書いては消え、書いては消えていく「泡沫(うたかた)」のようなブログ記事・・。
ところが、ときどきしぶとく生き残る奴がいる(笑)。
1週間前に投稿した古典管「WE300A」の記事がそれで、今でも過去記事ランキングに登場するくらいだから珍しい存在といえる。
なにしろペアで「160万1千円」(オークション)という落札額には誰もが目を剥(む)いたろう。たかが真空管ごときに~(笑)。
もちろん、値段が高けりゃ性能もいいというわけでもないが、金額の裏打ちとなるそれだけの「熱意」には敬服するばかりで一つの推測材料にはなる。
古典管(出力管)の王者は「WE300A」(アメリカ)で決まりだ!
ところが、どっこい・・。
英国にも「負けず劣らず」の立派な代物があるんですよねえ(笑)。
6年前の記事をご記憶だろうか。
「幻の超銘球P.A.40(DA30系)」がそれ。
その内容だが「北国の真空管博士」が希少管とされる「V503(英国)」をなぜ手放されたのか、伺ってみると次のような理由だった。
「V503は今や幻の銘球ですから通常は出品しないのですが、実は幸運にも数年前V503より100倍入手が難しいといわれる上位球P.A.40を所有するに至りましたので出品した次第です。
これが英Ediswan社のP.A.40です。
これが英Ediswan社のP.A.40です。
この写真(省略)を見てV.503そのまんまじゃん!と思った人も多いと思います。私も初めて見た時はV.503のセレクトチューブなのでは?と思いました。仔細に現物を観察してそうではないことを確認し、いったいこれは何なのだ!と唸ってしまいました。
写真では判りませんが、ステムを見るとPA40bと書かれており、組み立て前にPA40専用のステムがあった事がわかります。V.503とはプレート損失、同一条件のPP時の出力以外の規格、定数、電極とバルブのサイズに至るまで全く同じです。
GECにはPX25Aに対してDA30がありますがそれと同じ関係のようです。DA30属の中では最大のプレート損失40Wを誇り、WE300Aにも匹敵する球です。目視ですがWE300Aとはプレートの縦、横、厚さのサイズが殆ど同じです。
WE300Aと動作例を比較してみよう。
WE300A P.A.40
Ef 5.0V 4.0V
If 1.2A 2.0A
Ep 400V 400V
Eg -89V -85V
Ip 50mA 50mA
EpMax 450V 450V
Pd 40W 40W
殆ど誤差の範囲といって良いくらいの動作例である!
最大定格も同じですから興味は尽きませんが、P.A.40の発表年に関する資料を発見できずどちらが先に発表されたか特定できませんでした。」
ちなみに、これが「V503」(エジソン・マツダ)。
ちなみに、これが「V503」(エジソン・マツダ)。

はたして銘管「WE300A」(アメリカ)と「P.A.40」(英国)のどちらが先に作られたのか?
言い換えると「どちらが真似をしたのか?」(笑)。
ことはアメリカ管と欧州管の技術力の差にまで及んでくる。
ちなみにヨーロッパはアメリカと違って第二次世界大戦の主戦場になったので度重なる爆撃などの破壊が繰り返され随分貴重な真空管が失われてしまったのは周知のとおり。
その点、アメリカ球は「WE300B刻印」(1940年代)をはじめとして、今でも往時の銘管がまっさらの新品で出てくることがあるから戦禍を直接蒙らなかった国のメリットは計り知れない。
真空管アンプにも夢が必要だとすると、さしずめ「P.A.40」あたりは「WE300A」と並んで代表的な「手に入りにくい」真空管として有力な候補にあたるのは間違いない。
それにしても、もしオークションに出品されたらどのくらいの落札価格になることか・・。それよりも、いったいどういう音がするんだろう?
一度でいいから「WE300A」と「P.A.40」の音を聴いてみたい・・。
