つい先日の5月8日(水)付の日経新聞にソニー会長の「平井一夫」氏が「優先順位」の大切さを述べられていた。
平井氏といえば青息吐息だったソニーの業績を見事にV字回復させた立役者としてつとに有名な方なので内容にも説得力がありそうだ。
「学生や新社会人に話す機会をしばしばいただくが、強調するのはいつも同じだ。『3つのことを考えなければいけない』と言ってから【プライオリティ(優先順位)とプライオリティとプライオリティ】と続ける。 すべての希望をかなえることは出来ず何が人生で大事なのか、順位を付けることが必要だ。」(抜粋)
人生とは節目節目における選択の歴史ともいえるものなので常に優先順位が絡んでくるが、優先したくてもその通りにいかないのが苦労の種でして(笑)。
とはいえ、オーディオぐらいには思い当たる節があるので縷々述べてみよう。
早いもので真空管アンプを愛用しだしてからもう40年以上になる。
日頃からアンプと言えば真空管式があたり前と思っているが、よく考えてみると世の中には低能率のスピーカーが沢山存在しているので、出力が比較的有利に稼げるTRアンプを愛用している人の方がむしろ多いのかもしれない。
どちらのアンプがいいのか悪いのか、それぞれ一長一短だし使っているスピーカーによっても左右されるので論争してもキリがないが、機会があるたびに聴かせてもらった印象では、TRアンプは総じて「低音域のメリハリはあるものの血の気のない、冷たい音」のような気がしてあまり好きになれない。
実際に我が家にちょくちょくお見えになるオーディオ仲間もマークレヴィンソンの高級アンプを使っておられるものの、「中高音域の独特の艶や瑞々しさは真空管アンプじゃないと出せませんね」とはっきり仰る。
その都度「TRアンプは中低音域がしっかり出せるからいいじゃないですか。オーディオはあまりにも手を広げすぎると大変なことになりますよ」と、返答している。
つまり各人ごとに「優先順位」をどこに置くのか、言い換えると「何を捨てるか」にも繋がる。
たとえばアンプに関する限り自分の優先順位の第一は中高音域の瑞々しさだから真空管アンプを選択するが、中低音域のメリハリを何よりも優先される方はTRアンプということになる。
と、まあオブラートに包んだような言い方をしたが、実は自分は内心秘かにTRアンプは絶対使わないと固く心に誓っている(笑)。
こんなことを“うかつ”に書くと「お前は勉強不足だ。TRの超高級アンプを聴いてから物を言え。」と、お叱りのメールをいただきそうだが、あくまでも私見ということでお許しいただきたい。
そもそも「いい、悪い」には理屈が要るが、「好き、嫌い」となると理屈は要らない。何しろ「あいつは虫が好かん」という言葉があるぐらいだから(笑)。
趣味の世界も結局「好き、嫌い」に落ち着くのではあるまいか。
そこで、いつも当たり障りのないことばかり書いていると、「物言わぬは腹ふくるるわざなり」(「徒然草」)なので、次回は嫌いな特定メーカーに絞って言及してみよう。
以下、続く。
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