面白いミステリーを読んだときは、好きな音で名曲を聴いた時の満足感とよく似ている。
隣町の鄙びた図書館の「本屋大賞コーナー」に並べてあった本がそうだった。
まず「流星の絆」から。
「東野圭吾」さんの著作だからまず外れはあるまいと借りたのだが、やっぱり期待に違わぬ面白さだった。
「あら筋」をかいつまむと、
神奈川県横須賀市にある洋食店「アリアケ」を営む有明家の三兄弟、功一、泰輔、静奈は夜中に家を抜け出して流星群を見に出かけている間に両親が何者かにより刃物で惨殺されるが、泰輔だけが偶然犯人の横顔を垣間見てしまう。
三兄弟は身寄りもなく養護施設で幼少期を過ごした後に相次いで詐欺などに襲われ強く生きるためにいつしか彼ら自身も裕福な男性を詐欺で騙して生計を立てていく。
そうこうするうち、泰輔が忘れようとしても忘れられない犯人の横顔とそっくりの人物を発見する・・。ここから物語は怒涛のように展開して解決へと向かっていく。
あまりに面白かったので4月29日(金)に帰省した娘に読ませてやろうと図書館に返さずにいたところ「ああ、その本なら読んだわよ。もう10年以上も前になるよ。たしか洋食屋の3人兄妹のお話ね。犯人は誰だったっけ?」
「それがなあ・・。ミステリーでは禁じ手の犯人なんだけどなあ。」
「どれどれ、ちょっと最後の方だけ読ませて・・。なるほどねえ・・」
まだ読んでいない方にはぜひご一読をお勧めします。真犯人の是非は別にして期待が裏切られることはないと思いますよ。
次は「時計や探偵の冒険~アリバイ崩し承ります~」。
新刊の「短編集」だったが内容が斬新でなかなかセンスのいい作家だと感心した。
現職の新人男性刑事が「時計屋のうら若き女主人に秘かにアリバイ崩しを依頼する」という展開。
この女主人は小さいころから祖父にアリバイ崩しについて特訓を受けたという設定になっている。
読者レヴューから抜粋させてもらうと
「絶対的なアリバイがある容疑者。動機からして誰しもが怪しいと思っているがどうにもならない。ところが、新人刑事からその顛末を聞いただけであっさりと容疑者のアリバイを崩すのが時計屋の女主人、時乃だ。
その決め台詞は「時を戻すことができました」
いつもクールで明快。今回も難問、奇問だらけのアリバイ崩しをまるで快刀乱麻のようにすいすいと解明する様は実に小気味よい。」
肩の凝らない「ライト・ミステリー」としてお勧めです。
で、これらのミステリーを読むときのBGMだが、クラシックでは気が散るのでもっぱらジャズを小さめの音で流している。
今回は「光テレビ」(NTT系)の「ミュージック」部門の「聴き放題」から「デューク・エリントン」のアルバムを選択。
代表曲のひとつに「スウィングしなければ意味はないね」とあるように、ジャズの素人にとって馴染みやすいゆったりとしたスウィング系の曲目を際限なく聞き流せるのだからとても便利。
ただし、「エリントン」の熱烈なファンからは「神聖なエリントンの音楽をBGMで聴くな!」とお叱りを受けるかもしれませんね(笑)。