今日は私が担当している小学校支援級の担任の先生が4年生の遠足の引率で、一日不在でした。その間は教務主任や個別指導員が子どもたちについて勉強させていたのですが、いつもと違う状況に子どもたちはヘンなテンションになってしまい、いつもはしないようなおイタをあれこれとやらかして大人たちに叱られていました。
支援級の子どもたちというのはちょっとした環境の変化に、こちらから見ると過剰と思われるまでに反応し、精神状態が不安定になります。その結果予測できないくらいにテンションがダダ下がりしたり、逆にハイテンションになったりするので大変です…。
ところで、今日12月3日は作曲家アンドレ・ギャニオンの一周忌にあたる日です。
アンドレ・ギャニオン(1942〜2020)は、いわゆるヒーリングミュージックやニューエイジミュージックといった音楽ブームの火付け役でもあったカナダのピアニスト・指揮者・作曲家・編曲家です。
カナダのケベック州北部に19人兄弟の末っ子として誕生したアンドレ・ギャニオンは早くも6歳で作曲を始め、10歳で自身のリサイタルを開いてモーツァルトなどを演奏しました。その後、モントリオール音楽院を経てケベック政府奨学金でパリに留学し、クラシックとポピュラーの掛け橋になることを目指して1968年にデビューしました。
日本デビューとなった《インプレッションズ(印象物語)》は、その後のアンドレ・ギャニオンの音楽スタイルを決定づける作品となり、ロングセラーを続けました。また、『Age,35 恋しくて』『甘い結婚』『優しい時間』『氷点』といった日本のTVドラマの音楽も担当して人気を博しました。
爽やかな風景と温かな心情が織り込まれたような美しいメロディや、心に染み込むようなピアニズムと繊細なサウンドは深く日本の音楽ファンの心を捉え続けていましたが、昨年の12月3日に他界しました。訃報を伝えたカナダの新聞ラ・プレッセやカナダ放送協会によると、晩年のアンドレ・ギャニオンは3大認知症のひとつであるレビー小体型認知症を患っていたといい、家族に囲まれた中で静かに息を引き取ったということです(享年84)。
そんなアンドレ・ギャニオンの作品の中で、私がとりわけ印象に残っているのが《めぐり逢い》というです。この曲はTVドラマ『Age,35 恋しくて』に使われ、歌の無いインストゥルメンタル音楽ながら大ヒットした曲です。
この曲は、かつてブライダルの仕事をしていた時に迎賓や新郎入場で何度も演奏していたこともあって、今でも暗譜で弾けるくらい覚えています。また、何度か葬儀でも演奏したことがありますが、この曲はアンドレ・ギャニオンが亡くした母を思って作曲したものとも言われていていることもあって、全く違和感はありません。
バッハの《G線上のアリア》やモーツァルトのクラリネット五重奏曲第二楽章のように、いい音楽は場面を選ばないと言われています。その中に、この《めぐり逢い》は間違いなく入ることでしょう。
そんなわけで、アンドレ・ギャニオンの一周忌である今日は、かつて仕事でものすごくお世話になった《めぐり逢い》をお聴きいただきたいと思います。甘美なピアノの音色による、優しくも切ない名曲をお聴きください。