昨日の晴天から一転、今日は冷たい雨のそぼ降る一日となりました。今日は西日本でも梅雨入りが発表され、いよいよ本格的な雨のシーズンが到来したようです。
ところで、今日6月14日はマンシーニの祥月命日です。
ヘンリー・マンシーニ(1924〜1994年)は、アメリカの作曲家、編曲家で、映画音楽家としてグラミー賞やアカデミー作曲賞に何度も輝きました。
マンシーニはオハイオ州クリーブランド市にイタリア系アメリカ人として生まれ、ペンシルベニア州で育ちました。出生時の名前はエンリコ・ニコラ・マンチーニ(Enrico Nicola Mancini)といいます。
幼い頃からフルート奏者の父親からフルートとピッコロの英才教育を受けたマンシーニは、高校を卒業後にクラリネット奏者ベニー・グッドマンの勧めでニューヨークへ移住しました。名門ジュリアード音楽院に進学した後に、第二次世界大戦時には空軍に所属してマーチングバンドでも活躍しました。
その後、グレン・ミラー楽団にアレンジャー兼ピアニストとして採用され、1952年にはユニバーサル映画に入社しました。そこでは音楽監督のジョセフ・ガーシェンソンのアシスタントとして修行しながら、《グレン・ミラー物語》や《黒い罠》といったヒット作で頭角を現わしました。
1960年代からは主に《ティファニーで朝食を》や《シャレード》といったオードリー・ヘップバーン作品で注目を集めました。特に《ティファニーで朝食を》でヘップバーンが歌った『ムーン・リバー』は、今でも映画音楽やジャズヴォーカリストのスタンダードナンバーとなっています。
マンシーニは温厚な人柄で知られていて、ヘップバーンやクインシー・ジョーンズ、ジェリー・ゴールドスミスといった数多くの友人に慕われ、またミシェル・ルグラン、ラロ・シフリンといった外国人作曲家にも親身に関わりました。人望も厚く、いくつかの大学で名誉博士号を受けて後進の育成にもあたりましたが、1994年6月14日に膵臓および肝臓癌のためビバリーヒルズの自宅にて死去しました(享年70)。
さて、数々の映画音楽で有名なマンシーニですが、その中でも圧倒的な名作といえば《ひまわり》でしょう。
ソフィア・ローレン演じるジョヴァンナとマルチェロ・マストロヤンニ演じるアントニオが、愛し合いながらも戦争に翻弄されて悲劇的な結末を迎える物語は、制作から50年以上経った今でも多くの人たちの感動をよんでいます。特に、アントニオに生存を信じて単身ソビエトに乗り込んでようやく見つけ出した彼の現在を知ったジョヴァンナが動き出した列車に飛び乗って紅涙を絞る場面は、名シーンとして語り継がれています。
そんなわけでマンシーニの命日である今日は、名曲《ひまわり》のテーマをお聴きいただきたいと思います。中村紘子さんのピアノによる、感動的なアレンジでお楽しみください。