加計学園問題を強く批判
2018年3月17日
森友学園を巡る文書改ざんで国会が燃え上がっている時、前川・前文科次官が名古屋市の中学校で講演したことを文科省が疑問視し、問い合わせのメールを送りました。加計学園の獣医学部開設で安倍政権に批判的だった前川氏が再び時の人となりました。寝ていた子を起こす展開も予想され、安倍政権は大混乱です。
新聞の第一報は小さな扱いで、「名古屋市の中学ー前川氏が授業の一環で講演ー文科省が講演録を請求」という内容でした。「加計学園で問題で有名になった前川さんがなぜまた今・・」と、私も思いました。
新聞は名古屋市の中学だけに言及(3月17日現在)しているので、「なぜまた名古屋で・・」とも、思いました。念のためネットで検索してみると、前川氏は辞職後(昨年1月)、各地の講演会に招かれ、加計学園、教育、官僚あり方など広範な問題について批判的な発言を繰り返していることが分かります。
各地で批判の講演会の数々
札幌「前川喜平が語る教育」(17年10月)、岡山「人権と文化の集い」(同11月)、京都「これからの日本」(同12月)などで、ネットでは音声と動画付きです。日本ジャーナリスト会議、地元大学有志、人権と文化の関係者などの主催者です。政権、政府、文科省が決して愉快に思わない内容です。
いくら文科省でも、学校と直接、関係のない場所における前次官の講演会をやり玉上げることはできません。恐らく狙ってはいたのでしょう。場所が中学校となると、文科省の管轄下で、「待ってました」になったのかもしれません。
問い合わせのメールは2回、30項目です。「出会い系バーの利用者だったことを認識していたか」、「どのような判断で講演を依頼したのか」、「具体的かつ詳細に報告し、録音データを提供してもらいたい」などなど、きつい内容です。前川氏を招いたことは間違いだぞと、十分に伝わるメールです。それにしても高飛車です。
林文科相は「教委などへの問い合わせや事実関係の確認は通常のこと」と、ことさら平静を装った発言です。地元市教委は「人選は間違っていない。文科省からの問い合わせは異例」と、不快感を隠そうとしていません。
不公正な獣医学部の認可決定
ネットに流れている動画を見ますと、「前川さんが立ち上がる姿を見て、多くの勇気をもらったという祝電が私宛てにきました」と、自ら紹介しました。さらに「実際はそうではない。加計学園問題では、現役の職員3-4人が義憤を感じ情報提供をしたのが発端」と、さらっと言ってのけたりしています。
「獣医学部の認可では、公平、公正さが失われる決定がなされた」、「認可の原則である石破4条件を満たしているのか検証もされていない」、「国際競争力の強化が目的なら、京大と連携する京産大の構想がふさわしい。医学部もあり、IPS細胞の研究でトップを走っている京大・京産大連携が数倍、優れていた」。
「しかも、四国でしか認められないような条件が付けられた」「京産大にとって開設が間に合わないような時期が後出しで付加された」、「納得のいかない不透明、歪められた決定だった」。などなど、国会でも論戦になりました。
政権、政府が前川氏の発言を封じたいのなら、事実に反した主張を続けているとして、名誉棄損か何かで訴えるべきです。法のもとで事実関係を確定するのがいいのです。そうすると、都合の悪いことが表面化してくるのが嫌なのでしょう。
前川氏は、「学習指導要領、解説では、教師は自分の頭で考え、批判的な精神を持つべきだとしている。文科省の言いなりになる先生はいらないのです」と、辛口の教師論も講演会で述べています。文科省はこれがまた、気に入らないようです。
とにかく、このタイミングで報道されれば、大騒ぎに発展しかねないような無神経なこと文を科省はやってくれました。森友文書で政権がどのような状況に置かれているか、文科省担当者は眼中になかったようですね。財務省といい文科省といい、失態が続いています。