前々回からの続きです。
「失敗学のすすめ」の著者「畑村洋太郎」東大名誉教授(工学博士、現福島原子力発電所事故調査・検証委員長)によると、大学の講義中に教材として「失敗事例」を持ち出すと、退屈そうにしていた学生たちが急に目を輝かせて熱心に聴きはじめ、逆にうまくいった事例などはあまり興味を示さないという。
何だか分かるような気がする。学生たちに限らず人間心理とは押しなべてそういうものだろう。
人間は他人が成功したり、儲けたりする話にはあまり関心を持たず、逆に失敗した事例などは興味津々で根掘り葉掘り聞きたがるものである。
そういう意味では、最終的にうまくいかなかった今回の「JBL375ダイアフラムの交換」の記事は興味を持って読んでもらえるかもしれない。
「失敗事例」からきっと得るものがあると思うので、参考にしていただければ。
さて、25日(木)の9時ごろに着いた新しい「ダイアフラム」。
包装を解くと表に「!WARNING!」(警告)と書かれた小さな栞(しおり)がでてきた。中にはこうある。(抜粋)
「THIS PART IS NOT SELF-CENTERING!
THIS PRODUKT SHOULD BE INSTALLD ONLY BY AN AUTHORIZED FACTORY TRAINED TECHNICIAN」
あまり英語は得意ではないが、「このパーツの取り付けは認定された工場で訓練された技術者に任せなさい。けっして単独でやらないように」とでも訳せばいいのだろうか。
これを見て、すぐに、ポイントになる作業部分はお隣のご主人に声をかけて加勢してもらおうと決心したが、何だか取り掛かる前にこういうものを読むと、チョッピリ気が重くなった。
さて、手持ちのJBL「LE-85」ドライバーのスペアのダイアフラムとの比較写真を撮ってみた。大きさの違いが歴然としているのがお分かりだろう。
左側の「375」の方がいかにも広帯域でいい音がしそうな印象を受ける。データによると受け持つことが出来る周波数帯域は「500~18000」ヘルツとある。「375」の後継である「2441」用のダイアフラムなので広帯域化している可能性もある。
「375」の良さは中低域にあり、高域は汚い音がすると嫌う向きもあるが、高域用として違うユニットを入れてクロスさせないメリットも大いにあるので「ツィーター」なしで、一度聴いてみたい気もするところ。
そういうことを考えながら、いよいよ作業開始。
以下、次回へ。