「両雄並び立たず」という故事がありますね。
念のため・・「二人の英雄が共存することはできない。同じくらいの力を持つ英雄が二人いると、必ず勢力争いが起こり、どちらか一方が倒れることになる。」
古代中国でいえば「項羽と劉邦」が有名ですかね。前者は「勇」の象徴、後者は「智」の象徴という対決だったが最後は「智」が勝った。
とはいっても、この「劉邦」さんは優柔不断のところがあって難局に直面したら口癖のように「如何せん?」と部下に相談するほどの頼りなさだったが、人柄がいいため部下から慕われたらしい。いわば豊臣秀吉のような「人たらし」~。
それはさておき、ちょっと無理筋だがこの故事を我が家のオーディオに当てはめてみると、意外にも「両雄並び立つ」んですよねえ(笑)。
現在6系統のシステムを3~4日おきに入れ替えて楽しんでいるが、それぞれに ”抜きんでたところ” があって捨て難いものばかり。
とはいえ、雄大なスケール感を求めるとなると自ずから二つのシステムに収斂(しゅうれん)する。
1 「AXIOM80」(フルレンジ)+「ウェストミンスター(改)」(100ヘルツ以下)
「AXIOM80」(オリジナル版)をフルレンジで鳴らし、後方に位置するウェストミンスター(改)で低音(100ヘルツ以下)を補うもの。
仲間の評価も「べた褒め」で「これ以外のシステムは不要じゃないですか」。
ところが・・。
もう一つのシステムにもどうしても未練が残る。
2 3ウェイマルチシステム。
一言でいえば周波数レンジが広くて「スッキリした爽やかなサウンド」が特徴でこれもお気に入り。
3台の個性的な真空管アンプを使って、クロスは「700ヘルツ」と「8000ヘルツ」に設定しており、シンバルの響きが抜群なのでジャズ系はもちろんだが、ポピュラーや歌謡曲の再生にも適している。
この二つのシステムはいずれも「甲乙つけがたし」、というわけで「両雄並び立つ」存在というわけだが、いずれも低音域は「ウェストミンスター」(改)を使っており、これが我が家のサウンドの「決めて」となっている。
このスピーカーを購入したのは、もうはるか30年以上も前になるが「血(お金)と汗(手間)と涙」の結晶といっていい。
まずは、血を流した・・、当時は安月給の身分だったが、不相応にもどうしても欲しくてたまらず、とうとう思い余って関西の輸入業者を通じて「直輸入品」として比較的割安で手に入れたがそれでも、その後の支払いがたいへんだった。
次に多大の手間をかけた・・、10年間ほどオリジナルのまま使ったが、そのうち段々と疑問が芽生えてきて「ブランド信仰」からアッサリ脱皮して大改造のやむなきに至った。
口径38cmのユニットの追放、内部の大幅改造などがそれで、ひとかたならぬ勇気と手間を要したが「下取り価格」は激減したとはいえ、今となっては大正解だった。いやけっして負け惜しみじゃなくて~(笑)。
そして、涙とは・・、当時のこと、ウェストミンスターの購入を言いそびれて、とうとう到着する前夜に家人に打ち明けたものだから、敵は柳眉を逆立てて怒り出しとうとう1週間ほど口をきいてもらえなかったのも今となっては懐かしい思い出となった。
家族かオーディオか・・、当時はオーディオだったわけですね。冷たい人間です、人知れず複雑な涙を流しましたよ(笑)。
以後、我が家のオーディオの羅針盤として大きな図体も含めてどっかりと居座っているが、このエンクロージャーじゃないと出てこない音があることもたしかである。
オーケストラの本格的なファンダメンタルな響き「弦のユニゾン」は、どういう高価な「DAC」や「アンプ」を使ってもこのクラスの箱を使わないと無理じゃないですかね~。
とはいえ、コンサートホールの生演奏に比べれば「五十歩百歩」でしょうが、仮想空間の中で実像を彷彿とさせる努力を怠らないのがオーデォマニアという人種で、まあクラシックの再生ではやっぱり最後はエンクロージャーに尽きると思いますよ~。
今でも「ウェストミンスター」はちょくちょくオークションに出品されており、おそらく持ち主が他界されたか、高齢のため整理されたかのどちらかだろう。
そして、現在も1セット出品されている!
ここは「オーディオ人生」の岐かれ道、 ”ちまちま” したことは止めて「伸るか反るかの大博打を打ってみませんか」。
「そうは言われても置き場所がねえ・・」という「言い草」が目に浮かぶようですけどね(笑)。
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