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ノーベル経済学賞という不思議

2013年10月17日 | コンサルティング

2013年のノーベル経済学賞は、資産価格の実証分析に貢献した米シカゴ大学のEugene F. Fama氏とLars Peter Hansen氏、および米イェール大学のRobert J. Shiller氏に授与されることになりました。

3氏の業績は、株や為替などの資産価格がどのようにして決まるのかを実証的に明らかにしたことです(詳しくはネットで調べてみてください)。

では、なぜノーベル経済学が不思議かというと、Fama氏とShiller氏の主張が真逆であることです。

でも驚くにあたりません。それがノーベル経済学賞なのです。

第1回の1969年から2013年まで、よくもまあこれほどバラエティがあって、しかもお互いに異なる意見を持つ人たちが並んでいるなあと感心してしまいます。

たとえば、1997年のマートン、ショールズ(ブラックショールズ式!)の翌年にアマルティア・センが受賞したときなど、「前の年の罪滅ぼしをしましたね?!」と思わず突っ込みを入れてしまいました。

物理学、化学、医学・生理学のような自然科学分野では、以前受賞した理論が後に「訂正」されることがあります。新しい発見や理論よって受賞時の知見が古くなったとしても、文句を言う人はいません。それが科学の発展というものです。

ところが、経済学においてはゲーム理論のような純粋理論は別として、いつまでたっても「どっちの意見が正しいのか」分からないことが多いのです。

一部には、社会「科学」などと名乗ってはいてもしょせん自然科学の真似事じゃないか、という意見もあります。

しかし、私はそれで良いのではないかと思っています。たった1人の人間の行動だってよく分析できないのですから、無数の人間で構成された社会の挙動なんて分からなくても仕方ありません。

そうした「居直り」精神を持って、とにかく現時点でベストと思うものを賞に選ぶしかありません。

ノーベル経済学賞の選考委員はきっとそうやって受賞者を選んでいるのだと思います。今年の受賞者を見てあらためてそう思いました。

(人材育成社)