「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~クロスオーバーの見直し~

2008年01月15日 | オーディオ談義

昨年の11月末に91歳の母が足の骨折で入院していたが、ようやく快方に向かい1月7日にリハビリ専門の市内の病院に転院できた。

非常に静かな環境で新しくてゆとりのある病室、懇切丁寧な説明、スタッフの充実、職員の行き届いたマナーなど
理想的ともいえる病院でこういうところに入院できた母の運の強さに驚くばかり。

現在、午前午後各1回のリハビリ訓練を行っているが、受け持ちの理学療法士さんともすぐに仲良くなったようで話が弾み、どうやら音楽好きのようでワタシのオーディオ好きが話題になったとみえ是非聴かせてくれとの成り行きに。

毎日、病室に通っているので母からこれを伝え聞き、早速「いつでもどうぞ」と言っといてと答えたものの、全然面識がない初めての方のご来訪にはやはり普段よりも慎重にならざるを得ない。

さぞ、いい音だろうと随分期待して来られるだろうから簡単に失望させるわけにはいかない、よし、ここがこれまでのオーディオ人生の腕の見せどころ。

いつ見えてもいいように、帰宅すると早速、日頃散らかしているオーディオ・ルームの掃除と整理整頓にとりかかった。それが終了すると、いまだにしっくりこない
クロスオーバーの見直しに取りかかった。

オーディオをやり始めてから40年ほどになるが、いい音だと満足するときがあれば、一方でこれが40年もかけて到達した音かとガッカリすることがある。交互にこれの繰り返しで、要するにいまだに不安定な状態が続いている。常に何かしら不満がつきまとうのはおそらくオーディオ愛好家の業のようなものだろう。

また、一方では音は耳ではなくて脳で情報処理しているのでいつも同じような音では単調さを忌み嫌う脳の機能も関係しているのかもしれない

さらに最近、福岡にいる長兄がやって来て我が家の音を聴いてクビをひねりながら、帰ってしまったのもやや響いている。

とにかく、これまで我が家の音に感心したことがなく、ワタシのお下がりのアンプを使っているクセに自分の家の貧弱な装置(国産箱入りの15インチ・タンノイ)の方が上だと言うのだから始末に終えないが、オーディオはつぎ込んだお金に比例するとは限らないのでやはり気になってしまう。

いろいろ考え合わせると、どうもこれまで中庸の無難な音を狙いすぎてきたような気がする。もちろん、オーディオは人間の可聴周波数帯域(20~2万ヘルツ)をまんべんなく一定の密度の音で満たすのが基本中の基本だが、そのバランスを踏み越えない範囲で今回は世界中で我が家だけしか聴けないオンリー・ワンのような音を目指してみようかとトライしてみた。

いささか、専門的な内容になるが次のとおり。

まず基本線の延長として、中域(JBL375:16Ω)の帯域のクロスオーバーをいじってみた。現在下限を500ヘルツ前後でカットしているが、12マイクロ・ファラッドのコンデンサーを追加して思い切って350ヘルツ前後まで下げてみた。あくまでも低域の上限(300ヘルツ前後)とのからみになるが中低域の厚みを増すことが狙い。

次にオンリー・ワンの音にする工夫。我が家の装置のセールス・ポイントは何といっても高域(JBL075)だろう。超重量級のステンレス・ホーンをまとった075を真空管それも4300B単独で駆動しているのは、決して自慢するわけではないがこの日本でもそういないだろう。

現在でもクセのない素直な音が出ているが、中域の375の上限が5000ヘルツ前後ということもあり、現在使用中のフィルム・コンデンサー(メーカー:指月)に加えてウェスタンのオイル・コンデンサー(黒)を追加し、現在の下限7000ヘルツ前後を5000ヘルツ前後まで一気に下げて受け持ち範囲を拡大してみた。もちろん接続はハンダ付け。

それにフィルムとオイルの
異種のコンデンサーの並列接続も面白い試み。両方のいいとこ取りができるといいのだが・・・。やってみて良くなければ元に戻すだけのこと。命までは取られないだろう。とにかく、オーディオはやってみなければ分からないところがかなりある。

以上、結局、低域~中域、中域~高域のクロスオ-バー前後の重なり部分を”疎”から”密”にしたということ。

こうして約1時間ほどかけて作業が終ると早速試聴開始。
おそらくお見えになる方は若い方と聞いているのでジャズを中心に選んでみた。
ソニー・ロリンズの
「サキソフォン・コロッサス」
ビル・エヴァンスの「ムーン・ビームス」「ワルツ・フォー・デビイ」
マイルス・デビスの「カインド・オブ・ブルー」

最後に、クラシックでアルビノーニの「オーボエ協奏曲」(ニ短調)とモーツァルトのピアノ協奏曲25番で締めくくり。この25番はグルダ(ピアノ)とアバド(指揮)とウィーンフィルの組み合わせ。

ここにきて、思わず試聴を忘れて聴き耽った。ことに第2楽章の部分は静謐な美しさに溢れ”モーツァルトの音楽ここに極まれり!”と久しぶりに魂が高揚するのを覚えた。彼の音楽はオペラに尽きると思っていたが、これだからうかつに断定は出来ないと思った。ただし、全体の完成度ではなくて部分的という限定付。

さて、オーディオに戻るとして、ツィーター(高域)の帯域を拡大したのでスッキリさわやかに空間が広がって音の抜けが随分良くなったのが第一印象。しかも不自然感がないので、むしろこれまでの高域の帯域が設定ミスで狭すぎたようだ。それに中低域の厚みもたしかに増したのが確認できた。以上、狙いがバッチリ当たったというよりも正常な姿に一歩近づいたようで、こうまで的中すると手放しで嬉しくなる。

それに面白いことに気付いた。
これまでは、ジャズを聴くときはシンバルを鮮明にするために高域専用のボリュームをクラシックのときよりも一目盛り上げていたのだが、今回のクロスオーバーの変更で逆にジャズのときはクラシックのときより一目盛り下げるようなった。一体どちらが正解なのかよく分からないが、現在の方が理にかなっているような気がする。

こうして、いつ来てもらっても自信を持ってお迎えすることが出来るようになったが、この気持ちの余裕は大きい。

結果的に、怪我の功名でこうした見知らぬ方のご来訪予定がきっかけで波紋のように音に対する新しい発見と工夫に結びつく。これだからオーディオを通じての出会いは本当に有益、かつ、楽しみになる。

                        
      上の黄色が指月のフィルム・コン             075ツィーター
 

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