今日は久しぶりに朝からいいお天気となりました。なので今日は朝のうちから洗濯を済ませて、午後からは自宅で練習することにしました。
来月にチャイコフスキーの《弦楽セレナーデ》の本番があるので、今日は主に
その練習をしていました。
が…
どうにも気が乗らないのです。
以前にもブログに書いたのですが(4月17日記事参照)、この《弦楽セレナーデ》は通常ある程度の人数で編成された弦楽アンサンブルで演奏されます。しかし、今回は総勢たった10名で演奏しなければならないことが決まっているのです。
10人もいれば別にいいじゃないか…と思うかも知れませんが、話はそう単純なものではありません。
この曲はある程度の人数で演奏するもの…という根拠のひとつに、チャイコフスキー自身の楽曲内の指示があります。基本的には各パート毎にメロディを演奏しているのですが、時にパート内で分奏する場面があるのです。
上の楽譜は第1楽章の中程の部分ですが、第1ヴァイオリンからコントラバスに至る全てのパートの内で上下2パートに音符が分かれていることがお分かりいただけるかと思います。
これを効果的に聴かせるためには、やはりある程度の人数を要します。ところが、今回の演奏会では第1ヴァイオリンが3名、第2ヴァイオリンが2名、ヴィオラが2名、チェロが2名、コントラバスにいたってはたった1名で演奏しなければならないのです。
お察しかと思いますが、上の人数でパート内分奏をするとなるとそれぞれがソロになってしまう、ましてやコントラバスは始終ず〜っとソロ弾きになるので、かなりアンサンブルが薄くなってしまうことが今から目に見えているのです。これではチャイコフスキーが意図したであろう厚みのあるアンサンブルには及びませんが、今回の演奏会を主催した面々はどうやらそれを良しとしているようです。
勿論、演奏会に参加するにあたってはキチンと練習して臨むつもりでいます。ただ、理想的なアンサンブルになることが予想できない中にあっては、何だかモチベーションがちっとも上がらないのです。
予め参加する人数が分かっているのであれば、何もチャイコフスキーでなくても、もっと少人数でも効果の上げられる曲はいくらでもあります。それを選ばず、はしゃいでチャイコフスキーを選んだ人たちの心根は分かりませんが、とりあえず本番までにはどうにか自分の中で折り合いをつけられるようにしようと考えているところです。
ただ、どうにも釈然としないので、
「チャイコの弦セレは本来これくらいの規模でやるもの!」
というひとつの理想形を分かっていただくべく、1992年に小澤征爾による指揮、サイトウ・キネン・オーケストラによる演奏の動画を転載してみました。これが『正解』だとは言いませんが、これにかなり近い規模で演奏される曲をたった10名で演奏しようとしていることの無謀さと軽薄さ、それに対しての私の言い様の無い不安感を御理解いただければ幸いです。