中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

日刊工業新聞で弊社が紹介されました。

2013年10月11日 | コンサルティング

2013年10月11日(金)の日刊工業新聞・21面「ちょっと訪問」で弊社が紹介されました。

弊社は2011年にスタートし、今年で3年目になります。最近は研修の仕事だけではなく、仕事の改善や人材育成の仕組み作りなどの依頼もいただくようになりました。

そうしたお客様のご要望にお応えするため、弊社はこれまでの経験と知識を生かしてコンサルティングの分野に舵を切りはじめたところです。

今日、この記事が掲載されたことは「コンサルティングに力を入れる」という弊社の決意表明にもなっていると思います。

もちろん、研修の仕事にも全力を挙げて取り組んでまいります。

これからもご支援いただきますよう、お願い申し上げます。

(人材育成社)


「チャンスの神様」 

2013年10月10日 | コンサルティング

「カイロス」とは、ギリシア語で「機会(チャンス)」を意味する男性神だそうです。その風貌には特徴があって、前髪はふさふさと長いけれど、後頭部が禿げた美少年として表されています。

「チャンスの神様には前髪しかない」ので、「好機はすぐに捉えなければ、過ぎ去ってからでは捉えることはできない」という意味なのだそうです。

このチャンスの神様のことを、作家の阿刀田高さんが1996年に新聞に書いていました。当時、私は大変印象深く感じ、記事を切り取って保管し、今も折に触れて見ています。

「チャンスの神様は、向こうから走ってくるのだが(そしてなぜか裸で走って来るらしいのだが)こちらは待ち構えていて、『えぃっ』とばかり、その前髪をつかまなければいけない。「待ってくれ」追いかけて、うしろからつかまえようとしても、そこはそれ、つるつるだから手が滑って捕らえることができない」

「チャンスがやってきたら絶対につかまえてやるぞ。その準備があってこそ、はじめてチャンスや幸運をわがものにすることができる。」

この考え方は、キャリア理論のクランボルツの「プランドハプスタンス(計画された偶発性)」に通じるところがあります。

偶然の出来事をただ待つのではなく、それを意図的に生み出すように準備し、積極的に行動する。そうすることにより、自らのキャリアを創る機会を増やすことができるという考え方です。

チャンスをつかむことも、創り出すことも、意識的に準備することが大事だということです。

私たちは、目の前のことに追われてしまうと、つい中長期の視点で考えることを怠ってしまいがちです。

しかし、目の前の準備にばかりに追われてしまうと、仮にチャンスの神様が近づいてきてくれたとしても、見過ごすことになってしまいます。

チャンスの神様をすかさずとらえられるように、常日頃から用意周到に心がけていたいものです。

ところで、皆さんはどのようなチャンスの神様をつかまえたいですか?

(写真はwikipediaより)

(人材育成社)


モチベーションのあいまいさ

2013年10月09日 | コンサルティング

人間はどのような理由でやる気になるのでしょうか? 

やる気を起こさせるものを「動機づけ要因」と言います。「モチベーション」と言った方がわかりやすいかもしれません。

ところで、モチベーションには2種類あると言われています。

ひとつは、昇給、ボーナスなどの金銭的報酬や、他者からの賞賛や承認などの精神的報酬のように、外部から与えられるものによってやる気になる「外発的動機づけ」

もうひとつは、目標をクリアしたときの達成感、成長感、有能感、自己実現など、自分の内部からの欲求でやる気になる「内発的動機づけ」です。

企業研修では、「外発的動機づけよりも、内発的動機づけを重視しなさい」と教えます。たとえば、給料を増やすよりも仕事に対する(従業員の)達成感が生まれるような仕組みを作りなさいということです。

しかし、私はこの2つの「動機づけ」を分けることは難しいと思っています。

たとえば、最初は出世のために頑張ってきたが、いつのまにか仕事自体が面白くなって昇進や昇給にあまり関心がなくなってきた。

あるいは、やりがいを求めて入社したが、いつになっても昇進やボーナスといった報酬面が改善しないので転職をしてしまった。

・・・こうしたことはよくあると思います。

なぜなら、この2つの「動機」は、常に人間の心の中に同居しているからです。

正反対のように見えるこの2つはお互いにからみあって、あいまいな状態になっています。それが「やる気」の正体なのではないでしょうか。

経営者および管理職の方は、モチベーションとはあいまいなものであることを理解しておく必要があります。

(人材育成社)


  


