中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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情報はなぜ共有化できないのか

2013年10月28日 | コンサルティング

組織が大きくなるほど情報が共有できないことで起きる問題も大きくなります。

社内の情報共有が十分ではないと感じている経営者は大変多くいらっしゃいます。今までにいくつかの会社で情報共有の仕組みを作るお手伝いをしてきましたが、大変難しいテーマです。

ある電機メーカでは、2つの事業部の開発部が同じ実験を同じタイミングで行い、同じ結論をそれぞれの事業部長に報告していたことがありました。しかも、2つの開発部がそれぞれ使っていた高価な測定器は、同じ商社から購入していました。本来1台で済んだはずの測定器が2台売れたわけですから、商社の営業担当者はさぞ喜んだことでしょう。

「個人の知識を組織的に共有し、より高次の知識を生み出す」ためのフレームワークに野中郁次郎一橋大学名誉教授らによるSECI(セキ)モデルがあります※。

このモデルは個人の暗黙知を職場などの小グループで、OJTやノウハウの伝授により「共同化」するところから始まります。それを形式知に「表出化」して、組織的体系的に「連結化」します。やがてその知識は個人に「内面化」され、再び暗黙知となり、同じプロセスをスパイラル状にたどっていきます。

しかし、現実には暗黙知が他者に伝わるのはせいぜい1割程度ではないでしょうか。しかも、伝わってから形式知になるまでの間にすっかり「気」が抜けてしまいます。そのまま「連結化」するのは、気の抜けた炭酸を瓶詰にしてラベルを貼って商品として売り出すようなものです。

私たちは、組織の情報共有を実現する上でより有効な手段は、コンテクストアプローチではないかと考えています。

現在、いくつかの会社でこの手法を試しており、少しずつ効果が現れはじめたところです。とはいえ、その効果が継続的に現れなければ成功したとは言えません。それを確かめるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

近いうちに結果も含めてご報告できるよう努力していきたいと思っています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B8%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88

(人材育成社)