一昨日の日曜日(15日)に朝刊(地元紙)をめくっていたら、一面いっぱいの広告が目に飛び込んできた。
フ~ン、どうやら真空管アンプの良さが見直されてきたようだ。そうじゃないとこれほどの大々的な広告はしないはず。
「なぜ今、真空管アンプなのか?」の小見出しでは、「真空管アンプは高音の澄み切った音を表現することに適している、音量を大きくしてもキンキンした感じにならず柔らかい音になる、長時間聴いても疲れない」などが羅列してあった。
これでも昔は一時期トランジスタアンプをせっせと買い替えて使っていたことがあるので、両者の酸いも甘いも噛み分けてきた積もりだが、どうやらこれらの表現は概ね当たっていそうに思う。
お値段はと見ると、一括払いのときでおよそ10万円。お買い得かどうかは購入した人の判断次第なので他人がとやかく言う資格はないが、「10万円の範囲内で、もし、お前だったらどうする?」と問われたら、次のように配分する。ちなみに、すべてオークションを利用することが前提。
SACD・CDプレイヤーに4万円、ボリューム付きの真空管アンプに2万円、SPユニット(ペア)に2万5千円、エンクロージャー(ペア)に1万5千円。
まず、音の入り口に一番カネをかける。それから2万円も出したらそこそこの真空管アンプが手に入る。SPユニットは三菱のP610A(口径16センチ)やフィリップス(口径20センチ)で十分お釣りがくる。このユニットはメチャいい音が出まっせえ!(笑)。そして、そのうち音に変化を求めたくなったらアンプを買い替えるといい。ま、こんなとこかな。
さて、なぜ音の入り口に一番カネをかけるのかと、疑問に思う方もいるかと思うが、某老舗の真空管アンプメーカーのネットに「正しい音とは」に関して次のような記述があった。
「マニアの皆様方は、日々、音質改善に努めている事と思います。パーツ、機器等を取り換えて音が変わること、変わったことで、満足を得ていると思います。しかし、音が変わっても本当に良い方向に変わったのか、自信を持った判断が出来なく迷った上、再度パーツ、機器を取り換えることが多くありませんか?
又、機器、アクセサリーを取換えた際に、逆に音が悪くなったと判断したときに注意しなければならない事は、心理的に、取換えたものは、いわゆる侵略者で悪い物とされます。しかし、取換えた物に癖(癖は歪です。)がなかったら、他の機器、アクセサリーの癖が目立ち、取換えた機器が悪いと間違った判断をしてしまいます。
この失敗を防ぐ為には、音の入り口より手掛ける事で、反対に出口より手掛けると、前段の機器の癖が目立ち、音が悪くなった様に感じる事があります。極端な事を言えば、悪いソフトは良い音で鳴らないということです。」
ちょっと回りくどい表現なので、端的に言うと「音の入り口がお粗末だと後段のアンプやスピーカーにどんなにいい物を使ってもその良さが発揮できない」というわけ。
「音の入り口にはどれだけお金をかけても“かけ過ぎ”ということはない」というのが、これまでの長~いオーディオ経験で得た数少ない哲学のひとつである。
つい最近も、新たなDAコンバーターの導入によって息を吹き返したオーディオ機器があって、それはプリアンプの「PAM5」(クレル)と「真空管2A3(刻印入り)シングルアンプ」だが、紙数が足りないので後日紹介することにしよう。
ちなみに、このメーカーが言う、「原音=正しい音」を再生装置で出す場合には次のようになるそうだ。
「音量を大きくしてもうるさくありません。会話が楽に出来ます。音は前に出ず、左右後方に広がり余韻が綺麗です。
音像定位は平面的でなく、左右後方に定位します。スピーカーの存在感はなく、スピーカーの近くでも、離れても音質、音圧の変化を感じさせないで良く聞き取れます。」
ジャズ好きの方にはどうかと思うが、クラシックファンにはいちいち思い当たることが多いと思う。
冒頭の真空管アンプの話から発展して、ややとりとめのない話になってしまった。
最後に、オーディオマニアにもいろんなタイプがあって、自ずから力点の置き方によって「前段機器派」、「アンプ派」、「スピーカー派」に色分けされるようだ。
前段機器派を細分すると「レコード」「SACD」「PCオーディオ」となり、アンプ派となると「真空管」と「トランジスタ」に区分され、スピーカー派では「フルレンジ指向」と「3ウェイ指向」などに分かれる。
まさに百花繚乱、この中からいろいろと選択して組み合わせながら自分の個性を発揮しようというのだから、改めてオーディオはたいへん。
釣りをやるとボケないというが、オーディオも是非そうであって欲しい~(笑)。