火星への道

有人火星探査の実現を夢見て!火星ミッションの情報を提供しています。

火星大気中で塩化水素を確認した!

2021-07-09 09:43:16 | 火星大気

旧聞ですが、2021年2月10日のESAの記事によりますと、ESAとロスコスモスが共同運用しているトレースガスオービターが火星の大気中の塩化水素を確認しました。

大分出遅れましたが、大切な情報ですのでメモします。

<塩素(Cl)の旅>
1.風によって塩(NaCl)を含んだダストが舞い上がり
2.太陽光がダストを暖め、水蒸気を上昇させます
3.NaClと水が反応して塩素(Cl)を放出します
4.放出されたClは、水素(H)を含む分子と反応して塩化水素(HCl)になる
5.そのHClは、大気中のダストに取り込まれて、火星表面に落ちる
6.または、そのHClは、太陽光によって水素(H)と塩化(Cl)に分離する
7.そして、塩素が酸素と結合して酸化塩素類(過塩素酸塩を含む)を形成することもある
8.そして、地表に戻る

(C)ESA

ESAのサイトはこちら
https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Exploration/ExoMars/ExoMars_discovers_new_gas_and_traces_water_loss_on_Mars

鳥嶋真也さんの記事はこちら
https://news.mynavi.jp/article/20210218-1737449/

火星の砂嵐については、平塚市博物館のこちらが分かりやすいと思います。
https://hirahaku.jp/hakubutsukan_archive/tenmon/00000025/72.html
ーーーー以下引用ーーーー
大砂嵐は発生の時期と場所が決まっています。南半球の春から夏にかけて、以下の場所で発生した砂嵐が惑星規模の大砂嵐にまで発達します。
・ヘラスの北西端とノアキスの間の傾斜面
・クラルス水路の西、南、あるいは南東に面した傾斜面
・大シルチスの東の低地イシディス平原
ーーーー引用終了ーーーー

ESAのトレースガスオービターは、火星から水が失われてきたメカニズムについても解明を進めています。
この件に関しては、後日とします。

*ESAも地道に成果を上げていますね!

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えっ!ドイツ火星協会が・・・

2020-06-26 00:41:57 | 火星大気

松村武宏さんが6月24日付けのSoraeでドイツ火星協会のプロジェクト「ARCHIMEDES」について記事を書いてます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0cfe65b5fb62a33c238a5d6362e63546a0cae7d2

最初は、いよいよ「ARCHIMEDES」が現実化するのかと思いましたが、でも何らかの進展があったのでしょうね!
今後、要注目です!
ドイツ火星協会のもともとのアイデアでは、直径16mと10mのバルーンがありましたが、Soraeの記事では、10mのバルーンに絞られたようです。
このバルーンに観測機器を乗せて上層から地上までの大気の観測をじっくり時間をかけて行うということですね。
それにしても、いろいろなアイデアがあるものですね~

周回機は、火星の周回軌道に入るために火星の大気を減速に利用することがあります。
また、着陸機は、火星大気に突入して高温に耐えながら減速して、数分で地表に降り立ちます。でも、どちらも大気を上層から地表まで詳しく観測することは出来ないのです。
そこが、「ARCHIMEDES」のアイデアですね。
10mのバルーンだと大気突入から地上まで30分から1時間かけて降りてきて、火星大気を観測できるとのことです。
16mのバルーンだと数時間かけて地上まで降りてくるようです。

ドイツ火星協会の「ARCHIMEDES」に関するサイトは、こちらです。
https://www.marssociety.de/en/the-archimedes-mars-mission.html

ドイツ火星協会の「ARCHIMEDES」プロジェクトは、2001年から始まっているんですね。
私自身も以前聞いたことがあったのですが、すっかり忘れていました。

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火星の嵐は、収束を始めました。発生から約2ケ月!

2018-07-28 18:04:04 | 火星大気

あたかも7月31日の大接近に合わせる様に、5月30日に発生が確認され、急速に全球規模となった今回の砂嵐が収束に向かう!
NASAがOppoutunityの更新情報で「砂嵐の終わりの始まりだ!」と報告しています。

JPLのニュース:https://www.jpl.nasa.gov/news/news.php?feature=7155

まだ、Opportunityからの連絡は入ってませんが、ローバーチームは、2007年の砂嵐から復活したOpportunityに期待しています。

砂嵐収束の情報は、7月23日この砂嵐を研究している科学者からの報告「巻き上がるダスト量より舞い落ちるダスト量のほうが多い」と言うものでした。
このことは、火星周回機やCuriosityからのデーターと合致することから今回の砂嵐が収束に向かい始めたことが確認されました。
・NASAの周回機から「火星の中層大気の温度上昇が止まった」という報告。
・地上のGaleクレーターで活動中のCuriosityから「上空のダスト量が減少している」という報告。

Space.comの記事:https://www.space.com/41302-mars-dust-storm-dying-down.html?utm_source=notification

