6月9日開催の湯布院のコンンサートで、相前後した席で偶然知り合いになったS県のkさんとは、その後メールを通じていろいろとやりとりをしていたのだが、拙宅のシステムを一度聴いてみたいということで、7月22日(日)を設定してお誘いした。
当初、7月14日(土)を予定していたのだが、台風4号の猛威によりやむなく中止し、変更したもので、その間、我が家のシステムもMさんの協力のおかげで最終調整が済み、結果的にはちょうど良かった。当日は、別府市内の指定のドライブインで待ち合わせし、我が家にご案内したのが13時30分ごろ。
Kさんはヨーロッパで実際に魔笛の公演を観劇されたほどのモーツァルトファンだが、それでもクラシック歴はまだ日が浅いとのことであり、一方ジャズのほうは17歳の時から熱中されており、「ジャズのことなら何でも聞いてください」とのことで、当日持参されたCDの枚数が半端ではなかった。
クラシック
千住真理子 カンタービレ(あの「デュランティ」購入後の初録音)
デュメイとピリス ベートーベン・ピアノソナタ(この二人は夫婦とのことでびっくり)
松居直美 トッカータとフーガ(パイプオルガン)
ジャズ
クリフォード・ブラウン=マックス・ローチ(モア・スタディ・イン・ブラウン)
マイルス・デビス(カインド・オブ・ブルー)
オリヴァー・ネルソン(ブルースの真実)
オスカー・ピーターソン・トリオ(プリーズ・リクエスト)
デイブ・ブルーベック(エンゼル・アイズ)
マット・デニス(プレイズ・アンド・シングス)
M・J・Q(ヨーロピアン・コンサート)
キース・ジャレット(トリビュート)
ヨス・ヴァン・ビースト・トリオ(ビコーズ・オブ・ユー)
サリナ・ジョーンズ(メロディ・オブ・ラブ)
ソニー・クリス(アルトサックス)
ビル・エヴァンス(ユー・マスト・ビリーブ・イン・スプリング)
ズート・シムス(テナー・サックス)
ほか4枚ほど省略したが、これらの盤から代表的な名曲を1~2曲ずつしらみつぶしに聴いていった。二人で5時間ほどの連続試聴となったが、この中で一番気に入ったのは、ややクラシックの匂いがするビル・エヴァンス(ピアノ)とヨス・ヴァン・ビ-スト・トリオで、早速○○○させてもらった。
日ごろ聴きこんでいないジャズをこれだけ連続して長時間聴かされると、正直言って疲れなかったといえばうそになるが、Kさんはよほどお好きなのだろう、それぞれの盤ごとに詳しく自分の思い出を語りながら実に熱心に試聴される。
むしろその思い出話の方に引き込まれてしまったが、これだけ人生の軌跡とジャズの記憶がピタリと一致している人も珍しいと思った。ジャズ喫茶に入り浸りだった東京の学生時代、社会人になってからは外国も含めて各地での生演奏を聴き歩きされたことなど。
改めて、人生と生き写しになるまでに人を熱中させるジャズの魅力と凄さを考えさせられたわけだが、残念なことに自分の場合はいくらジャズを聴いても、とてもKさんほどには好きになれない、のめり込めないという限界も思い知らされた。
この世には、ジャズもクラシックも両方大好きという人種は珍しく、どちらかに比重が偏るのが普通だがkさんの場合、現在クラシックにも間口を広げられており、これからの傾倒度に大いに興味があるところ。
また、Kさんが我が家の音質についてどのような感想を洩らされるかに関心があったのだが、最後まで遠慮されて具体的なコメントは避けておられたが、クラシック向きか、ジャズ向きかについてのご意見では、はっきりとジャズのほうがよくマッチしているとのことだった。
特にクリフォード・ブラウンのトランペットの音の出方には随分感心されたご様子で、おかげでマイルス・デビスとの演奏の相違や両者の関係も詳しく伺えた。
やはりJBLのユニットなのでジャズ向きの音とは十分承知のところで、このユニットでいかにクラシック音楽を鳴らすかが、今後の課題であり、楽しみの一つ。
オーディオでクラシック、ジャズの両方を楽しもうとした場合、
①クラシック向きの音を基本にしてジャズにアプローチする
②ジャズ向きの音を基本にしてクラシックにアプローチする
の二通りがあるが、手前味噌になるが②のほうが大化け(おおばけ)する可能性があり楽しみが多いような気がするのだが・・・。
Kさんは18時30分ごろに辞去されたが、22時38分にメールが来て、S県までの帰りの道すがら○○○して差し上げたクリスティ指揮の魔笛(ナタリー・デッセイの夜の女王)を楽しみながら一般道を退屈しないでゆっくりと、そして無事に帰られたとのことだった。