オーディオマニアの方ならどなたでも経験があると思うが、毎日毎日同じ音を聴いていると耳が麻痺してしまってシステムの欠点に気が付かないことが往々にしてあるものである。
昨日(26日)の午後、我が家に大分市からお見えになったオーディオ仲間のEさんとMさんから実にいいアドバイスを3点いただいた。Eさんは70歳代半ばの方だが、50年近く毎日毎日オーディオの細かい調整を続けてきた超ベテランで、お見えになるたびに貴重なご意見をいただいている。
☆ SPコードの接続ミス
我が家のメインシステムである「AXIOM80」でEさん持参の「高橋真梨子」のCDをかけたところ、「どうもおかしいなあ、低音域と中高音域が音を打ち消し合っているよ。SPコードの接続ミスによって逆相になっているんじゃないかなあ」と、Eさん。Mさんもまったく同意見。
急いでSPコードをつなぎ替えて試聴してもらうと「うん、これでいい。随分聴きやすくなった」。
我が家のWE300B真空管アンプは度重なる改造のためSP接続用のプラス端子にマイナスのSPコードを接続するようになっているのに、つい「うっかりミス」を、やってしまったらしい。このシステムでは日頃クラシックばかり聴くものだから位相の違いに気付きにくかったが、歌謡曲を聴くとたちどころに判明したというわけ。
しかし、自分は改めて「駄耳」だと痛感。
☆ スピーカーの背圧を逃がす
試聴盤にワーグナーの「ワルキューレ」をかけたところ、「低音域の音がちょっと籠りがちだねえ。1個のユニットだけでも背圧を逃がしてやったらどうかなあ」。
「そうですか、4か所の穴の木の栓を取り除いてみましょう。」
「いやあ、これだけでも大違いで明らかに抜けが良くなったよ。」
☆ スピーカーベースの取り換え
このところスピーカーのベースは設置場所が移動できるようにゴムの歯車がついた台車にしていたのだが、この辺をこのお二人は見逃してくれなかった。
「スピーカーの下にゴムを敷くと音が丸くなって良くないよ。金属のベースで固定してしっかり支えた方がいい。極めて重要なポイントだからすぐにやろうよ。善は急げだ。」
3人がかりで、スピーカーを持ち上げて金属ベースを3点支持によって敷いた。(上記写真のとおり)
これでベートーヴェンの弦楽四重奏を試聴。Eさんのたっての所望によるもので、弦楽四重奏の再生はオーディオシステムにとって極めて難しいとのこと。
「素晴らしい音やね~。細かくて繊細な音がよく出るし、奥行き感も十分あるし、まったく言うことなし。この音を聴いて悪いという人はオーディオが分かっていない人だから気にしなくていいよ。」とまで、絶賛。
たしかに、AXIOM80をこれまでずっと愛用してきたが、今日は最高の鳴りっぷり。
JBLの3ウェイシステムも聴いてもらったが、あまり興味を示してくれなかった。どうやらAXIOM80の魅力には及ばなかったようで(笑)。まあ、好き好きだろうが。
とにかく、今回はお金を一銭もかけずに音質に磨きがかかったのは実にありがたい。
「オーディオは細かいチューニングの積み重ねだよ。」との言葉を遺して、EさんとMさんが辞去されたのは5時前だった。およそ3時間にわたる試聴だったが、値千金にも均しい時間でお二人にはまことに感謝である。
システムに対してとかく自己満足に浸りがちのマンネリズムの中、ズバズバ遠慮なく(システムの)欠陥を指摘してくれるオーディオ仲間もまた良き哉!