「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

小型スピーカーの選択にセンスの良さが光る?

2025年01月06日 | オーディオ談義

昨年(2024年)の秋から同じ「AXIOM80」の愛好家として交流が始まった「H」さん。

毎日のように、過去の様々な資料を添付メールでご教示いただいている・・、言い換えると、
このブログ主をはるかに凌ぐほどオーディオに詳しくて、ご熱心な方である(笑)。

つい最近の資料では、次のようなものがあった。

「瀬川冬樹さんは創刊まもない頃のSS誌で、ゴッホ美術館で手持ちの複製画の本物を見た時その本物は所蔵の複製画の複製に見えた、という小林秀雄の有名な一文を引いてオーディオ論を展開していました。今日眺めても極めて優れたオーディオ論で、瀬川畢生の名論文だとおもいます。

瀬川冬樹氏の名論文は1960年頃のラジオ技術誌の「私のリスニングルーム」、しばらくあとの「M夫人のクレオさん」(クレデンザのこと、M夫人は福岡で御健在)、1960年代半ばのラ技連載の一連の「これからのステレオ装置」などであり、個人的には1970年代の瀬川さんは抜け殻としか思えないのです。

それは瀬川さんも分かっていたようです。お亡くなりになる直前のことですが倉敷在住のIさんに、

ぼくはもうだめなんだ、体もだめだしオーデイオも堕落してしまったんだ、今一度昔に帰りたい、45とアキシオム80に戻りたい、そのために80は8本用意しているんだが、、、、と述懐されたそうです。」

往年のオーディオの黄金時代を知っている方にはオーディオ評論家「瀬川冬樹」さんの名前を知らないとは言わせませぬぞ~(笑)。

1981年にわずか46歳で早世されたが、もっと長生きされて健筆を振るわれていたら、今日のような惨めなオーディオの時代を迎えてはいないはずだがと、ときどき思うことがある。

それほどの存在感を示されていた瀬川さんが、息を引き取る間際になって「堕落してしまったオーディオ・・、昔の45とAXIOM80に戻りたい」と述懐された話を始めて知ったわけだが、実に興味深い!

何をもって堕落したオーディオと言われたのか・・、意味深ですね~。

これは憶測の範囲を出ないが、ご本人の意に添わないシステム、いわば売らんがために宣伝した「見せびらかし」オーディオの存在が背景にあると考えるのは見当違いだろうか。

ちなみに、「45」とは古典管「45」を出力管にしたアンプのことで、現在でも「AXIOM80」を鳴らすのには最適のアンプだと言われている。

そう、やはり瀬川さんには「大掛かりなシステム」よりも「AXIOM80」の方が相応しいと思いますね~。

で、この際「大掛かりなシステム」について話題を移そう。

前述の通り「H」さんからのご提供を受けて「You Tube」の「オーディオ愛好家」のサイトを観ることが多くなった。

誰もが羨むような豪華で巨大なシステムに「凄いなあ!」と思わず感嘆の声を上げるんだけど、その反面、個人の家庭で音楽を聴くのには「ちょっと仰々しいんじゃないかなあ・・」という思いも付きまとう。

巨大なシステムじゃないと出せない音があることは確かだけど、その一方では小型スピーカーじゃないと出せない音があることも事実なんだから。

たとえばボーカルにおける歌手の引き締まった口元をはじめ、シャープな音像は小型スピーカーの独壇場ではないかしらん。

どちらを選択するかはまったく個人の自由なんだけど、小型スピーカーを選択する方にセンスの良さを見出すのはブログ主だけだろうか~(笑)。

というわけで、もろに「我田引水」のもと、元旦からずっと聴き耽っているのがこの小型スピーカー「PL100」(英国:モニターオーディオ)。



ホントは見栄えがパッとしないので、デッカの「リボンツィーター」は置きたくないんだけど、素のままだと高齢者の耳には少し高音域の輝きが不足しているように聴こえてしまう。若い人の耳ならおそらく不要だろう。

そして、この「PL100」はクロス「2800ヘルツ」を境に別々のアンプで鳴らせるように設計されている。

そこで、2台のアンプで鳴らすか、それとも全体をまとめて1台のアンプで鳴らすか、大きな分岐点となる。前者では「周波数レンジ」の面で有利となり、後者では「ハーモニー」の面で有利となる。

当然のごとく、我が家では「ハーモニー優先」だから1台のアンプで鳴らすことになった。

その駆動するアンプがこれ・・、「WE300B」シングルアンプ(モノ×2台)。



「PL100」はインピーダンスが低負荷の「4Ω」、能率が「88db」と、圧倒的に高出力の「TRアンプ」向き仕様だけど、不思議なことにTRアンプと聴き比べてみると、この「WE300B」アンプの方が骨太で情報量が多く聴こえるのだから不思議~。カタログ数値は当てになりませんな(笑)。

で、左側のWE300B真空管は「1967年製」だけど(右側は1988年製)、ゲッターがすっかり無くなって、もはやいつ「お釈迦」になってもおかしくない状況だけど、はたしてどのくらい寿命が持ってくれるかという興味もある。

倉庫に保管していたのを思い出して、使い始めてから2か月ほどになるが、今のところビクともしないほどの丈夫さを誇っており、長寿命で有名な「WE300B」のことだから、ブログ主の寿命を上回る可能性もあって毎日がスリル満点~(笑)。

いずれにしてもこの「PL100」はアンプが良くなればなるほど、上手く鳴ってくれる「法華の太鼓」のような存在で目下のところ「痺れっぱなし」ですぞ~。

家庭でクラシック音楽を聴くのならこれで十分だと思うんだけどなあ~(笑)。

あっ、そうそう最後になるが前述した瀬川さん絡みの資料の中で「40ヘルツ以下の低音は要らない」という言葉があった。

周知のとおり人間の可聴周波数帯域は「20ヘルツ~2万ヘルツ」とされており、実際に低音を30ヘルツも出せれば御の字ではないだろうか。

ここで・・、拙い経験だけど「低音の処理」はオーディオの最大の課題ではないかと思っている。音の収束に優れた低音をどこまで出せるかに関係してくるが、出し過ぎると中高音域に被ってきて曖昧模糊とした音質になるし、その一方少な過ぎると「こじんまり」と、まとまりすぎてスケール感が失われる。

そのバランスが実に難しい・・、もちろん音楽ソースによりけりで一概には言えないけど、せいぜい「40ヘルツ」ぐらいで手を打つのが一番「賢い」かもしれませんね~。

ちなみに、この「PL100」の低音の下限は都合よく40ヘルツに設定されています(笑)。

以上、所詮は「迷える羊」(ストレイ・シープ)の身勝手な独り言です。反論・所感があれば歓迎します~。新春早々から「カウンターパンチ」を浴びるのも爽快でしょう(笑)。



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