下図は、2016年と2018年の火星接近画像です。

NASA, ESA, and STScI

https://www.nasa.gov/image-feature/goddard/2018/mars-oppositions-2016-and-2018

*いよいよ来週の火曜日、7月31日が火星大接近です。
31日の天気予報は、台風一過となる見込みですが、今週末の台風12号の動向が気になる状況です。
地球の嵐の情報にも注目しなくてはならない事態です。

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ダストストームの近況

2018-07-24 15:51:57 | 火星大気

NASA/JPL-Caltech/MSSS

上図のとおりストストームは、まだ収まっていませんね。
NASAのダストストーム最新情報は、以下にて見ることが出来ます。
https://mars.nasa.gov/weather/storm-watch-2018/

その中で各探査機が今回の全球的ダストストームを観測している様子が下記の記事。
https://mars.nasa.gov/news/8354/storm-chasers-on-mars-searching-for-dusty-secrets/

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大規模な砂嵐、全球を覆うか!!

2018-06-24 00:14:24 | 火星大気

NASA / JPL-Caltech / MSSS
上図は、6月11日にマーズリコネイサンスオービターから撮影されたダストストームの様子です。ダストストームは、5月31日から始まりました。
中央のローバーがOpportunityで、右側がCuriosityです。
6月12日ころには、3500万平方kmもの範囲に広がっており、これは火星の表面の4分の1にあたるとのこと。
Opportunityは、6月10日には応答があったが、13日になって応答がなくなったとのことです。
現時点では、低電力モードになっていると思われます。

下図は、Opportunityから見た大気の不透明度で、一番右が6月10日ころの様子です。
左から不透明度、1,3,5,7,9,11に相当します。
NASA / JPL-Caltech / TAMU

下図は、Curiosityが6月15日に撮影したダストストームの様子です。
Curiosityは、原子力電池を動力源としてますので、今回のダストストームを内部から観測することが期待できますね!
NASA / JPL-Caltech / MSSS

上図と1月23日に撮影された下図と比べると、ダストストームがCuriosityへと迫ってくる様子が伺えます。
NASA/JPL-Caltech/MSSS

下図は、Curiosityが6月7日(左)と6月10日(右)にゲールクレーターの東北端を撮影したものです。
確実にダストが増えている様子が分かります。


現在の情報では、今回のダストストームが全球規模になることが予想されています。
Opportunityは、2007年のダストストームを乗り切ってきたので、何とか今回も頑張って耐えてほしいと祈ってます。
2007年にOpportunityが経験したダストストームの不透明度は「5.5」程度でしたが・・・頑張れ!

下図は、今回のダストストームの観測体制です。
NASA/JPL-Caltech   

Curiosityのサイトからの記事
6月13日:https://mars.nasa.gov/news/8350/nasa-encounters-the-perfect-storm-for-science/

6月20日:https://mars.nasa.gov/news/8351/curiosity-captures-photos-of-thickening-dust/

Opportunityのサイトの記事
6月20日:https://mars.nasa.gov/news/8348/opportunity-hunkers-down-during-dust-storm/ 

AstroArtsさんの記事
6月8日:http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9961_duststorm

6月19日:https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9976_opportunity 

古いですが、火星のダストストームについてまとめた論文です。
https://www.gfd-dennou.org/arch/riron/mars/dust/pub/dust.pdf#search=%27%E7%81%AB%E6%98%9F+%E3%83%80%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%A0%27

地球の砂嵐については、Wikipediaで、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A0%82%E5%B5%90

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火星大気の高高度に雲なのかオーロラなのか?

2015-02-17 17:21:12 | 火星大気

アマチュア天文愛好家がthe journal Natureに驚きの観測結果を報告しました。こちらこちら
Agustin Sanchez-Lavegaさんが報告書の筆頭著者です。
*Agustin Sanchez-Lavegaさん:the Universidad del Pas Vasco in Spain

その現象とは、南半球のTerra Cimmeriaの上空250kmあたりで南北500km、東西1,000kmにも広がるPlumeが観測されたことです。
2012年3月12日と4月6日のそれぞれ発見されて、形態を変化させながら約10日間後に消えたということです。
従来、100km程度の高さのPlumeは、多く観測されていますが、250km程度の高度のPlumeは、少なく、Hubbleが1997年5月17日に観測した例があるようです。 

現在は、科学者達が今回発表された画像とHubbleのデーターを組み合わせて、このPlumeの特性と発生原因を突き止めようとしています。
考えられる原因は、以下の2つです。
1.水氷、二酸化炭素の氷や塵粒子の雲である可能性。
2.オーロラである可能性。
(Terra Cimmeriaは、局地的で強力な磁場を持つ「帯状地」が存在することが、火星周回科学探査機による過去の観測で示唆されています。)

