5月27日にNASAがEuropaミッションのための科学機器の選定を開始したとのニュースが発表されました。
それによりますと、Europaミッションの無人探査機は、2020年代に打上げられます。
無人探査機は、木星の周回軌道に入って、3年間以上の期間Europaへのフライバイを繰り返しながら探査を行うとのことです。
約25km~2,700kmの範囲で接近します。25kmって近いでしょ!
太陽電池パネルをエネルギー源としています。
NASAの会計年度2016年の予算要求には、Europaミッションを策定するための3000万ドルが含まれています。
搭載機器は、9つで、下記のとおりです。
「PIMS」(Plasma Instrument for Magnetic Sounding:磁気探査のためのプラズマ計測器)
・principal investigator/ Dr. Joseph Westlake of Johns Hopkins Applied Physics Laboratory (APL), Laurel, Maryland.
・この装置は、磁力計と連動して動作し、Europaの周りのプラズマ電流の磁気誘導信号を補正することにより、Europaの氷の殻の厚さ、海の深さ、塩分を決定するための鍵となります。
「ICEMAG」(Interior Characterization of Europa using Magnetometry:磁気測定を使用したEuropaの内部の描写)
・principal investigator/ Dr. Carol Raymond of NASA’s Jet Propulsion Laboratory (JPL), Pasadena, California.
・この磁力計はEuropa近くの磁場を測定します- PIMS機器と一緒に- 多周波電磁探査を用いたEuropaの表面下の海の場所、厚さや塩分を推測します。
「MISE」(Mapping Imaging Spectrometer for Europa:エウロパのマッピングをする画像分光計)
・ principal investigator/ Dr. Diana Blaney of JPL.
・この装置は、Europaの海の組成を調査するでしょう。Europaの海の生命好適性を決定付けるために有機物、塩、酸水和物、水氷層、および他の物質を同定し分布を調べます。
「EIS」(Europa Imaging System:画像システム)
・principal investigator/ Dr. Elizabeth Turtle of APL.
・ この装置の広角と狭角のカメラは、50メートルの解像度でEuropaの大部分をマッピングし、最大100倍の高解像度でEuropaの表面の領域の画像を提供します。
「REASON」(Radar for Europa Assessment and Sounding: Ocean to Near-surface: 表面近くに海の評価と測深用レーダー)
・principal investigator/ Dr. Donald Blankenship of the University of Texas, Austin.
・ この二周波氷貫通レーダー機器は、Europaの氷の殻の隠された構造と潜在的な水を明らかにするために、海に近い表面からEuropaの氷の地殻の特徴と深さを測定するように設計されています。
「E-THEMIS」(Europa Thermal Emission Imaging System:熱放射イメージングシステム)
・ principal investigator/ Dr. Philip Christensen of Arizona State University, Tempe.
・この「熱感知器」は、空間への水のプルームを噴出する可能性のある通気坑のような活性部位を検出するのに役立つ、Europaの高解像度、マルチスペクトル熱画像を提供します。
「MASPEX」(MAss SPectrometer for Planetary EXploration/Europa:質量分析計)
・principal investigator/ Dr. Jack (Hunter) Waite of the Southwest Research Institute (SwRI), San Antonio.
・この計器は、Europaの非常に希薄な大気と宇宙空間に排出された表面物質を測定することにより、表面及び表面下の海の組成を決定します。
「UVS」Ultraviolet Spectrograph/Europa:紫外線分光器)
・principal investigator/ Dr. Kurt Retherford of SwRI.
・この計器は、Europaの表面からの水の噴出するプルームの存在を検出するためにハッブル宇宙望遠鏡で使用されるのと同じ技術を採用してます。 UVSは、小さな噴煙を検出することができますし、月の希薄大気の組成とダイナミクスに関する貴重なデータを提供します。
「SUDA」(SUrface Dust Mass Analyzer:表面ダスト質量分析器)
・principal investigator/ Dr. Sascha Kempf of the University of Colorado, Boulder.
・この機器は、低高度flybysの時に表面と潜在的なプルームから直接サンプリングする機会を提供し、Europaから排出された小さな固体粒子の組成を測定します。
Europaに関する情報は、こちらにて
http://www.nasa.gov/subject/3148/europa/
*Europaと生命存在への人類の関心を振り返ってみると以下の通りです。
「Europaに関して」
1610年1月7日 ガリレオが発見。
1970年代 内部海の存在が理論的に予想されていました。
1990年代 ガリレオ探査機によって表面画像が得られた。表面の地形の特徴から海の存在が強く示唆されました。
「生命存在に関して」
1977年 深海探査艇「アルビン号」(潜航能力:4,500m)によってガラパゴス海嶺の熱水噴出孔周辺でジャイアントチューブワーム、貝類、甲殻類などの生物が群生しているのが発見されました。
従来、生命は、「太陽光と水」の存在が必須と考えられて来ましたが、「水とエネルギー」があれば、存在可能だと分かったのです。
*関連図書:「生命の星・エウロパ」 著者:長沼 毅
事務局も読んでいるところです。かなり高度な情報も含んでいるけど、大変分かりやすく、まとめられています。
・「日本の「しんかい6500」をシャトルに乗せてEuropaへ送り込んでEuropaの海を潜って探査したい」
・「南極の「ボストーク湖」がEuropaの海に似た環境と推測されています。」
*NASAは、かなり前からEuropa探査計画を考えて来ましたが、予算的な面で断念してきた背景がありますね。
いよいよ、具体的な動きになりました。
地球外生命が発見されるのは、火星が先なんでしょうか?Europaが先になるのでしょうか?
どんな顔しているのか、楽しみ!