「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

結果、良ければすべてよし

2013年02月27日 | 音楽談義

月曜日(25日)の早朝、朝刊を読んでいたら、「サバリッシュ死去」のニュースが目に飛び込んできた。N響の桂冠名誉指揮者だったので、NHKテレビでも全国放映しており、ご覧になった方も多いことだろう。

                           


享年89歳とあって行年に不足はなし、これから新たに指揮した曲が出されるわけでもないが、好きな指揮者が亡くなるとやはり少なからずショックである。

本家、ヨーロッパのクラシック界ではオペラが重要な演目になっており、「オペラを振らせると指揮者の実力が分かる」とまで
言われているが、彼が指揮したオペラ「魔笛」は大のお気に入りだった。

30年ほど前から魔笛にトチ狂ったこともあり、CD、DVD合わせて40数セット収集していろんな指揮者の個性に接してきたが、彼の指揮したものはその中でも極めてオーソドックスな解釈のもと、どこといって破綻のない、まことに中庸を得た演奏だったので安心して「魔笛」の世界に浸れたものだった。

改めて手持ちを確認してみるとサバリッシュ指揮のものはCD盤(2枚組)とDVD、それぞれ一組あった。

              

「魔笛」の主役は5人いるが、粒よりのメンバーがすべてそろうことは不可能に近く、どういう盤にも何らかの配役に憾みを残す。

このサバリッシュのCD盤では、高僧役に「クルト・モル」、王子役に「ペーター・シュライアー」、道化役に「ウォルター・ベリー」と、男性陣に最高のメンバーを得ているものの、女性役二人がちょっと物足りない。

一方、DVD盤では女性陣として夜の女王に「エディタ・グルヴェローヴァ」、王女役に「ルチア・ポップ」とこの上ない豪華な顔ぶれだが、今度は男性陣2名が物足りないといった具合。

巷間、「魔笛に決定盤なし」と言われている所以が、これらサバリッシュ盤にも如実に伺われるところ。

サバリッシュはカール・ベームなどと同様に楽譜を
深読みすることで有名だった。作曲者の意図を推し量る唯一の手掛かりは遺された楽譜しかなく、いわば音楽の設計図みたいなものだから複雑な曲になればなるほど、そして音楽に真剣になればなるほど”眼光紙背に徹する”ように、(楽譜に)拘泥するのも分かるような気がする。

ところで、サバリッシュのフルネームは「ウォルフガング・サバリッシュ」である。ピンと来る方がきっといるに違いない。

そう、あの我らがモーツァルトのフルネームが「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」である。ちなみに現在のウィーンフィルの首席フルートは「ウォルフガング・シュルツ」である。

いったい「ウォルフガング」とはどういう語源を持つんだろうか?こういうときにはググってみるに限る。

すると、「Wolfgangは主にドイツ語圏などで見かけることができる人名で”狼の牙”という意味を持つ」と、あった。そういえば、英語でも狼のことをウルフと呼んでいる。おそらく狩猟民族に由来する名前ではあるまいか。

なお、「アマデウス」とは「神に愛されし者」という意味だが、この「アマデウス」という言葉には思い出があって、ここでちょっと触れさせてもらおう。

「人生は山あり谷あり」なので、誰にでもスランプや不遇の時代があると思うが、そういうときには自分の場合、転職を考えるのが常だった。まあ、一種の逃げみたいなものかなあ。

当時を振り返ると、最近のベストセラー「置かれた場所で咲きなさい」(渡辺和子さん著)なんて、立派な精神にはとてもなれなかったことを憶い出す。

そして、逃げ道候補の一番手はクラシック専門の「音楽喫茶」を開くことだった。

当時はタンノイ・ファンだったのでオートグラフをドカンと店内に据えて、アンプは五味康祐さんのように、マッキンの「MC22+MC275」のコンビで鳴らそうなんて夢みたいなことを考えていたが、
その時の音楽喫茶の名前を一貫して心に刻み込んでいたのが「アマデウス」だったというわけ(笑)。

奇しくも、2セット目の「AXIOM80」を譲ってくれた千葉のSさんも音楽喫茶を開くのが夢で、その時には店名を「アマデウス」にしようと決意されていたそうで、「音楽好きは似たようなことを考えますね~」と二人で苦笑したものだった。

なお、この音楽喫茶の顛末だが「こんな地方の田舎でどれだけクラシック・ファンがいると思っているんですか。食べていけるわけがないでしょう!」とのカミさんの凄い剣幕に気圧されて、結局諦めざるを得なかった。常識的に考えても、おそらく誰もがそう言うに違いない。

こうして今では何の憂いもなく音楽・オーディオ三昧の日々が送られるのだから、当時の選択はおそらく正しかったのだろうと思う今日この頃。

まあ、「結果、良ければすべてよし」とするかなあ(笑)。

 


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