌道船や探査機で北極の氷から大気中のメタンまで探査してきたが、南半球の探査が十分ではない。
なぜ、南半球の探査が難しいかというと火星の地形が関係しているわけです。
南のほうが高地になっていて北半球が低くなっているため探査機を着陸させるには、北半球のほうがやさしいのです。
また、南半球のほうがでこぼこしているとも言ってます。
そのため南半球への着陸は、見送られてきています。

ARES(Aerial Regional-Scale Environmental Surveyor)は、全長5メートル、翼幅6.5メートルでロケットエンジンを使用します。
火星の大気には酸素がありませんからね。
ARESは、aeroshellの中に折りたたまれて火星大気中に突入します。
その後、パラシュートでaeroshellが減速して、高度32kmでARESは、aeroshellから放出されます。
ARESは、翼を広げてロケットエンジンに点火します。
そして、1,600メートルの高度から約2時間、距離にして約1,500kmの地域を調査して火星表面に到達する計画です。
その間に、飛行機に搭載されたビデオカメラ、地磁気センサー、質量分析計、point spectrometer(点分光計)、context camera(背景カメラ)でデーターを集めるとのことです。
空気中のサンプルは、3分置きに採取するようです。



来年打上げ予定のMSLは、着陸時に逆噴射クレーン方式での着陸を予定していますが、ARESのほうが確実性が高いと言ってます。
従来の探査機は、数年単位で活動を続けています。
これに対してARESは、数時間の探査で終わってしまうとの指摘に対しては、着陸後も地表のローバーと同様に探査を続けることが可能であるとのことです。
MRO(Mars Reconnaissance Orbiter)が約280km上空から観測しているのと比較して超接近となるので、地上の様子がもっと詳しくわかることが期待できます。
ビデオ撮影も期待値高いですね。
どうもPhoenixのライバルだった様で、次のスカウトミッションに採用されることを祈ります。
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泥火山でい

2010-08-21 18:05:31 | 火星地形
8月20日のMarsDailyによりますと、生命探査のためにアキダリア平原(Acidalia Planitia)で多数の泥火山が詳細に観測されているとのことです。
Oehlerさんと彼女の共著者Carlton Allenさんによる研究です。
Dorothy Oehler(research scientist at the Astromaterials Research と Exploration Science Directorate at NASA’s Johnson Space Center)



Mars Reconnaissance Orbiter(MRO)搭載のCRISM(画像分光計)から得られた画像を分析した結果です。

同じものではないですが、泥火山の画像は、下記にて
http://apod.nasa.gov/apod/ap090330.html


Oehlerさん達は、Icarusの8月号で発表したレポートで、その地域で1万8000以上の円形のマウンドをマッピングしたことを報告しています。
彼らの見積りでは、このままマッピングを続けるなら、その領域で4万以上の泥火山を見つけることができるということです。
2人の科学者は、マウンドが他の工程で引き起こされた可能性を除外しています。
報告書では、マウンドが隕石によるインパクトやice-cored マウンドや蒸発堆積物や溶岩流による構造であるはずがない詳細な説明を提供しています。

Kenneth Tanakaさんは、「Oehlerさんの報告は、はるかに詳細に泥火山の数と位置を記録することによって、原始の生命の生息地として、より深くそれらの起源と関与の可能性を分析します。」と言ってます。
Kenneth Tanaka(米国地質調査所(the U.S. Geological Survey)のAstrogeology Science Centerの科学者)


また、Tanakaさんは、これらの特徴(また、火星の北平野のほかの場所にも現れる)が、生命の兆候を検索する良い場所であると言ってます。
泥火山は、ガス、液体の、そして、きめ細かに粒状の岩石(または、泥)の混合物が数メーターか数キロメートル地下から表面まで追し出されて出来た地質構造です。
地球上では、泥火山は石油産業で重要な意味を持っています。
なぜなら、陸で見つけられたものは、油層を予測することが判っています。

火星の泥火山の大きさは、直径が10km程度までで高さが数100メーター程度までです。
火星の表面が生命に不適である一方、微生物は地下に存在できると考えられています。
泥火山はかなりの深層から表面に地下の物質を持って来ているので、科学者に火星の深層部分の物質を提供します。

この研究は、火星上で生命を確立するための最適な場所であるかもしれない地域を決めることを助けることができます。
探査ミッションは、有機的なbiosignaturesを最も持ちそうなサイトを狙うのにこの情報を使用できるでしょう。