「男性の残業が減った?」After5の過ごし方

2013年10月08日 | コンサルティング

このところ、平日の夜間も開館している美術館が増えています。先日、私も夜に出かけてきましたが、思いのほか観覧者数が多いと感じました。数年前は平日の夜に男性が訪れていることは少ないと感じましたが、今回は様相がだいぶ変わっていました。

先日、伊藤忠商事が残業の削減策として深夜残業を禁止し、朝型の勤務を促す新たな制度を試験的に導入したとの報道がありました。新制度では午後8時以降の残業を原則禁止し、代わりに午前5~9時の時間外手当の割増率を引き上げるとのことです。新制度導入の目的は、勤務時間内の生産性を上げて、残業時間を削減することにあるようです。

私が担当している時間の整理を行う研修では、はじめに受講者の1か月の時間の使い方を分解することを行っています。1か月720時間を仕事と生活と自由時間の3つのくくりに分けて、各々どれ位の時間使用しているのかを客観的に確認をしていただいています。

その結果、仕事時間が300時間を超える社員が多い企業がある一方、200時間以内に収めている社員が多い企業もあります。

この違いは、残業規制を徹底しているか否か。またムリ、ムダ、ムラを排除し、仕事の効率化を図るっているか否かによります。

どの企業でも多かれ少なかれ、こうした取り組みは行ってはいるのですが、成功するかどうかの差は、取り組みの本気度にあります。

企業としては、仕事の効率化を図ることで残業代を削減できる。では、社員は残業を減らすことにより、何を得るのか。両者がそれぞれのメリットを具体的に描き、それを共有化できるどうかに鍵があるのではないかと感じています。

さて、仕事を効率的に進めて、残業を減らすことができたら、あなたはまず何をしたいですか。選択肢の一つに美術館はいかがでしょうか。

(人材育成社)


終わりのない曲(π)

2013年10月07日 | コンサルティング

人材育成という私たちの仕事は、スタートがあっても終わりというものがありません。強いて言えば遠い未来、組織で仕事をすることを必要としない社会が来た時が終わりかもしれません(どんな社会か全く想像できませんが)。

今日は、首都大学東京大学院での後期授業の初日でした。授業開始の20分前に教室に着くと、さすがに誰もいませんでした。

もう10年以上もこの授業を担当しているのですが、初日は緊張します。

これから社会に巣立って行く学生にとって、私の年齢は永遠に近いくらい「遠い未来」だと思っているに違いありません。

これから先、長い社会人生活が待っている彼らに、多少なりとも役に立つ考え方や知識を身につけてもらいたいと、あらためて強く思いました。

さて、現存する楽曲の中で最も長く、未完成で、無限に続く「終わりのない曲」があります。今日、教室に集まった学生にこの曲を送りたいと思います。

終わりのない曲の名前は「Song from π!」といいます。

https://www.youtube.com/watch?v=OMq9he-5HUU

 


「全体教育」か「選抜教育」か

2013年10月06日 | コンサルティング

企業の人材育成において、誰を教育の対象者とするのか、全体に対して行うのか、選抜者のみに行うのか、どちらを重視するのかは古くて新しい議論です。

厚生労働省が毎年行っている「能力開発基本調査」(平成24年)によると、正社員では、「全体教育」を重視する企業は57.0%( 前回55.3%) に対し、「選抜教育」を重視する企業は41.8%(前回43.3% %)で、全体教育を重視している企業が多いことがわかります。

また、今後の方向性としては、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する企業割合が高くなっていくようです。

私自身も、この数字が示すとおり、一昔前は「選抜教育」に関する研修の相談や、他社の選抜教育の動向についての情報を求められることが多かったと感じていますが、最近では滅多になくなりました。

「全体」か「選抜」か、どちらを重視するにしても一長一短ありますが、私自身は全体教育の有効性を感じています。理由は、全体教育によって社内の「共通言語」を獲得できるからです。

例えば、「問題発見・課題解決」スキルを学ぶ場合、多くの社員が教育を受けていれば、そこに共通言語が生まれます。

通常、組織の問題を発見したり解決する場合、一人で取り組むことはありません。

また、問題の原因を追究したり課題を設定する場合、一つの職場だけで解決できないこともあります。前工程や後工程の部署の協力も得て、取り組まなければなりません。

その際、一人でも多くの社員が「問題発見・課題解決」の手法を知っていれば、組織全体の問題として取り組むことができ、自ずと解決までの道のりも短くすることができます。

このような話をすると、「全体教育の良さは十分わかっているけれど、予算がない。限られた予算で行うのであれば、選抜した人だけにせざるを得ない」、「そもそも本当に全体教育を行っている企業があるのか?」などと思われた方も多いと思います。

