「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

魅惑の真空管アンプ~その7~

2016年11月03日 | 魅惑の真空管アンプ

前回からの続きです。

29日(土)午前の部でいかんなく実力を発揮した「6FD7」アンプだが、午後の部に入ってからはまず「PX25」アンプの登場となった。

前回掲げたテーマの3番目「AXIOM300+スーパーツィーター」と4番目「大改造したPX25アンプ」の検証である。

          

「AXIOM300」はオークションに頻繁に出品されている「AXIOM301」とよく間違えられるが、これは似て非なるものでたった1番違いにもかかわらず、れっきとしたグッドマンのアルニコ・マグネット・タイプである。ここでもDAコンバーター「エルガー プラス」との直結でスタートした。結局、以降プリアンプの出番はなし。

「PX25アンプは随分変わりましたね~。これならわざわざPP5/400の出番はなくても済みそうです。スーパーツィーターも十分効果を発揮してますよ。この音は以前、友人宅で聴いたグッドマンのトライアクショム(3ウェイ)の音とそっくりです。」と、Sさん。

先日、オークションで滅多に出品されないトライアクショムを執念が及ばず、とり逃したことを今でも忘れ切っていないが、これでどうやら胸が収まった(笑)。

30分ほど音楽に浸ってから、Sさんがおもむろに「アンプをPX25から6FD7に変更して聴いてみたいですねえ。」

そ~ら、おいでなすった!(笑)

それからが本日のクライマックスだった。試聴盤は女性ボーカルからヒラリー・ハーンの「プレイズ・バッハ」、ブルックナーの「交響曲8番」(チェリビダッケ指揮:リスボンライブ盤)などさまざま。

じっと目を瞑って聴かれていたSさんだが、やおら「いやあ、こんな小さなアンプから出てくる音とはとても信じられませんよ。カーテンをして聴いたら、大型アンプで駆動しているみたいです。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンはこれまで聴いた中では最高です。音のスピードが信じられないほど早いです。大規模編成の曲でも破綻がありません。このアンプぜひ欲しいですねえ。〇〇さんと同タイプのもので結構ですからさっそく注文をお願いします。」

「この出力管6FD7は複合管のためドライバー機能と出力機能が一体化していますのでスピードが並外れて早いのでしょう。たいへんなメリットですよ。アンプ発注の件は製作者にすぐに連絡しておきます。いくらアメリカからの直輸入ルートがあるといっても、スペア管などのことも考え合わせると本数に限度が有りますので早い者勝ちです。なかなか評判が良くて注文が舞い込んでいるようですが、まだ間に合うと思います。」と、自分。

実際に試聴してみての注文だから説得力がある。これまでこのアンプを実際に聴いた人間は自分も含めて7名。そのうち実際に注文したのは3名。保留が1名だから確率は50%だ。高いか低いかは読者のご判断に任せよう。

最後にテーマのへ。「我が家のベストの組み合わせを探る」

たいへん熱のこもった本日の試聴会もいよいよSさんの帰りの電車の時間が迫ってきた。いよいよ真打ち「AXIOM80」の登場である。

          

AXIOM80(イギリス)は復刻版も含めて製作年代によってツクリ(コーン紙の軽さやカンチレバーの質など)が微妙に変わり、したがって音質も微妙に異なるが、我が家の「AXIOM80」はSさんと同様にオリジナル「最初期版」のものである。ただし、いつ故障してもいいようにスペアとして「復刻版」を2ペア保管しているが、出番はまったくない。

女性ボーカルを聴いたが、思わず息を呑むほどの美しさだった。何という透明感、デリケートな表現力・・・。

ときどき「いい音」ってなんだろうと思うことがある。別に公式的な尺度があるわけでもなし、人それぞれの感性でもって「それで良し」としているだけだ。

したがって世界中に「いい音」がいくつも氾濫しているわけだが、我が家の場合「いい音」の「物差し」は「可聴周波数の全域に亘って透明感があること」に尽きると思っている。

ただし「透明感って何?」と訊かれても言葉で表現するのは無理だが、「それはAXIOM80を聴いていただくと自ずと分かると思います。」と答えるしかない(笑)。しかし、このAXIOM80は鳴らし方が難しくて、アンプとの相性が悪かったりすると耳障りで騒音以外の何物でもない。

まあ、そういうわけで長年「ああでもない、こうでもない」と彷徨しているわけだが、今回はうまくいったようだ。

「やっぱりAXIOM80は空前絶後のスピーカーですねえ。とても複雑なツクリで潜水艦のソナー探知用に開発されたというだけのことはありますよ。」と二人で嘆息した。6FD7アンプとはどちらもスピード感(音の立ち上がり)を身上としているのでとても相性がいい。

これで我が家のベストの組み合わせは決定した。しかし、これは持ち主しかわからない微妙な心理なのだがこの音は日常的に聴くべきではないように思う。だいいち自分のようなガサツな人間にはもったいない。ひっそりと大切に保存しておき、お盆と正月、そしてお客さんが見えたときにだけ聴けばいい音だ(笑)。

いつものことながら今回も実り多き試聴会だった。

SさんをJR別府駅まで送った後、すぐに製作者に連絡をとったところ「6FD7アンプ製作」2台分(自分とSさん)の了解を得た。

とにかく、お値段がリーズナブルだし、軽いので持ち運びに便利だし、音もいいし、シンプルな回路で球も丈夫だし、こういう四拍子そろったアンプはなかなかお目にかかれない。

少なくとも今年中には新たな「6FD7」アンプが完成するだろうから、今度はSさん宅でどういう活躍を見せるか、とても楽しみ~。
 

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