心をこめるとは「愛情や配慮、願い、祈りなどの気持ちを十分に含ませること、また、そうした気持ちのもとに物事を行う」ことです(Weblio辞典)。
研修講師にとって、心のこもった仕事とはどのようなものでしょう。
話し方や内容に配慮して研修をおこなうことはもちろんですが、それ以前に相手を理解しようとする姿勢が必要だと思います。
私の知り合いにとても人気のある講師がいます。彼の研修は実に「上手い」のです。
ユーモアを交えた話し方や経験に基づいた興味深いエピソードを自在に操ります。受講生はしきりにうなずき、笑います。アンケート評価も上々です。
そんな講師ですから一年中忙しいわけです。
そのせいか、研修をする相手の会社のことはよく知りません。
その会社がどのような製品やサービスを提供していて、従業員が何人くらいで、売上高や営業利益がおおよそいくらで、会社の理念はどのようなもので、社長はどんなメッセージを発していて・・・そんなことは全く知らずに研修を行います。
「研修内容は決まっているんだから、知っていようがいまいが関係ないでしょ。それに、忙しくて調べる時間なんてないよ。」
確かにそうかもしれません。
しかし、その程度のことを調べるには会社のホームページを見れば済むことです。ほんの5、6分もあれば十分でしょう。その程度の時間を取れないわけがありません。
要は相手の会社のことなんてどうでも良いと思っているのです。だからほんの5分でも使うのが嫌なのです。
弊社は必ず研修を行う会社を事前に調べ、主だった事項は憶えるようにしています。
もちろん、それが仕事に心をこめることの全てだとは言いません。しかし、相手の会社のことを考え、受講生のことを思うことから仕事を始めるべきだと思っています。
アメリカの思想家であるエルバート・ハバードの残した言葉に、
「心をこめて仕事をするようにしなさい。そうすればあなたは必ず成功する・・・」
というのがあります。この言葉には続きがあります。
「・・・なぜそんなことが言えるかというと、大半の人はそれほど心をこめて仕事をしていないからである。」
この言葉に、思い切りうなずいてしまいました。
(人材育成社)
PS: 昨日のブログ「『頑張れ』に代わる言葉が見つからない」については、何人かの方にご意見やご感想をいただきました。私個人(平野)の思いはこの曲で代弁させていただきたいと思います。
ブルーハーツ 「人にやさしく」・・・ヘッドホンをして大音量で聴いてください。