確かに、全体教育に取り組んでいる企業は、先の調査のデータが示すほど実感としては多くはないです。しかし、実際にあるのです。

私が担当させていただいているある企業は、昨年度483名が「問題発見・課題解決」研修を各一日間受講しています。 

その割合は、全社員数の81%です。(100%でないのは、出向者がいるため)。さらに、この会社の素晴らしいところは、今年度も引き続き、同じテーマの研修を第2弾として行っているところです。

このように、8割の社員が同じテーマに関して深堀りをしていくと、自ずと共通言語は生まれやすくなります。そして共通言語を持つことが企業風土となり、やがて企業文化となっていくのです。選抜者だけを教育対象とするのでは、やはり共通言語は生まれにくいのではないでしょうか。

全体教育の有効性は、このようなところにあるのだと思います。

 (人材育成社)


あなたの市場価値を決める能力とは?

2013年10月05日 | コンサルティング

人的資本理論によれば、会社員の能力には、どの会社で働いても通用する能力(一般的能力)と、その会社でしか通用しない能力(企業特殊的能力)があるとされています。

一般的能力は、転職しても通用するためポータブル・スキル(持ち運びできる能力)と呼ばれています。営業部門ならば対顧客交渉力、販売士(資格)などの幅広い知識がそれに当たります。

一方、企業特殊的能力とは、その会社特有の販売方法や代理店との人的なつながりなど、他の会社へ行けば使えなくなってしまうスキルです。

人材育成の業界では、別の会社でも通用するポータブル・スキルを身につけて「市場価値のある人材」になりなさい、とよく言います。

しかし、私はこうした考え方には非常に強い違和感を持っています。

私の知る限り、資格などのポータブル・スキルを身につけて華々しく転職した人は、おおむね転職後の評価は低い(わかりやすく言えば、昇格・昇給していない)ようです。

それに対して、転職後に成功している人は、ほぼ企業特殊的能力に優れています。

それは、なぜでしょうか? 

たとえば、社内の人脈に通じていて、問題が起きたときに誰に相談すれば良いか知っているとか、自社独自の製品仕様については誰にも負けないほど詳しいというのは企業特殊的能力ですから、その会社の中でしか通用しません。

でも考えてみれば、社内の人脈に通じているということは良好な対人関係を築く力があるということですし、独自仕様に詳しいということは特定の技術を深く掘り下げて理解する能力があるということです。

それは、どんな企業であっても必ず役に立ちます。

一方、ポータブル・スキルは確かに転職の壁を低くしますが、転職後にどのくらい役に立つのかは不明です。

「自分は資格もないし、社内のことしか知らないから・・・」と思っている人こそ他の会社が欲しがるダイヤの原石かもしれません。

(人材育成社)


「竹内栖鳳」から学ぶ温故知新

2013年10月04日 | コンサルティング

以前このブログで書いていますが、(http://blog.goo.ne.jp/jinzaiikuseisha/e/b2f0d3420487e5975b78187039d26951) 再び「班猫」にふれます。

東京国立近代美術館で開催されている「竹内栖鳳展」に行ってきました。「班猫」と再会し、しばし向き合いましたが、青い目に全てを見透かされるような感覚がし、あらためてあの目にやられ(魅了)ました。

竹内栖鳳は幸野楳嶺に師事したそうですが、その育成方法は運筆⇒着色⇒写生⇒作図⇒古画模写 というステップだったそうです。

筆遣いの技術を高めるだけでなく、流派の垣根を自在に超え、やがてはどの流派でもない新しい表現を切り開いたということです。

竹内栖鳳は多くの動物を描いていますが、毛並の描写は写真で撮影したものを見ている感じがするくらいに繊細で、毛の一本一本まで確認できます。いずれの作品も時間をかけて丁寧に実物を観察したことが伺えます。

さらに、一部の作品は下絵も鑑賞することができましたが、熟考を重ね、緻密な構想によって絵が完成したことがわかりました。

晩年は、対象の動きや量感をスピードのある線で大つかみにとらえた作品が多くなったようですが、一貫して常に新しい目で対象をとらえたようです。

一つの表現に固執することを拒んで、変化に富んだ表現を切りひらき続ける原動力を持ち続けたことで、生み出された作品に圧倒されました。

全ての展示を見終え、あらためて感じたのは「温故知新」という言葉。徹底的に模写をして基礎を学び、その後は流派にとらわれず自分の画風を確立する。しかし、それにこだわらず、さらに新しいものを確立していくその継続力には頭が下がります。自分のやり方を確立するためには、先人の知恵や知識に学ぶことが必要だということなのだと思います。

