昨日のこと「O市のNですが、お久しぶりです・・」という突然のご連絡に「エッ・・」と思わず息を呑んだ、そして即座に「お元気でしたかっ?」と声が弾んでしまった。
たしか10年ほど前に我が家にお見えになってから以来のことである。まだオーディオに勤(いそ)しんでおられるんだ・・、とついうれしくなった。
続いて「〇日は空いてますか? よろしかったら3名で訪問したいのですが・・。」
「ええ、どうぞどうぞ・・」と、即答した。
極めて貴重な「同好の士」だからお客さんは大歓迎である・・、ところがしばらくすると不安が頭をもたげてきた。
Nさんは名にし負うハイエンドのマニアである。
たとえば、当時のことだが、レコード愛好家ならだれもが一度は使ってみたいと憧れるトーレンスの「リファレンス」、DACとプリアンプはマークレヴィンソン、パワーアンプはカンノのWE300Bアンプ、スピーカーは「オートグラフ」という顔ぶれだった。
そういう方の「耳」に我が家の自己流のサウンドがはたして気に入ってもらえるのかどうか~。
「ブログでは仰々しく偉そうに書いてるけど、期待外れも甚だしい・・」というオチの可能性が極めて高い(笑)。
実は、これまで我が家の音を聴きにかなりの方々が訪れたけど、心から満足した状態で帰られた方って皆無といってもいいくらいの気がしている。
そもそも、好きな曲目がめったに一致しないように、好きなサウンドが一致することは確率として極めて少ないんじゃないかな~。
たとえば、オペラ「魔笛」が好きな方って自分の周囲には皆無だし、ずっと昔のメールで「あなたのおかげで魔笛が好きになりました」という方が一人あったきり~。
つまり「音楽的センス」と「音響的センス」は一致する・・。
したがって、オーディオの場合お客さん側からすると「聴かぬが花」、そして「もてなし側」からは「聴かせぬが花」というケースが大いにあり得る・・。
そういえば、ずっと昔の「ステレオ・サウンド誌」で、オーディオに熱心な和尚さんを訪問したところ、雑談ばかりでとうとう音を聴かせてもらえないままで終わった、後から思えば想像の中で留めておくサウンドがいちばん素晴らしいという示唆ではなかったか・・、という話があった。
「禅」に通じるもので、オーディオの「悟り」とはこういうことかもしれない・・。
とはいうものの、現実論に戻ってせっかく県外からわざわざ来ていただくのだからガッカリさせては申し訳ない・・、微力ながらベストを尽くさないとねえ(笑)。
さて、どのスピーカーを聴いていただこうか。
まず「一押し」はこれかな・・。
口径20cmのユニット(ウーファー専用)+175ドライバー(JBL)
自分で言うのも何だが、あらゆる音楽ソースに対応できる非の打ち所がないスピーカーだと思っている。
見た目からして当然「重低音」が足りないが、その辺をバックに控える「ウェストミンスター」(サブウーファー)に100ヘルツ以下を補足させている。
いわば、世界一贅沢な「サブウーファー」である。さらに言わせてもらうと大型スピーカーの「バックロードホーン」じゃないと出ない低音がある・・、こればかりは聴いてもらわないとわからないだろうなあ~。
そして、二番目に聴いていただくのは我が家の「レーゾン・デートル」とでもいうべきグッドマンの「AXIOM80」(オリジナル)。
演奏者の息遣いまでも再生するという極めて繊細なスピーカーで、独特のヴァイオリンの濡れたような響きはオーディオマニアなら一度は聴いておくべきユニットじゃないかなあ~。
これも低音不足なので音楽ソースに応じて「サブウーファー」の出番となる。
そして3番目はこれ。
3ウェイの構成となる。
<100ヘルツ以下> ウェストミンスター
<100~6000ヘルツ> ワーフェデール「スーパー10」(口径25cm)
<6000ヘルツ~> JBL「075ツィーター」
これらを低音域から順に「6AR6シングル」(三極管接続)、「LS7シングル」そして「71Aシングル」の3台の真空管アンプで駆動する・・、というもの。
この3番目のスピーカーがいちばん好みが分かれそうな気がする・・。
あっ、そうそう9台の真空管アンプの使い分けも勝負の分けれ目になりそう・・。
とまあ、いつもの「地」丸出しで偉そうな調子で書き記したが、つい「オーディオ」への愛情が迸(ほとばし)ると制御が利かなくなる傾向がありますなあ・・。
後で、結局「聴かせぬが花」になるのにねえ・・、可哀想に~(笑)。
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