メリーランドで開催されたアメリカ天文学会の年次総会の惑星科学部門で11月10日発表された内容は、フォボスに関することでした。
発表者のTerry Hurfordさんによりますと、フォボスは、岩ではないと考えられ、3,000万年から5,000万年以内にばらばらに壊れることが予想されるとの事です。
*Terry Hurfordさん:NASA’s Goddard Space Flight Center in Greenbelt, Maryland.
その発見の鍵は、フォボス最大のクレーターのスティックニー・クレーター(直径10km)にある放射状の溝だとの事です。
この溝は、スティックニーを作った天体が衝突した際の衝撃でできたと考えられていました。
しかしながら、この溝を良く調べると、下記の点で隕石による衝突で出来た溝ではなく、火星との潮汐力によって変形されたため生じた溝であることが分かったとの事です。
・溝が放射状に伸びていない。(隕石の衝突で出来た場合は、中心から放射状に伸びるはず)
・新しい溝が出来ていることが確認された。 (クレーターの変形は、確認されていない)
更に、最近の研究で、フォボスはしっかり固まった天体ではなく岩石などの破片の集合体で、表面を100mくらいの厚さでレゴリスが覆っている形ではないかと考えられているとの事です。
GIZMODOさんでも取り上げています。
http://www.gizmodo.jp/2015/11/post_20161.html
*今回の発表で、新しい内容としては、フォボスが岩ではないということだけです。
Wikipediaによりますと、もともとフォボスは、火星の潮汐力によって100年間で約1.8m引き付けられており、やがてロシュ限界に達し壊れる運命にある。そして、5,000万年以内に火星の表面に激突するか、破壊され火星の環となると考えられていましたので、既定路線と言えますね。