現在、我が家のエース級アンプ「PX25シングル」と「WE300Bシングル」の2台を泣く泣く調整に出している。
真空管のピンを挿し込むソケットが〇〇製のため、緩くなって接触不良を起こしてしまい音が出くなったのが原因。やっぱり〇〇製はダメだねえ(笑)。
そこでアンフェノール製のオールドものを3ペア手に入れて総入れ替えをお願いしている次第。
必然的に残されたアンプを活用しているが、幸いなことに音質的にはいずれもヒケを取らないので音楽鑑賞には支障をきたしていない。
ウェストミンスターのスピーカーは「171シングル」(インターステージトランス入り)で駆動し、「AXIOM300」のスピーカーには「71APP」で駆動している。
今回はこの「171シングル」について述べてみよう。
ご覧のとおり非常にシンプルな構成で、「前段球」 → 「インターステージトランス(内蔵)」 → 「出力管171」(トリタン仕様)、そして整流管はカニンガムの380(ナス管)。
この前段球というのが切り換えスイッチで増幅率の違う3種類の球を差し替えられるようになっている。
まずはML4(増幅率=ミューが6前後)、次にMHL4(ミュー=16前後)、そしてMH4(ミュー=35前後)といずれもピンの形状は同一でイギリス系の球。
左から「ML4」(オスラム:メッシュプレート)、「MHL4」(GEC)、「AC/HL=MH4」(英国マツダ)の順番。
これら3種類の前段球を差し替えることによって音質がガラリと変わるのが何とも面白い。増幅率の違いだけでどうしてこうも変わるのか?
こういうときは古典管の泰山北斗「北国の真空管博士」に教えてもらうに限る。
「前段球の増幅率は低いのから高いのまでいろいろあって、我が家の場合はどうも低い方が音がいいような気がしますが、この点についてどのようにお考えですか?」
すると、次のような返答があった。
「前段球のミューについてですが、個人的見解としては回路定数の設計が適切であればミューが高くても低くても良い音が楽しめると思います。
私の理想はミューの高い球の繊細な表現そのままにワイドレンジかつスピード感のある音を実現することですが、回路設計と部品選定を適切に行えば可能であると考えています。
出力管との相性でいえばPX25やWE300Bのような入力容量の大きな球の前段としてはミューが高く内部抵抗の高い球は相性が悪く使用にあたっては特別な配慮が必要です。
前段球のミューの違いによる音質の変化はどうやら素人にとって簡単に結論が出るような問題ではなかったようだ(笑)。