少子化でシニア受講生が増加
2022年4月18日
若い頃、遊び半分で習っていたピアノ演奏を45年ぶりに再開、音楽教室に通い始めて数年になりました。ボケ防止のためです。指、腕、聴覚、視覚、頭など全部を使う。6、70歳を過ぎたシニアには、なによりもいいのです。
やってみますと、指が思うように動かない、美しい響きにならないという不満が募るばかりでした。そこで思い切った決断に踏み切りました。
演奏技術を評価してくれる審査会があり、20段階ある等級から自分に合うレベルを選び、専門家の審査を受けるのです。一体どのレベルに達しているか知りたいし、緊張感を失いがちな日頃の練習にとって、いい刺激材料になると考えたからです。目標があったほうが頑張れる。
囲碁や将棋でいう段位の取得を目標にしたのです。正式には「ヤマハピアノ・コンサートグレード」と呼んでいます。ゴルフでいうハンディキャップみたいなものでしょう。ハンディの取得は目標になる。
(写真は左から審査会場の風景、先生の書き込みもある私の楽譜、審査員のコメント・シートです)
ピアニストの中村紘子さんがショパン国際ピアノコンクールで入賞、国際的にデビューし、著書にも「チャイコフスキー・コンクール」があるのを思い出し、そのまね事のようなブログを書くことにしました。
等級は、入門から始まり、初級、中級、中上級、上級ときて、最上級はプロのピアニストを目指し、コンクールに臨む人たちが受けます。それぞれの等級の中にもいくつかの区分があり、全部で約20段階です。
審査では、決められている課題曲、自分で選ぶ自由曲の2曲を指定の制限時間内で弾きます。上級はリストの「愛の夢」、ショパンの「幻想即興曲」など難しい名曲が並び、音大生レベルが受けるのでしょう。
私が挑戦したのは中上級3というレベルです。下から数えると16番目、上からだと、5番目(プロ級を除く)です。普段から馴染んでいる曲があり、磨けば合格できると思ったからです。
等級別に課題曲が列挙されており、私が選んだのはショパンの最も有名なノクターン2番です。自由曲は演奏者が自由に選べ、モーツアルトのソナタ14番の第一楽章にしました。2曲合わせて持ち時間は8分です。
先生の受験指導を受け始めたのは昨年の11月からです。審査を受けたのは昨日4月17日ですから、半年間、来る日も来る日も、この二曲はあきるほど練習しました。だいたい同じ曲を4か月も毎日弾いていたら、頭への刺激がなくなってしまう。それをこらえるには、忍耐力や集中力が必要です。
ピアノ教室の先生は私が弾くのを聴き、始めは「うーん」と、心配そうな表情でした。「私の指導は厳しいですよ」とのお話の通り、モーツアルトは「リズムがばらばら、これではだめです。メトロノームを必ず置いて練習しましょう」と。教室の売店で3500円で買いました。
ノクターンは「左手の伴奏部分がずさんです。しっかり鍵盤を底まで押し、しかもスラーで。それができるようになってから、右手のメロディーを乗せる」と。結局、3か月ほど、飽きがくるほど左手だけの練習です。次第に単調なはずの伴奏部分の美しい響きが感じられるようになりました。
いよいよ明日という日、先生からスマホにメッセージが入りました。「メロディーが区切れるところ(末尾)をしっかりと聴いて弾くように」とのことでした。次のメロディーに早く移ろうとして、末尾がついつい雑になる。私の悪い癖です。「あとは思い通り、ピアノを歌わせてください」と。
審査会はほぼ毎月、行われており、今回は20人が3回に分かれて、審査を受けました。全員がシニアです。といっても、まだボケ防止が必要のない40代、50代の人も少なからずおられました。
結果は恐らく、全員が合格でしょう。というのは、審査員の評価は「SS、S、A、B、C」の5段階あり、「C」でなければ、合格なのです。つまり「超優、優、良、可、不可」です。「不可」でなければ、合格です。これからプロを目指すわけでもなく、あくまで自分の実力を知ることに意味がある。
終了後、審査員からコメントシートをもらい、合否を確認します。私の場合、1人の審査員は「課題曲はS、自由曲もS」、別の1人は「課題曲S、自由曲A」でした。翻訳すると「すごくうまくはない。そう下手でもない」。
少子化でピアノレッスンを受ける子供が減っています。ピアノの販売台数は年間1万台(かつては5万台とか)を切っています。ピアノ人口の200万人は減少傾向で、子供が8割ですから、ますますシニアに期待がかかります。
新聞やテレビで「ピアノ売って頂戴。○○ピアノ」という広告にしばしばお目にかかります。ヤマハや河合の中古ピアノをただ同然で引き取り、修復して中国などに輸出しています。ぼろ儲けです。
荒稼ぎをされるくらいなら、中古ピアノは売り払わず、1万円2千円程度の月謝を払い、ピアノ教室に通えば、大歓迎してくれます。気品豊な先生(ほとんどが女性)が多く、ここはという部分は実演してくれます。これで手、耳、目、頭、美意識を維持できれば、安上がりというべきでしょう。
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