前回、話題にした月刊誌「無線と実験」(2011・3月号)について、いろんな収穫があったのは既に記載したとおりだが、まだまだ余禄があった。
それは、オーディオ関係ショップの広告。
147頁に「自作マニアのためのパーツショップ」として「オーディオ・ウィンズ」〔資)の商品が紹介してあり、その中に「真空管ソケット」の種類が掲載してあった。
ソケットを知らない方のために、一言でいえば真空管の足(ピン)を差し込むパーツである。
まあ縁の下の力持ちみたいな存在だが、古くなるとピンとの接触面が劣化して音質が悪くなるのである程度時間が経つと取り替えたほうがいい。
かねてから、プリアンプとパワーアンプの電圧増幅管のソケットが古くなったのでそのうち、金メッキにしてあるものに取り替えたいと思っていたので目的にピッタリ。
商品名は「9ピンMTセラミックGOLD国産〔上付)」。
MTとはミニチュア管のこと。値段はたったの480円と安いのでまとめて10個購入することにした。
早速、メールで注文〔代引き)すると素早く反応があって、「在庫がありますのですぐに送付します」。
これには追記があって、「別府と聞いて懐かしいです。自分の出身は大分県の宇佐です。」とあった。
A田さんという担当(もしかすると社長さん?)の方で、すぐに折り返しメールを送っておいた。
宇佐は別府から北へクルマで1時間ほどの海沿いの地域で大分県の穀倉地帯になっている。
JRの駅の看板が「宇佐・USA」となっていて、日本なのに「USA」かと、ときどき雑誌などで話題になるところ。
それに、あの昭和の名横綱として不滅の69連勝を樹立し、大相撲の歴史に燦然と輝く金字塔を打ち立てた「双葉山」の出身地でもある。
おっと!これが抜けると画竜点睛を欠く。
全国四万四千と言われる八幡宮の総本営とされる「宇佐八幡宮」〔国宝)があるところ。広大な敷地の奥にある神殿の佇まいには、ただただ圧倒される。
A田さんのご実家は、現在、空き家になっており仕事柄、滅多に帰省することもないとのことだが、その折りには是非別府まで足を伸ばされるようお誘いしておいた。
さて、新たに到着した真空管ソケットの付け替え作業を、オーディオ仲間のMさんにお願いしておいたところ、たまたま近くにご用があったとかで24日〔金〕の午後に急にお見えになって工事開始。
まず最初に最近購入したプリアンプから。
シャーシ(ケース)を分解し、ソケットの9つのピンにハンダ付けしてある線を外して、新たに取り付けるかなり面倒な作業。
1時間ほどかけて終了し、最後にテスターで確認してお仕舞い。
次の写真が取り外した古いソケットと、新たに取り付けたソケット〔右側)。
「ホ~ラ、見てご覧、シャーシに隠れて目につかないところのパーツはこんなにケチっているよ。」
ホ~ント。取り外したソケットはプラスティック製の見るからに音の悪そうな代物。おそらく200円程度の品物だろう。
たかが、百円単位でこんなにケチらなくてもいいのにと思うが、大量生産して仮に10000台作るとなると儲けの差額が280万円(480円ー200円=280円、その10000倍)にもなるのでバカにならない。
大量生産品とはそういうもので、こういうときに作る側のコスト削減と、使う側の品質欲求のアンバランスの典型的な例を見る思いがする。
やはりオーディオ製品を安心して使おうと思えば「自作」あるいは信頼できる「知人」につくってもらう、あるいは改造してもらうに限ると再度、認識を新たにした。
次に、パワーアンプ(WE300B:モノ×2台)のほうはプリアンプと比べてより複雑な作業になるので持ち帰って付け替えてもらうことになった。
そこで代替アンプとして久しぶりにPX25真空管アンプを引っ張り出して接続して聴いてみると、これが想像以上にいい味が出る。
このPX25は周知のとおり英国製で、およそ60年ほど前の古典菅。アメリカ生まれのWE(ウェスタン)300Bと並び称され、音がいいとされる三極管である。
付けている出力トランスはデンマーク製でオルトフォンのカートリッジで有名なJS社のもの。
一緒に試聴したMさんは、300BよりもPX25のほうが好きだとおっしゃる。いかにも英国風の奥ゆかしさがあって音楽性が豊かとのこと。
ただし、やや中低域が薄くてチェロの響きが今一歩とのことで、この辺は湯布院のAさんからもこれまで再三再四指摘を受けており、ず~っと前から自分の悩みの種である。
対策のひとつとして低域ユニットを現在のフォステクス〔SLE20W:片チャンネル3本)からアルテックの403A〔同3本)に取り替え、軽くて弾むような低音を狙うのもいい。
その「Xデー」を何時にするか、交換作業がおよそ丸1日はかかるし、結構、体力も要るしで、今のところ思案投げ首である。
最後になるが、プリアンプのソケットを金メッキに交換した以上、当然のごとく真空管のほうも金メッキの足を持った真空管に交換したいところ。
該当する真空管「6FQ7」のゴールド・ピンを持ったタイプを調べてみるとエレクトロ・ハーモニックス(メイド・イン・ロシア)から販売中なので、そのうち、購入して手持ちのRCA、GE、東芝の真空管と比較試聴してみる予定。