「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「太くて短い生涯」と「細くて長い生涯」のどちらがいい

2024年02月03日 | オーディオ談義

このところ、改造してもらったアンプにゾッコンなのはご存じのとおり。



スピーカーの場合は、性能的に完全無欠の「100%」はあり得ず、それぞれ何かしらの弱点を抱えているが、はたしてアンプはどうなんだろう。

オーディオってそんなに甘くないよねえ・・、おそらく使っていくうちにだんだんと(弱点が)顕わになってくるだろうからそれが楽しみ~(苦笑)。

で、昨日(2日:金曜日)は二人目の「刺客」として、県中央部にお住いの「YA」さんに来ていただいた。

一人目の「刺客」はYさんだったが、わざわざ招待しておいて「刺客」という言葉も変だが、このアンプにとっては紛れもなく「試練=刺客」だからね~。

例によってスピーカーは「AXIOM80」との組み合わせだったが、開口一番「とても音に品と艶がありますね・・」と好評だった。まずは返り討ちといったところ~。

で、このYAさんはとても優秀な「アンプビルダー」さんである。現在常用しているプリアンプはこのYAさんの作になるもので大いに重宝している。

で、内心秘かに「TRアンプの殺し屋」ではないかとさえ思っている。

どういう意味かというと、次から次に製作された真空管アンプが、県内各地で使用されている大型アンプ「ボルダー」や「マッキントッシュ」などを軽々と駆逐していくからで、「この真空管アンプを聴いたらTRアンプはもう聴けません」という具合。

同調して「そうですね・・、私は中高音域にTRアンプを使っている人の耳をあまり信用しないことにしています」と、申し上げたが、もし気を悪くされた方が居たらゴメンね・・、必ず例外はありますからね(笑)。

で、そういう専門家のご意見として今回ぜひお伺いしたかったのが「真空管のプレート電圧」のお話。

以下、少々専門的な話になるし「素人の生兵法」は争えないので間違ってたらゴメン・・。

冒頭に掲げたアンプの出力管「LS7」(英国:GEC)の現在のプレート電圧は「220V」になっている。

製作者のNさん(大分市)によると、データ上では標準的な電圧曲線は「150V」だったそうだが、肝心の最大の規格値が示されておらず、たった一例あった「LS7」アンプの製作例では「210V」になっていたそう・・。

なぜ「プレート電圧」にこだわるかといえば、真空管の寿命に大きく関係してくるからで、高い電圧をかけると目いっぱいの能力を発揮するものの寿命が短くなる、その一方、やや低めの電圧をかけると身を粉にして働かず、適当にサボり気味のまま寿命だけが延びる。

つまり「太くて短い生涯」と「細くて長い生涯」のどちらがいいのかという二者択一となるわけで、これはなんだか人間の生涯と同じだねえ・・。

で、自分にとっては「老い先が短い」ので、「太くて短い生涯」を選択したくなるのは自明の理・・(笑)。

実はもう一つ「プレート電圧」を気にする理由があって・・、いい音を出す真空管ってどうしてもスペアが欲しくなる。なにしろ、どんなに高価な球でも所詮は消耗品だからね~。

で、この「LS7」の「ナス管」となると、オークションでもめったに見かけない希少品なので、同型のスペアはほぼ無理と踏んでいるが、その代わりとなる候補球が実は我が家に3種類あるのだ。



左から英国STCの「3A/109B」「3A/107B」「3A/110B」の3兄弟である。微妙にツクリも違うし「μ=ミュー」(増幅率)も違うが、いずれも「LS7」とピン配列が同じなので互換性がある。

ただし、これらの球のプレート電圧の最大規格値は「190V」なので、「220V」となると30Vも高いのが球に瑕。

「はたして大丈夫でしょうかね?」と、YAさんに問うと「ああ、そのくらいなら寿命が少し短くなるだけでしょう。何なら挿し代えて聴いてみますか」というわけで、急遽「玉転がし」となった。

で、3本のうちベストは「3A/109B」で決まり! さすが定評通り・・。

「LS7と何ら遜色はありませんね、ほかの玉は少し落ちます」と、YAさん。

30分ほど聴いてから球を抜いてガラス管を触ったところ温度もさして上がっておらず、この調子なら大丈夫そう・・、ああ、よかった!

どうやら「LS7」のスペアを探さなくて済みそうで、この安心感は何物にも代えがたい(笑)。

最後に「最近作ったプリアンプを試聴させてくれませんか」ということで、持参されたアンプを試聴した。

ちなみに「プリアンプとパワーアンプを作るのとでは、どちらが楽しいですか?」と、問い合わせると「それはもうプリアンプです。とてもデリケートで、たった一つのコンデンンサーで音がころっと変わりますからね」

で、耳を澄ましてみると我が家のプリアンプとそっくり同じ音だったのには驚いた。

真空管アンプには製作者の魂が乗り移るみたいですね~。


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