今日も神奈川県は晴れ渡った快晴のお天気となりました。そんな気持ちのいい青空の広がる中、
今日は横浜市の中心地にある横浜市開港記念会館に行きました。今日は、大正6年7月1日の開港記念日に建てられ国指定重要文化財に指定されているこちらの建物の大講堂で
アンサンブル山手バロッコという団体による、オールモーツァルトプログラムのコンサートが開催されました。内容はピアノ協奏曲第23番イ長調と交響曲第39番変ホ長調、そしてバセットクラリネット協奏曲イ長調というモーツァルト後期の代表作ばかりです。
会場に入ると
ピアノ協奏曲で使用するワルターモデルのフォルテピアノが最終調整の真っ最中でした。
ピアノ協奏曲で使用するワルターモデルのフォルテピアノが最終調整の真っ最中でした。
モーツァルトが愛奏していたというアントン・ワルター(1752〜1826)によるウィーンアクションのフォルテピアノは、繊細な音色と素早いハンマーアクションが特徴的な楽器です。今回のコンサートで演奏されたピアノ協奏曲第23番ではそのワルターモデルのレプリカ楽器が使われ、古楽器アンサンブルと息の合った演奏を披露していました。
次に演奏されたのは、後期3大交響曲の筆頭を飾る交響曲第39番変ホ長調です。本来ならこの曲にはティンパニとトランペットが入るのですが、今回はその代わりに先程協奏曲で使用したフォルテピアノを入れてのオリジナル室内管弦楽バージョンでの演奏となりました。
少人数のアンサンブルならではのスッキリとした演奏は、なかなか素敵なものでした。ただ、どうしても聞き慣れているティンパニの響きが無いということに、若干の寂しさを感じでしまったのも事実ではあります。
休憩時間には
2階席に上がってみましたが、照明や天井の意匠もなかなかのものです。
後半はバセットクラリネット協奏曲が演奏されましたが、演奏前に
ソリストによる使用楽器の説明がありました。
前半のアンサンブルの中に入っていたのは
このような通常サイズのクラリネットでした。ただ、これだとモーツァルトの協奏曲に登場する低音域が出せないので、現在では一部の音域を1オクターヴ上げて演奏しています。しかし、モーツァルトが作曲当初に意図していたのは
バセットクラリネットという、低音域に特化した楽器だったのです。
これは通常のものより長いので、より豊かな低音を演奏することができます。この曲に規格外の低音が多用されているのは、一説には初演時にソリストをつとめたクラリネット奏者アントン・シュタードラー(1752〜1812)が低音域を好んでいたことに由来するとも言われています。
バセットクラリネットを使用してのこの曲は、特に第2楽章の低音域に向かっていくメロディラインが素晴らしく、通常のクラリネットを使っての演奏と比べてより深みが増します。やはり作曲家の意図通りの演奏はいいものです。
全てのプログラムが終了すると
会場内から惜しみ無い拍手が演奏者に贈られました。
久々にオリジナル楽器のアンサンブルをライブで聴けて、充実した一日となりました。来年はもう少しこうした機会が増えるといいな…と思わずにはいられません。