人材育成も同様に、これまでの様々な知識や手法に学び、それぞれの良いところを生かしながら「今」に一番合うやり方を見出していくことが求められているのだと思います。これは簡単なことではないですが、チャレンジしがいのある課題だと思っています。

「人材育成もこうありたい」と竹内栖鳳の絵から感じた秋の一夜でした。

(写真は、東京国立近代美術館HPより)

(人材育成社)


I love you, because you are you

2013年10月03日 | コンサルティング

昨日に引き続き「前向き」と「肯定」について。

ポジティブシンキングは、日本語に訳せば「前向き思考」とでも言うのでしょうか。多くのビジネス本、自己啓発書ではポジティブシンキングを強く勧めています。

確かに仕事で失敗した時に「小さいことにくよくよするな!」と強く思い込めば、「幸せをよぶ法則」を手に入れることができます。なぜなら「思考は現実化する」からです。しょせん「ネガティブ思考は、高くつく」ことになりますし、「ポジティブな人だけがうまくいく」のです。 注:「 」の中はすべて自己啓発書のタイトルです。

「前向き思考」の方々にはお叱りを受けそうですが、私にとって「ポジティブ」は人工的な感じがする言葉です。もっとも、ビジネスそのものが人工物ですから、それはそれで良いのかもしれませんね。

一方で、「肯定」とは「起きたことに対して良い、悪いを区別することなく、自然のこととして受け入れる」ことです。

マザー・テレサの言葉に「I love you, because you are you」というのがあります。

この言葉をはじめて聞いたときに、私は、親が子供に対して持つ自然な感情を思い出しました。

たとえ成績が悪くても、足が遅くても、怖がりでも、受験に失敗しても、ふられても、友達に裏切られても、ころんでも、泣いても、病弱でも、親はこう言います「I love you, because you are you」。

受け入れるということは、そういうことです。

ビジネスにだって「肯定」があっても良いじゃないですか。

(人材育成社)

 


「あまちゃん」から学ぶ「肯定する」ものの見方

2013年10月02日 | コンサルティング

NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が先週終わりました。「じぇじぇ」を始めとして注目されたドラマでしたから、私の周囲でも話題になることが多かったです。「あまロス」の方、多いのではないですか?

   さて、「あまちゃん」がヒットした理由にはいろいろあると思いますが、私は一貫して「現実を肯定するとらえ方」もその一つだったと思っています。

 脚本の宮藤官九郎さんは、新聞のインタビューで以下のように言っています。

「これはこうだと信じている人には(疑問を)言いたくなってしまう。見る角度を一回変えてやらないと、面白いモノは生まれない気がします」

「いいところも悪いところも面白いからいいじゃんというのが僕の肯定の仕方。善人にも悪意や弱い部分があるというのが僕の見ている日常」

 そして、現実を肯定することの意味を「『みんなそっちばかりを見ているけれど、ここにこんなに面白いモノがありますよ』みたいなこと。僕はいいもの、楽しいもの、笑えるものをいつも探しているわけで、世の中の人がそうなったら、違うものに注目するかもしれない」

「世の中みんなそうじゃないから面白い。人間のいろいろなところを肯定するというより、色々な角度から見るということなのかもしれない」

 一方からだけでなく、角度を変えてものを見ることを大切にされていることが伝わります。

 ところで、ここまで書いてきたら、「肯定的にとらえること」と「前向き」との違いは何だろうと疑問が浮かんできました。

私は「前向き」は、物事を積極的に、またプラスにとらえる事を目的にした考え方で、「マイナスの思考や感情」を意識的にプラスに変換しようとすることではないかと感じます。例えば、ネガティブな感情が湧いてきたら、「前向きに考えよう」とすることで、そうした感情を抑え込むという印象をもちます。

 一方、「肯定」は、起きたことに対して良い、悪いを区別することなく、自然のこととして受け入れる姿勢と感じます。

 一昨日担当したある社員研修の受講者のアンケートに次のような記述がありました。

「意見に対して肯定的にとらえてもらえるので、話に興味が持てました。」

 研修で受講者と接する時も、「肯定する」ものの見方が大切だということを再認識しました。

(冒頭の写真はwikipediaより)

 (人材育成社)