今日は、一日曇りがちな天候となりました。予報されたほどの暑さはなく、日陰にいれば過ごしやすい陽気でした。
ところで、今日5月12日はヴィオッティの誕生日です。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティ(1755〜1824)は、イタリアのヴァイオリン奏者、作曲家です。
イタリア北西部フォンタネット・ポー生まれのヴィオッティは、ガエターノ・プニャーニ(1731〜1798)の下で学びました。同じくイタリア北西部に位置する都市トリノの宮廷に仕えていましたが、独奏者として巡回公演も行っていました。
やがてパリで名声を獲得したヴィオッティは暫くヴェルサイユで働き、フランス王妃マリー・アントワネットに仕えていました。しかし、フランス革命の勃発により創作活動が不可能になったヴィオッティはロンドンに赴くことになり、そこでハイドンと親交をもちました。
その後パリへ戻ったヴィオッティでしたが、ワイン事業を営む為に演奏活動を断念することになりました。結局このワイン事業は失敗に終わってしまいましたが、1819年から1821年にかけてパリ・オペラ座の音楽監督を務めることになりました。
そんなヴィオッティの誕生日である今日は、《ヴァイオリン協奏曲第22番 イ短調》をご紹介しようと思います。この作品は1795年、あるいは1797〜98年にロンドンで作曲された、ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲です。
この協奏曲は数あるヴィオッティのヴァイオリン作品の代表作の一つで、今日演奏されるヴィオッティ作品の中でも最も有名なものです。全体的にイタリア風な旋律の美しさによって独奏ヴァイオリンの演奏を十二分に活躍させるとともに、ハイドン・サイズのオーケストラを用いる事によって従来独奏に対して従属的な地位にあった管弦楽伴奏をそれと同位に引き上げようとしていて、こうした点が近代協奏曲への先がけともいうことができる作品です。
因みにブラームスはベートーヴェンのコンチェルトよりもこの曲を好み、友人のヴァイオリニストであるヨーゼフ・ヨアヒムのヴァイオリンと彼のピアノで何回も合奏を楽しんでは、その度に感激していたといいます。またそのベートーヴェンもヴィオッティの作品はよく知っていて、自身でヴァイオリン協奏曲を作曲するにあたって影響を受けたといわれています。
この作品は音楽大学でヴァイオリンを学ぶ者にとっては避けて通れないもので、学生時代にはレッスン室から漏れ聞こえてくるヴィオッティをよく聴いていたものてした。因みに私はヴィオラ科だったので、一切弾いておりません…。
そんなわけで、今日はヴィオッティの《ヴァイオリン協奏曲第22番 イ短調》をお聴きいただきたいと思います。ダヴィッド・オイストラフの独奏、キリル・コンドラシンの指揮で、ベートーヴェンやブラームスも愛した名曲をお楽しみください。