昨日に引き続き、今日も冷え込みました。日中はそこそこ気温が上がったようですが、それでも風の冷たさの方が勝ったようで、上着をひっぱり出しておいて本当によかったと思います。
ところで、今日11月29日はイタリア・ベルカントオペラを代表する作曲家のひとりであるドニゼッティの誕生日です。

ガエターノ・ドニゼッティ(1797〜1848)はイタリアのベルガモに生れて同地で没したオペラの作曲家で、ジョアッキーノ・ロッシーニ(1792〜1868)やヴィンチェンツォ・ベッリーニ(1801〜1835)と共に19世紀前半のイタリアを代表するオペラ作曲家として人気を博しました。
9歳だった1806年、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の楽長を務めていたヨハン・ジモン・マイールの慈善音楽院で学んだドニゼッティは、18歳となった1815年、楽長マイールの尽力でボローニャ音楽院に入学しました。その後、法律家になる事を期待した父親の束縛を逃れる為に軍隊に志願して兵に在籍したまま作曲を続けたドニゼッティは、1830年、33歳の時に発表したオペラ《アンナ・ボレーナ》で大成功を収め、一気に名声を確立しました。
オペラは70作品ほど作られたましたが、現在上演される作品は実はそれほど多くなく、初期作品は未だに日の目を見ていないものも数多くあります。それでも、現在では出世作である《アンナ・ボレーナ》をはじめ、
《愛の妙薬》(1832年)
《ルクレツィア・ボルジア》(1833年)
《マリア・ストゥアルダ》 (1834年)
《ランメルモールのルチア》(1835年)
《ロベルト・デヴェリュー》(1837年)
《連隊の娘》(1839年)
《シャモニーのリンダ》(1842年)
《ドン・パスクワーレ》(1842年)
といった演目が世界中のオペラハウスで上演されて人気を博しています。
悲劇であるオペラ・セリアでは、いわゆる狂乱オペラの金字塔的作品である《ランメルモールのルチア》や歴史絵巻的作品の《アンナ・ボレーナ》《ロベルト・デヴェリュー》が、喜劇であるオペラ・ブッファでは代表作《愛の妙薬》の他に《連隊の娘》《ドン・パスクヮーレ》などが人気があります。こうして見るとドニゼッティは、ロッシーニやリヒャルト・シュトラウスのように悲劇にも喜劇にも代表作が複数列挙できる、比較的数少ないタイプの作曲家であると言えるかも知れません。
オペラ作曲家として認識されているドニゼッティですが、実はボローニャ音楽院在学中や卒業後の若い頃にシンフォニアや協奏曲、室内楽曲も手がけています。中でも弦楽四重奏曲は19曲も遺していて、そのうちのいくつかは現在でも演奏されています。
そんな中から今回紹介するのは、ヴァイオリンとハープのために書かれた《ラルゲットとアレグロ ト短調》という小品です。この作品も若い時分の作品ですが、後様々なのオペラ作品を彷彿とさせる美しいメロディに満ちた佳作です。
そんなわけでドニゼッティの誕生日である今日は、彼の若書きの愛らしい秘曲を、ヨゼフ・スークのヴァイオリンとダクマール・プラティローヴァのハープでの演奏でお楽しみください。