「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「仕組みにすればよい」
組織において物事がうまく回らなかったり、何らかの問題が生じたりするときなどに、その解決の手段として使われることが多いのが、この言葉です。弊社が問題発見・課題解決研修を担当させていただいたり、中小企業でコンサルティングを担当させていただいたりする際にも、聞くことがとても多いと感じています。
また、新聞の記事などでも、物事がうまく回っていない状態を改善する方法として、「仕組みにすることが大切」という趣旨の識者の話が載せられていることが多いようにも感じます。
それでは、「仕組みにする」とは何をすることなのでしょうか?「仕組み」という言葉を辞書で調べてみると、「ものごとの組み立てられ方、構造、機構」とあります。組織において「仕組みを作る」ことの狙いの一つには、異動や退職によって人が変わることがあっても、いつでも、どこでも、誰が行っても同じ成果を出せるシステムを構築するということがあると思います。この意味合いからも、仕組みにすることが大切であることがよくわかります。
では、仕組みが整っていないとどういうことが起きてしまうのでしょうか?
まず、仕組みになっていないと仕事が属人化しやすくなってしまいます。特定の人しかわからない業務ができてしまったり、仕事のやり方が改善されず効率が悪くなったりします。また、特定の人に業務を固定化した結果、他の人が新たな業務にチャレンジできず成長の機会を得られなかったり、状況によっては不正が生じやすくなったりすることにもなりえます。
そのように考えると、「仕組みにすること」自体はとても重要なことだということがよくわかります。しかし、一方で「仕組みを作り、運用し、定着させる」ことには相当のエネルギーが必要となることも事実です。このため、掛け声だけで仕組みが定着するようなことはないわけです。しかし、冒頭の言葉のように「仕組みにする」という表現は非常に聞こえがよいことから、あたかも魔法の言葉のように、問題の解決策として万能であるように捉えられてしまうことがあります。
実際、弊社が行う公開セミナーのタイトルの一部に「仕組みにする」という表現を入れると、どこの組織でも使えるようなパッケージになっている仕組みを紹介してもらえると過大な期待をされてしまうことがあります。しかし、残念ながら現状ではそのようなものは存在しないのです。
それでは、仕組みを作り定着させるためには、どうすればよいのでしょうか?
それには、メンバー全員でアイディアを出しながら、5W1Hで具体的な行動を決めて日々共有し続けるという、ある意味では地味とさえいえるような作業をコツコツとやり続けていくことが大切です。
仕組みにすることは、前述のとおり大切なことですから、私自身も今後も推奨していくつもりです。同時に「仕組みにすること」は魔法のように一瞬にして物事に大きな変化をもたらすことではなく、地道な努力が必要となるものであることもしっかりお伝えしていきたいと考えています。