残念ながら、周回機による観測データーは、ないとのことです。
次のチャンスは、MAVENMOMが逃さないでしょう!
*Terra Cimmeria : 南緯34°、東経145°あたりです。Curiosityがいるところがだいたい南緯4°、東経137°あたりですので、南に30°下がった位置ですね。(約1,800km離れている)
Curiosityが火星に到着する前の出来事ですが、Plumeが南北500km、東西1,000kmに広がっていたということと高高度ということで、今度発生したらCuriosityが観測することも可能ですかね。 
離れすぎかな~ 

下の画像は、観測者が撮影したものです。南北が逆さになって見えています。

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ドライアイスの降雪を確認

2012-09-17 14:02:53 | 火星大気

9月11日、NASAは、南極で二酸化炭素の雪(ドライアイス)が降ることを確認したと発表しました。

既に、火星の両極に水の氷とドライアイスの層があり、季節によって増減することは、確認されています。
更に大気上層に水及び二酸化炭素の氷の雲が現れることが観測されています。
2008年には、Phoenixが上空4kmの雲の中に雪(水の結晶)を見つけ、雪が上空3km位から地表に向って落ち、途中で昇華していることを確認しています。
当ブログ「雪が降る~雪が~」でお知らせしています。

しかしながら、二酸化炭素の雪が降って、積雪することを確認したのは、太陽系で初めての発見となります。
MRO搭載のMCS(Mars Climate Sounder)の2006年から2007年に掛けての南極の冬の時期のデーターを詳細に分析した結果、分かったとのことです。
「the Journal of Geophysical Research」に発表されたそうです。
著者:Paul Hayneさん(Jet Propulsion Laboratory)他

火星の軌道の関係から北極より南極の冬の方が寒いことが分かっています。また、南極の方が6km程標高が高いのです。
その影響で、南極では、二酸化炭素の氷が一年中残っています。
今までは、直接霜として積もるか、降雪によるものか分からなかったのですが、降雪が確認されたことで火星の気候について新たな仮説が立てられることになりそうです。

上の画像は、南極冠上に降雪によって形成されたドライアイスの堆積の分布を示しています。
極冠に近いほどドライアイスの粒子が小さく、遠いほど粒子が大きいことが判ります。
(なぜなんでしょうか?レポートを読んでいないので、なぜこうなるのか理解できませんが・・・)

関連の日本語版のサイトは、下記の通りです。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120914003&expand#title

http://www.astroarts.co.jp/news/2012/09/14mars_snow/index-j.shtml

今回の発見のデーターを取得したMRO搭載のMCSについて少し記載します。
MCSは、下記のデーターを組合せて、毎日の昼間と夜間の両方の三次元のグローバルな天気図を作成しています。

・大気の様々な層で温度、圧力、湿度そしてダストを測定する。
・大気を縦に5kmの層に分けて観測する。

MCSは、電磁波スペクトルの可視・赤外線範囲の9本のチャンネルで観測します。
可視の範囲および近赤外線範囲(0.3-3.0ミクロン)中の1本のチャンネルは、太陽エネルギーが大気および地表とどのように相互作用するか理解するために使用されます。
赤外線範囲(12-50ミクロン)中の8本のチャンネルは、温度、圧力、水蒸気およびダストを測定するために使用されます。
これらの要素は、天候と気候を構成するもので、私たちが火星の気候を理解するのを助けるものとなります。

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大気の揺れ

2012-02-25 23:23:35 | 火星大気

2月15日のMarsDailyに火星大気中に重力波による大気温度の変化が観測されたとの記事がありました。
それを記録したのは、なんとマーズ・パスファインダーでした。
1997年3月4日に、マーズ・パスファインダー着陸船は、計測機器でその降下中の気温、圧力および密度の変化を記録してました。
その結果がGEOPHYSICAL RESEARCH LETTERSで発表されました。
発表したのは、以下のフランスの2人とスペインの2人です。
A. Spigaさん、F. Forgetさん(Laboratoire de Météorologie Dynamique, Université Pierre et Marie Curie, Institut Pierre-Simon Laplace, Paris, France)
F. González-Galindoさん、M.-Á. López-Valverdeさん(Instituto de Astrofísica de Andalucía, Consejo Superior de Investigaciones Científica, Granada, Spain)

題名は、「Gravity waves, cold pockets and CO2 clouds in the Martian mesosphere」です。
(2011年11月15日に提出されて、2012年1月20日に発表されたものです。)

火星の大気の中間層(60-90キロメーター)でCO2の雲が存在できる低温域があることを確認しています。
この現象を引き起こしたのが重力波であることを確認したそうです。
火星大気の循環モデルがより詳しく調べられた結果ですね。

Wikipediaによりますと重力波には以下の2つがあるとのことです。
今回話題の重力波は、②のほうですね。
①時空の歪みが伝わる波動は、重力波 (相対論)(gravitational wave)を参照。
②地球の重力による液体の波動は、重力波 (流体力学)(gravity wave)を参照。

大気重力波については、このサイト
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