一方でTanakaさんは、泥火山は20-30億年前のものであるので生命の兆候を見つけるためには適切ではない場所になっているかもしれないと言いました。
更に、より良い場所は、最近のクレーター衝撃地点とより若い高水流量からの堆積物のあるところを含みます。と言ってます。

Tanakaさんは、biosignaturesを捜し求める宇宙生物学者のために、良い代替の位置としてAthabasca Valles(アサバスカバレス)と呼ばれる火星の谷を示します。
科学者は、そこの年代を2-3000万年前であると見積もっています。
火星でそれは、最も若いチャネルです。

Oehlerさんと彼女の同僚は、事実上、Acidaliaの円形構造が泥火山であるという更なる証拠を提供するためにMRO画像を分析し続けることを望んでいます。
「私たちは、Acidaliaが長期に亘って水源であったため、生命で豊富であったかもしれない場所であると信じています。」と、Oehlerさんは、言いました。
「生命が今までに火星で発展したのなら、そこは生命の徴候を探すためのより良い場所の1つです。」とも言ってます。

ネタ元は、Astrobiology Magazineで詳しい画像が載っています。
詳しくは、下記にて
http://www.astrobio.net/exclusive/3586/mud-volcanoes-on-mars

http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20100005634_2010005251.pdf

NASAが2009年に纏めたレポートがありますね。
泥火山は、アキダリア平原だけではないようで。
クリュセ、ユートピア平原、イシディス平原などにも見られるようですね。
http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20090010216_2009009632.pdf

泥火山がこんなにたくさんあるのを初めて見ました。
Tanakaさんは、生命の探査に良い場所だと言いながら、古すぎるので難しいかもとブレている感じです。
でも、探査して面白いところではないかと思います。
火星に行ける様になった場合は、じっくりと調査を進められると思いますのでこの地に人類が足跡を記す可能性がありますね。
泥火山は、古い年代のものしかないのでしょうか?
新しい泥火山があったら、それは最優先で行くべきところとなるでしょうが。

泥火山については、下記にて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A5%E7%81%AB%E5%B1%B1
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40億年前の火星と似た環境が地球にある?

2010-08-12 22:54:58 | 火星地形
7月30日のMarsDailyによりますとOdysseyのデーターからNili Fossaeで熱変成を受けたと見られる粘土-炭酸塩岩についてthe journal Earth and Planetary Science Lettersに発表されたとのことです。



Nili Fossaeは、北緯25°、東経75°辺りでイシデス平原の近くですね。
約40億年前に熱水が存在しており、生命活動の可能性が強く示唆されています。

論文はAdrian J. Brownさん他による "Hydrothermal formation of Clay-Carbonate alteration assemblages in the Nili Fossae region of Mars"というタイトルです。

火星のNili Fossae 領域で発見された炭酸塩を含んだ岩がultramafic岩(たぶん komatiitic)の熱水変成で作られたのを示唆しています。
岩石関係、詳しくないのでご存知の方、教えていただけると嬉しいです。
komatiiticは、コマチ岩というらしいのですが・・・

このことにより、「太古の火星でその熱水活動がNili Fossaeで十分なエネルギーを生物活動に提供したと示唆します」とのことです。

今後の探査の重要な候補地でしょうね。
でも、2008年11月23日の当ブログで触れたMSL(Mars Science Laboratory)の4箇所の着陸候補地には入ってませんがね。


詳しくは、下記にて
http://www.marsdaily.com/reports/Rocks_On_Mars_May_Provide_Link_To_Evidence_Of_Living_Organisms_Roughly_4_Billion_Years_Ago_999.html

火星のNili Fossaeの類似環境が地球の西オーストラリアの東Pilbara地域のArchean火山だろうという議論もしているとのことです。
火山活動による熱水環境での生命活動が40億年前の火星の状況を再現できると考えるとわくわくします。

西オーストラリアか~。何とか行けない所ではないですね。

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初めてのおつかいには誰が行くのでしょうか?

2010-07-26 21:59:46 | 火星地形



7月23日にNASAは、今まででもっとも正確という触れ込みで新しい火星の地図を発表しました。

記事の内容は、下記にて
http://www.nasa.gov/mission_pages/odyssey/odyssey20100723.html

それは、Mars Odyssey 搭載の the Thermal Emission Imaging System(THEMIS)が撮影した21,000枚の画像から作られた地図です。
境目が無く、アップしたり全体を見たりスムースに動かせます。
最大にアップしたときは、画像の幅が100mに相当する程度に拡大されるとのことです。

http://www.mars.asu.edu/maps/?layer=thm_dayir_100m_v11 .

