先日、小田原の小学生に新型コロナウィルスの新規罹患者が出てしまいました。ここ数日の感染拡大の様相を見るだに予想はしていたこととは言え、
『遂に来たか…。』
という感は否めません。
小学校に出勤すると、朝から職員室の電話が鳴りっぱなしでした。あまりの電話の多さに教頭先生や校長先生までもが電話応対に追われ、てんやわんやの様相を呈していました。
我が子が心配なのは分かりますが、中にはこの小学校で出たわけでもないのに朝っぱらからクレームまがいの電話をかけてくる輩…いや親までいたようで、聞かされている方としても辟易させられます。いっそのこと受話器を奪い取って
「言っては何ですが小学校内での感染拡大防止策はそんじょそこらの大人社会よりも徹底しているのですから、むしろおたくら家庭内の方がよっぽど不衛生なのでは?」
と言い返してやろうかと、本気で思ったくらいです。
さて、今日1月14日はプッチーニの歌劇《トスカ》が初演された日です。
全3幕の歌劇《トスカ》の初演は1900年の1月14日、ローマのコンスタンツィ劇場で行われました。
プッチーニは《ラ・ボエーム》の作曲を終えた後の1896年から《トスカ》の作曲に取り掛かりました。そして3年にわたる困難な作業の末、1899年の10月に作品が完成し、ローマ市内に実在する場所を舞台にした作品のため、ローマ市内のコスタンツィ劇場で初演が行われることに決まりました。
当日はイタリア王妃マルゲリータに加え、《カヴァレリア・ルスティカーナ》の作曲者ピエトロ・マスカーニや《アンドレア・シェニエ》の作曲者フランチェスコ・チレアなど多数の作曲家が聴衆に加わったといいます。《トスカ》の初演は批評家からの評価は芳しくなかったものの聴衆からは熱狂的に受け入れられ、完全な成功を収めました。
《トスカ》と言えば、何をおいてもマリア・カラスを想い起こす方もあるかと思います。特に
彼女が歌う映像が残されていることもあってか、根強い人気があるようです。
トスカの歌う『歌に生き、愛に生き』や、恋人のカヴァラドッシが歌う『星は光りぬ』といった名曲揃いの《トスカ》ですが、個人的に《トスカ》で一番好きな場面があります。それは第1幕のフィナーレで歌われる『テ・デウム』です。
ローマの警視総監という要職にありながら自身の権限をフル活用して邪魔者を排斥してきた名うてのヒールであるスカルピアが、戦争に勝利した感謝の祈りが捧げられる教会の中で
「トスカよ、お前は俺のものになるのだ!」
と野心と私利私欲丸出しの絶唱を聴かせるこの場面は、このオペラの中でも一番の荘厳さを誇ります。実際に劇場で観ていると、教会の鐘やパイプオルガンの音色が鳴り渡り、クライマックスで合唱や金管楽器群による壮大なコラールが響き渡る光景に身震いすら覚えます。
そんなわけで、今日はその《トスカ》第1幕の『テ・デウム』をお聴きいただきたいと思います。直野資さんによる、ニューイヤーオペラコンサートでの歌唱をお楽しみください。