長~い連休もようやく終わったが、その間に図書館の「新刊」がまったく入ってこないのには参ってしまった。
もしかして館員さんも休みを取っているので本を整理する人手が足りないのであればそれで納得~。
で、仕方なく「新刊コーナー」の近くにある「随筆コーナー」で目に付いたのがこれ。
作家の「村上春樹」さんは大の音楽好きで知られているが、そのジャンルもクラシックからジャズ、ポピュラーまでとても広い。
本書はポピュラー音楽を中心に村上さんが強烈に記憶に残った曲目を英語の歌詞とともに搭載されている。
ざっと一読しながら「これは聴いてみたいな!」という曲目に附箋を貼っていったがそのうちの1曲が「この家は空っぽだ」。
あのバート・バカラックが作曲し、エルヴィス・コステロが作詞した「胸を打つラブソング」とある。(70頁)
以下、引用すると、
「現代のスタンダード・ソング」と呼んで差支えないほどの美しい奥行きを持った曲だ。バカラックのたどってきた人生の年輪のようなものが、しみじみとメロディ-の中に漂っている。真実の哀しみを経験していない人には心のどん底の暗闇を彷徨ったことのない人にはおそらくこんな歌詞は書けないし、こんなメロディーは作れないのではないだろうか。」~中略~
「ここではあえて現役のオペラ歌手として押しも押されぬもせぬ第一人者であるアンネ・ソフィ・フォン・オッターの心に残る名唱をあげておきたい。
ここではオッターはほかにもブライアン・ウィルソンやレノン/マッカートニーの隠された名曲などを取り上げており、その選曲の趣味の良さとナチュラルな歌心に深く感心させられる。
クラシック歌手が余技としてポピュラーソングを歌う場合に見かけられる「いかにも」という臭さがここにはまったくない。彼女は持ち前の声量を抑え、テクニックを解除し、あくまでも自然体でただ淡々と歌の魂を表現する。聴けば聴くほどに心に残る。まるで上質なスルメのようなアルバムである。」
で、そのアルバム名は「Von Otter Meets Costello For The Stars」で、村上さん愛聴のレコードのジャケットの写真が添付されている。
オペラ・ファンなのでオッターの名は聞いたことがあるが腰を据えて聴いたことはまだない。
実を言うと、これまで村上さんの推薦曲をたびたびトライしてみたがどうも好みが一致した試しがない。一般的にも他人と「音楽と音質」の好みが合致することが極めて珍しいのはわかっているつもりだが。
で、今回はオペラ歌手ということなので、ど~れ聴いてみようかとCDの販売元をググってみたところ、見つけはしたものの販売中止とあって、おそらく廃盤だろう。
で、仕方なく方向転換してオークションでググってみたところなんとありました!
叩けよ、されば開かれん!(笑)
中古だが即決価格で「640円」也! もちろんすぐに飛びついた(笑)。
ほどなくして現物が到着したのでさっそく試聴。
聴いたシステムは対象がボーカルなので相性のいいSPを選択するとなるとやはり「AXIOM80」(オリジナル)でしょう。
板厚「1.5cm」の薄い自作の箱に収めており、いつも「ARU」(背圧調整器)を弄っているが、今回は最下部の中央にわずかな隙間をつくっている。
お分かりかな?(笑)
そして、駆動するアンプはこのほど改造してもらった「071」シングル1号機。
目下のところ、「スーパー10」(ワーフェデール)と並んで我が家における「黄金の組み合わせ」である。
で、一聴したところ、やっぱり一度聴いたくらいで好きになれるようなヤワなアルバムではなかった。
さすがに本格的なオペラ歌手だけあって「品がいい」のはたしかだが、どうもメロディラインがわかりにくて点数としては75点くらいかな。
モーツァルトの作品ならすぐに溶け込めるのだが、先日の「利口な女狐の物語」(ヤナーチェク)に次いで、音楽的な宿題が残った感じ。
何度もチャレンジするか、あるいは放り投げるかどちらにしようかな~(笑)。