より高機能なPCやソフトを持っている人は下記から高解像度の画像がダウンロードできます。
事務局のPCのレベルでは、今一でした。
http://www.mars.asu.edu/data/thm_dir_100m .

NASAがマイクロソフトと共同で作った火星サイト「Be a Martian」の地図の調整にも寄与するとのこと。
http://beamartian.jpl.nasa.gov/maproom#/MapMars


高解像度の3-D地図ということでは、当ブログ(7月16日)で触れたNASAとMicrosoftとが共同でNASAの火星データを追加した「WorldWide Telescope」を見るということになりますね。


実際に見てみるなら下記にて
http://www.worldwidetelescope.org

こうなると火星に行っても迷わないでおつかい出来ますね!
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次のそしてその次の君達への贈り物

2010-07-16 21:31:16 | 火星地形
7月13日のMarsTodayによりますとNASAの Ames Research CenterとMicrosoftとが共同で「WorldWide Telescope」にNASAの火星データを追加し、高解像度の3-D地図を作成したと発表しました。



詳しくは、下記にて
http://www.marstoday.com/news/viewpr.html?pid=31233

MGS(Mars Global Surveyor)のMars Orbiter Camera が撮影した7万4000枚の画像とMRO( Mars Reconnaissance Orbiter)のHiRISEカメラが撮影した1万3000枚以上の高解像度画像などが新たに追加されたということです。

Ames Center Directorの S. Pete Wordenさんは「我々の希望は、このことが科学的な発見に取り組む次の世代の探査者たちを奮い立たせることが出来ればということです」と言ってます。

早速見てみましたが、かなりきれいな画像です。私のPCですと画像の切り替えに1分程度掛かりますが、待つ価値はありますね。
ただ、もっといろいろ楽しめるようです。
うたい文句としては、完全対話型画像と言ってます。
また、NASAの2人の科学者によるビデオツアーも見られるとのこと。
James Garvinさん(NASAの Goddard Space Flight Center)と Carol Stokerさん(Ames Research Center)です。
Garvinさんのツアーは、火星の地質史を見て、有人探査での3箇所の候補地について議論します。3箇所の候補地は、火星の異なる地質年代を代表してます。
Stokerさんのツアーは、「火星に生命は存在するか?」という質問に対してPhoenix着陸船の発見を説明するそうです。

「WorldWide Telescope」については、下記にて
http://www.worldwidetelescope.org

火星の画像は、下記のHiRISEのサイトにて
http://hirise.lpl.arizona.edu

HiRISEの画像からもいろいろな発見がされていますので、こういう貴重なデーターの公開ということが大変重要だと思います。
いくらでも研究のネタが出てくることが期待出来ますね。
これこそ競争原理による発展の連鎖に繋がります。
データーの独占は、個人の利益にしかならず、いつかは腐敗→捏造になる可能性を秘めているのでしょう。
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大昔、海に水が流れ込んでいた

2010-06-16 23:44:18 | 火星地形
6月14日のMarsTodayによりますと35億年前の火星には、地表の3分の1を占める海洋があったことが推察されるとの事です。
そして、数億年は存在していたと考えられるので生命が誕生していた可能性が高まったとの事です。
その研究結果が6月13日発行のNature Geoscienceに発表されています。

詳しくは、下記にて
http://www.marstoday.com/news/viewpr.html?pid=31040

発表者はColorado大学のDi AchilleさんとBrian Hynekさんです。
Di AchilleさんとBrian Hynekさんは、CU-Boulder研究室に所属しています。
お二人は、geographic information system(GIS)を使って調査した結果、火星上で海洋が36%を占めており、その総量を124百万立方km、平均深さは550mと推定しています。
この水量は、地球上の水量の10分の1程度です。
彼らは、52のデルタ地帯のうち29のデルタ地帯が同じ高度であることを突き止めたことで、火星に海があったことを推定してます。

二つ目の研究は、同じくCU-Boulder研究室のHynekさんとMichael BeachさんおよびMonica Hokeさん達です。
the Journal of Geophysical Research-Planetsに発表されました。
4万個の渓谷を研究した結果です。
その渓谷が形成されるためには、大量の降雨が必要であると言うことですね。
では、その大量の水はどこへいったのでしょうか?
地下に眠っていることがかなり確実です。

今後、2013年に予定されているNASAのMars Atmosphere and Volatile Evolution mission( MAVEN)が火星の水がどこにあるか答えてくれるでしょう。

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